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担当した患者に末期癌の老人がいた
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2011
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短編2分
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看護師やってる友人の体験談。 友人の担当した患者に末期癌の老人がいた。 身体中にチューブで繋がれ何とか生きながらえているが、 ろくに声を出す事もままならない、 いつその時が来てもおかしくない状態だった。 そして、その患者と同じ病室にもう二人の患者も入院していた。 一人は長く闘病していて、 もう一人はあと一週間足らずで退院の予定。 その日、友人はいつも通り夜の当直をこなし、 日の昇る頃、老人の所へ検温をしに行った。 しかし病室に入り老人の傍へゆくと、 何やら背後から怪しい視線を感じるではないか。 瞬く間に背筋が凍りつき後ろを振り返ると、 同室の二人の患者が友人を鋭い目つきで睨み付けていた。 「おはようございます、すみませんが、どうなされました?」 友人は恐る恐る、二人に問いかけた。 すると二人は口を揃えて 「昨晩はうるさくて、俺達は二人とも全然眠れなかった。 何とかしてくれ」 と文句を言うではないか。 「この患者様もあなた方と同じく、 日夜病気と戦っておられます。 夜中でも時折苦しくて声を上げてしまう事もあります。 申し訳ありませんが、どうか我慢して頂けないでしょうか?」 友人はそう弁解した。 すると、二人のうち一人が不思議な事を口にし始めた。 「いや、俺達が言いたい事はそうじゃなくて、 昨日うるさかったのは、その患者本人じゃないんだ」 もう一人も首を縦に振った。 話を総合すると、どうやらその夜、 老人の親族だと思われる人達が七~八人、 突如病室へ入ってきて、 葬式はどうする、遺産の分割はどうこう、などといった話を、 大声で一晩中続けたというのだ。 更には子ども達も数人いて、 キャッキャッと遊ぶ声も聞こえ、 そしてふと気がつけばその人影も声がぱったりと止み、 元の静かな病室に戻った。 二人はそう話してくれた。 しかし、考えてみればおかしな話で、 よほど緊急の場合ならともかく夜中に大所帯で面会をしにくる事などあり得ないし、 そもそも友人は直前まで夜の当直をしていたのに、 そんな人達の受け付けをした覚えも無い。 病院のデータにも、 勿論そんな面会記録は残っていなかった。 そしてその出来事があった日、 老人の患者は静かに息を引き取ったという。
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