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長い夢

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• 長い夢とは

  憑きそい (扶桑社コミックス)

• 長い夢を見ていた。
  目が覚めると、そこには白い天井。白い壁。カーテン。規則的に鳴り響く機械音。
  眩しい。視界が白く霞む。
  
  「・・！！目を覚ましたのね！」
  『・・こ・・ごどごで・・ずか・・』
  
  変な感じに声が掠れる。自分の声じゃないみたいだ。
  
  「・・落ち着いて、聞いてね。ここは病院よ。あなたは交通事故に遭って、意識不明だったの」
  『おれ・・はどうな・・ています・・か』
  
  「・・・。すぐ、先生を呼ぶから。待ってて」
  『は・・い・・』
  
  ここの看護師だろうか。声の調子からすると俺より年配だろう。四十代半ばといったところか。
  どことなく見覚えがある。きっと、眠っている間俺の世話をしてくれていたのだろう。
  
  妻は？娘はどうなった？記憶が欠如している。
  俺が覚えているのは、娘が小学校の卒業式で見せた笑顔。妻が涙ぐんで微笑んでいた顔。
  
  それから・・
  ・・・。頭が回らない。考えるのは後だ。少し休もう。
  
  俺は体が欲するままに、再び意識を手放した。
  一時間ほど眠っただろうか。目を覚ますと、傍らに先ほどの年配女性。
  
  その隣に見覚えのある少女が座っていた。
  相変わらず視界が白くぼやけてよく見えないものの、俺にはすぐに分かった。
  
  『ご・・め゛・・んな゛』
  
  精一杯搾り出してもかすれた声しか出なかったが、彼女はそれでも、俺の手をぎゅっと握りしめてくれた。
  
  多感な時期に父親が意識不明だったのだ。辛い思いをさせたのだろう。寂しげな表情をしている。
  背が伸びて、顔立ちも何だか変わったようだ。
  
  俺はまた現実に戻ってこれたことを神様に感謝した。
  その時、奥の入口から俺と同じようにかすれた声が響いた。
  
  「お帰りなさい、あなた！」
  
  ああ、神様・・・

  長い夢の解説
  
  
  娘の卒業式のあとに男は交通事故に遭い、長いあいだ意識不明だったという話。
  
  看護師の隣に座っている娘に辛い思いをさせてしまったことを悲しみ、だけどまた再会できたという感動的なシーン。
  
  と男は思っていましたがこれは大きな勘違い。最後に奥の入口から現れた妻の姿を見て男は全てをわかってしまいました。
  
  娘と思っていたのは実は孫でした。本当の娘は看護師だと勘違いした年配の女性のほうです。
  
  娘の顔立ちが変わってみえるのも別人（孫）だから当然ですね。
  
  娘が四十代半ばであれば男は30年近くも眠っていたことになります。
  
  『ああ、神様・・・』という言葉は自分が生きていたことへの感謝なのか、それとも現実を突き付けられたことへの落胆なのか。
  
  どっちでしょうね。

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• コメント

• 1：

  名無し

  2020/01/02(木) 13:07:02

  映画にありそうなお話ですね

  2：

  みーみー

  2021/01/02(土) 13:07:08

  感動的な話ですね!(意味が分からなければの話だけど・・)

  3：

  ナカ君@音痴同盟

  2021/10/19(火) 06:32:39

  ない勝ち侍。にんにん。

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