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黒い影と妙な体験
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中3の夏休みのとある日の昼ぐらいだったかな。 その日は昼飯を済ませ、 宿題云々も終わってたし部屋でゲームでもしようかな、と思って 俺の部屋に戻るとベランダ側の窓が閉まっていた。 「何でこんなクソ暑いのに窓閉まってんだ?」 と思って窓を閉めに行こうとしたら不思議な事が起きた。 突如、窓の方から黒い人影が 物凄い勢いで俺の方へと走ってきたのだ。 印象的だったのが、その時 「ブォォォオオン!!」 とF1のスポーツカーが走ったような音が鳴り響いたことだったかな。 何が何だか理解できなかったが、 振り返ると何もない。 最初は 「寝ぼけてたのか?」 とも思ったけど、 起床して随分時間も経っていたし、 人生でこんな経験をした事も無い。 何より現実に起こったと思わせたのは、 足元にあったピンチハンガーだ。 それはベッドと壁の30cmくらいの隙間に置いてあったのだが、 吊るされていた洗濯バサミが風に当たっていたかのように揺れていた。 窓は閉まっている。 もし開いていたとしても、 俺の家の向かい側にも家が建っているので そんなに強い風が俺の部屋に吹いてくる事もないので、 このような事はありえないと思った。 怖くなった俺は 机の上に置いてあったPSPを手にし、 すぐさまその部屋を出た。 俺の部屋は2階にある。 1階のリビングには母もいるし、 そこでゲームをしよう。 そう思い階段をダッシュで降りると 今度は階段を下りてすぐの所で 黒い影が物凄い勢いで俺の目の前を横切った。 勿論、例の音も聞こえた。 俺は恐怖で、 暫くその場から動くことができなかった。 その後、 母に何か変わった事は無かったかと聞いても、 特に何も無いと言う。 さっきの黒い影とはあまり関係なさそうだが、 こんな話もしておこうかな。 黒い影を見た2、3日後の夜、 また妙な体験をした。 その日は新しく購入したゲームに熱中してしまい、 気付くと夜の1時くらいになっていた。 「やっべ……もうこんな時間かよ」 そう小声で呟き、 部屋の電気を消すと、 隣の部屋から扉を開ける音が聞こえた。 姉は結構面倒なタイプだ。 自分は夜こっそりリビングに忍び込んで、 PCでBL漫画を読んでる癖に、 俺が夜更かししてゲームをしていると怒鳴り散らした上に、 親にそれをチクる事もあった。 俺はすぐにPSPを枕の下に隠し、 寝たフリをした。 その後何故か俺の部屋に入ってくると ブツブツ言いながら枕に手を突っ込んできた。 「何でバレたんじゃ……」 なんて思ってると、姉が 「おい」 と言って俺の頭を軽く殴ってきた。 (ちょっと痛かったけど) 目を開けると、 姉の手には黒い塊があった。 まあ形からしてPSPだな、 というのはお察し。 俺は 「あー、うーん。ごめん」 なんて言ってると、 姉は何も言わずに俺の部屋を出て行った。 最悪だった。 起きたらまた再開しようと思ってたのに。 てか没収することもないじゃん。 そんな風に思いながらぼーっと天井を眺めていると、 隣の姉の部屋から扉が開く音が聞こえた。 妙だと思った。 それまでに扉が閉まる音も聞こえなかったのに。 「トン、トン、トン…」 姉がゆっくりと階段を降りていく。 暫くしても上がってこないから、 PCでも使ってるんだと解った。 ゆっくりと俺の部屋の扉を開け、 忍び足で姉の部屋に侵入した。 だが、どれだけ探してもPSPは出てこない。 よく探してる間に姉が戻らなかったな… なんて思いながら部屋に戻り、 枕を良い感じの場所に戻そうとすると、 黒い物が見えた。 「???」 意味が分からない。 PSPならさっき姉に持って行かれたはずだ。 そう思いながら枕を持ち上げると、 確かにPSPがあった。 電源もつく。 それにさっきとは違って、 はっきりと形が見える。 とりあえずトイレがてら下の階に降りると、 姉とバッタリ遭遇した。 俺は姉に 「さっき俺の部屋に入った?」 と問うた。 すると姉は、 特に表情を変えず頭を横に振り、 二階へと上がっていった。 用を足し、 部屋に戻ると心臓が一瞬だけ止まった。 服装云々は姉のものだったが、 顔が明らかに違う。 そんな感じの人?が俺の部屋に立っていたのだ。 その人は俺に気付くと フェードアウトするように消えていった。 恐怖で俺はその場に呆然と立っていたが、 突然背後から 「何してんの」 と姉の声で聞こえた。 流石にもう振り向くこともできず、 「ちょっと考え事してた」 って言って扉を閉め、 すぐさま布団に潜り込み、 PSPにイヤホンをつけて音楽をかけながら眠りに入った。
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