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松茸山
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今ならオッケーっぽいんで、 長野県の人から聞いた話を書きます。 実話だとは思いますが、 確かめたわけではありません。 4年前に、 ある村のAさんが松茸山の権利を買いました。 権利を買うと、 その山で松茸が採り放題になります。 採ったマツタケは、 自分で食べても売っても良いわけですが、 他人に採られてしまっては元も子もないので、 権利を買った人は大抵、 周囲にロープを張り巡らせ看板や張り紙で警告します。 それでも高価な松茸のことですから、 警告を無視して盗みにくる人もいるので、 シーズン中は警備の人が巡回しています。 Aさんも荒っぽい男を数人雇って警備に当たらせていました。 しばらくして、 Aさんのところへ荒くれ男たちが揃って顔を出し、 「仕事を辞めさせてくれ」 と言い出しました。 Aさんは 「条件を良くするから」 と引き止めましたが、男たちは 「もう辞めさせてくれ」 の一点張りです。 なぜ急に辞めると言い出したのか? Aさんが理由を問うと、 最初は口ごもっていた男たちもやがて重い口を開いて、 次のような事情を話しはじめました。 夜中、男たちが懐中電灯を片手に二人一組で見回りをしていると、 林の中からカサカサ…という足音が聞こえてきました。 「盗人か!?」 と慌てて音の聞こえる場所へ行くと、 真っ暗な木立の間を、 人の足だけが数本歩き回っていました。 ふくらはぎから上は透けていて、 膝のあたりで完全に消えているのに、 実体があるかのように、 カサカサと足音は聞こえてくるのです。 さすがの荒くれ男たちも、 待機所へ転げるように逃げ帰りました。 そんなことが何度かあり、 すっかり怯えてしまった男たちは、 揃ってAさんのところへ 「辞めさせてくれ」 と頭を下げに来たそうです。 そんなこんなで、 誰も夜の見回りをしなくなったので、 Aさんは自分自身で見回りに行ったのですが、 話の通り、カサカサ…という足音が聞こえてきたので、 慌てて逃げ帰ってしまい、 それ以来、夜は山に近づこうとしませんでした。 それでも、 その年は松茸を盗まれるようなことはなかったそうです。
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