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時空のお姉さん
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私はコスプレイヤーで、その日は友達と4人で、 地元のコスプレイベントに出掛けていました。 会場は屋内と屋外を両方使えるようになっていたんだけど、 当日は大寒波で物凄く寒い日だったので、私達は屋内で撮影を楽しんでました。 お昼過ぎ、そろそろお昼ご飯を食べようと言う事になって、私達4人は受付へ。 どうやらその会場は屋内では飲食禁止らしく、 外のテラスみたいな所へ出ないと飲食が出来ないとのこと。 クソ寒い中、コートを着てしかたなく外へ出て昼食を楽しんでいた時に、 それは起こったんです。 私以外の3人は、当日予定していたボーカロイドの大型併せに行くと言う事で、 早めに昼食を済ませてそっちに行ってしまいました。 残された私は寒さにも慣れ、テラスでパックのジュースを飲みながら、 色んなレイヤーさんを眺めていました。 何分か経って、 「そうだ、今日撮った写真を見よう」 という事で、暇つぶしに一眼レフを取り出し、写真を見始める事に。 一眼をいじり始めてから、おそらく5分も経ってないんですが、 周りがえらく静かになっている事に気が付きました。 当日はあまりの寒さの所為か、 結構人気のイベントの割には人数も少なくて、 もともと静かだったんですが、 いくらなんでも静かすぎる。 気がつけば、近くで写真を撮っていたレイヤーさんも 皆居なくなっていました。 皆寒くて屋内に避難したのかな、とか、 スタッフさんの指示かな、 とか思いながら屋内へ行こうと立ち上がると、 私は眩暈がするほど震えあがりました。 空が緑色なんです。 雲も含めて全部緑。 グラデーションも何もない真緑で、 私の目がおかしくなったのかと思って、 目を閉じたりしたもののやはり緑。 私が居たのは中庭で、四方を壁が覆っていたんですが、 その壁に映る光や地面を照らす日光も全部緑で、 気持ちが悪かったのを覚えています。 あまりの非現実さに、イベントだという事を忘れて号泣しながら、 受付へ行こうと何とか屋内に入りました。 誰もいない。 撮影用に設置されていたセットは、 列が出来る程人気だったものまでもぬけの殻。 椅子はさっきまで人が座っていたかのようにずらされていたりして、 それが余計に怖くて足が竦みました。 こんな事もあるものか、と大パニックを起こしながら、 スタッフルームへ行ってみようと廊下に出ると、 白いカーディガンに青いブラウス、 裾を折ったジーンズを履いた女の人が立っていました。 確か右手首か二の腕かに、 黄色い腕章みたいなものをつけていたと思います。 (キャプテンマークみたいな形で、何か文字が書いてあったけど読めなかった) 黒いサンバイザーを被っていて、顔はよく見えませんでした。 とにかく人を見つけたので、衣装のまま声を掛けてみる事に。 「すいません、何かあったんですか?」 声を掛けた途端その女性は私に気付き、 そして血相を変えてこう言ったんです。 「どうしたの!?なんで此処にいるの!」 その時私は、あぁ、自分がコスプレ衣装を着ているからびっくりしたのかな、 と思って慌てて、 「コスプレのイベントがあって来たんですけど、急に皆居なくなってしまって… 人の気配がしないんです。 もしかして、貴方も迷われたんですか?」 「ちょっと待ってね。時間掛かるかもしれないけど、そこ座っててくれるかな」 話がかみ合いません。 幼稚園の先生みたいな優しい笑みを浮かべた女性は、 私を近くのソファに座らせて、携帯で何やら話しています。 「遭難者」 とか 「今年で6人目」 とか言っていて、何のことやらさっぱりなまま、その話を聞いていました。 しばらくして、電話を終えた女性が私の方を向き、にっこり笑って、 「怖かったね」 とだけ言って携帯を閉じ、私の肩に手を当てた途端、 目の前がバチッと弾けたようになりました。 花火が弾けたような、そんな衝撃でした。 ふと気がつくと、私はさっきまでいたテラスに座っていたんです。 友達は!?と思って探してみると、 大型合わせできちんと写真を撮っていました。 あれは何だったんだろう。夢にしてはリアルすぎる。 と不思議に想いつつ、帰りのスタバで友達にそれとなく話してみると、 「それ時空のおっさんだよ!」 と言われました。 友達の一人がオカ板によく行くらしく、 めちゃくちゃ羨ましがられたんですが、正直怖いだけでした。 私が会ったのは、たぶん時空のおっさんの仲間か何かだと思います。 きれいな女性でしたよ。
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