怖い話登録数18393話
恐怖感アップダークモード
(0件)
▼コンテンツには広告が含まれています
✕
当世話
お気に入り
1458
45
0
長編5分
コピー
「当世話」の朗読動画を探しています。YouTubeでこの話の朗読動画を見つけたらぜひ投稿していってください。
※YouTubeのURL必須
開始時間
00時間00分00秒
投稿する
俺の実家のある地区では、『当世話(とうぜわ)』と呼ばれるシステムがあって、それに当たった家は一年間、地区の管理を任される。その当世話が今年はうちで、祭事につかう御社の掃除を夏に一度しなければならないので、祖母ちゃんと俺で山に登って掃除に行った。(掃除道具を担いだ祖母ちゃんを、俺が背負って登った)御社に来るのは十年ぶりだった。(地区の行事をサボる子どもだったので)懐かしくて御社の周りをうろうろしていると、幹が妙に括れた大木があった。「祖母ちゃん。そういやこの木って、どうしてこんななの?」昔からこんなだった記憶が残っている。 「あぁ…そういえば話したことなかったな。掃除しながら話してやろうか」「面白い話?」祖母ちゃんが担いでいたカゴから掃除道具を出しながら聞くと、祖母ちゃんは口を横に広げてニヤリと笑った。「さぁな。ずーっと昔、このへんを治めてた殿様の名前は知ってるだろ」もちろん知っている。誰でも知ってるような有名な人だ。「あるときな、その殿様の家来だって言う男がこの村に来た。村人は当然のようにその家来を持て成して、村で一番高い位置にあるこの社に泊めてやったんだ。だけどな、そのうち気付いた。その家来が偽者だってな。殿様との戦に破れた国の兵だったんだ」「落ち武者ってやつ?」「『殿様の敵兵を持て成したなんてぇのが知られたらどうなるか』と村人は怯えてな。その敵兵を殺すことにした。酒をたくさん飲ませてよ、酔っ払わせてな、あの木の前で殺したんだ」例の幹が括れた大木を指差す。「『敵の残党をやっつけたことを上に褒めてもらえるかもしれねぇ』って、首だけ残すことになってよ。よく研いだカマで首を切ったが、どうしても切れなくてよ。それで、今度は鉈を持ってきて一気に振り下ろしてな、首を切ったんだ。そしたら、その首はどうしてかポーンと宙を舞って、あの木の幹が二股に分かれたところに乗っかった。『これはいけねぇ』ってよ、男衆が木によじ登ろうとしたんだが、首から垂れた血ですべって登れない。なら長い棒で突いて落とそうとしたんだが、どういうわけか落ちやしねぇ。『うまく嵌っちまったなら仕方ねぇ』って、村人は胴体だけ処分して、首はそのままほかしといたんだわ」「え…気持ち悪くね?」顔を引き攣らせる俺を祖母ちゃんは笑う。「滅多に登ってこねぇ御社だから、目にもつかなかったんだろ。そんでな、それから少したったら、今まで元気だった男が突然倒れてそのまま死んだ。もちろん、あの敵兵の首を切った男だ。このときは気にも留めなかったが、その年の作物がまったく育たなくなって、妙な病気が流行り出して、あの首の呪いだと思い始めたんだ。それでお祓いしたんだが、効き目はねぇ。困り果てた村人はな、その木の幹に注連縄かけてお札貼り付けて、首切られた男をその木に閉じ込めてやったんだわ」「祓っても駄目だったのに?」「何でか知らんけどよ、そうしたら災いがぴたっと止んだんだ。人間は怖ぇよ。祓って駄目なら閉じ込めちまえってな。そんでな、毎年交代で札を新しく貼ったり、注連縄が古くなったらかけ換えたりってな、それでどうにかやってきたんだ。でもな、段々段々、その習慣も薄くなってな、注連縄も札もそのままになった。木は生長するからよ、注連縄の巻かれたとこだけ、ああやって括れてんだ」「じゃあ、もう呪いは解けたって?」「いや。たまーに変なことが起こるわ。○○の家のせがれ、頭がおかしいだろ。昔は何でもなかったのによ」「何であの家だけ…?(おいおい、うちはどうなんだよ)」「あの家だけじゃねぇ。下の○×の家もだ」そういえば、○×の家は奥さんと娘がおかしくなり、数年前に引っ越したのだった。「それから●△(他にも三軒くらい。忘れてたがいずれも変な家)」「他の家は?てか、うちは?」「あとの家は、もともとここらに住んでた奴らじゃねぇ。言ったことなかったな。うちの家はもともと商家でな、それなりに歴史もあったが、続けらんねぇことになってな、俺とお祖父さんが今の家に養子で貰われてきて、結婚して継いだんだわ」今、俺の家はごく普通の一般家庭。曽祖父の代で商家はすっぱりやめたようだが、今でも屋号が残ってて、祖父母世代の人は、未だにその屋号でうちを呼ぶ。屋号って、どの家にも当たり前にあるものだと思ってたから知らなかった。「その家の血が絶えれば何も起こらねぇみたいでな」「祖父ちゃんと祖母ちゃんてどこの人?」(ニヤリと笑って)「ずぅーっと遠くだ」なんで親戚が少ないのかわかったような…。「義母から聞いた話だ。本当か知らねぇよ」「今さらそんな」「まぁ、何にしても、うちは大丈夫だ。心配いらねぇ。けどわざわざ近付くなよ」よく見ると大木の幹の二股部分には、人の頭部ほどの瘤があった。あれの中身はまさか…とも思ったが、話自体の真偽も謎。その家には悪いけど、実家がある地区にある家のうち、数軒が変なのは事実。
怖い話を読んでいると霊が寄ってくる?不安な方はこちらがおすすめ
感想や考察があればぜひコメントで教えてください ↓コメントする
この話は怖かったですか?
怖かった45
次はこちらの話なんていかがですか
続きを読む
※既読の話はオレンジ色の下線が灰色に変わります
ひっそりと話題になってる心霊系の本
会社を辞めてバイクにまたがり今日も会いにいく 日本一周心霊ノ旅
訳アリ心霊マンション 4巻【電子特典付き】 (バンチコミックス)
あかりとシロの心霊夜話 36巻
邪鬼の泪 浮雲心霊奇譚 (集英社文芸単行本)
心霊探偵八雲1 完全版 赤い瞳は知っている 心霊探偵八雲 完全版 (講談社文庫)
心霊リスクマネジメント事例集2: ビジネス専門の霊能者「霊視経営コンサルタント」が教える「心霊リスクマネジメント」の事例をまとめた続編|前作1巻とは異なる事例が満載でビジネス上の心霊リスクや霊的なリスクヘッジの事例を知りたい時に辞典や辞書としても活用できる便利な事例集|ビジネスに必要なリスクマネジメントの一つである心霊リスクを知れる専門書|心霊リスクをビジネスに活かすヒントが知れる一冊 ... (霊視経営出版)
前の話:【じわ怖】大勢の人が歩く足音が聞こえんの
次の話:【じわ怖】ドウドウ
怖い話 No.4793
【じわ怖】工場の検査室
1617
43
2
中編3分
怖い話 No.4824
【じわ怖】田舎の深夜徘徊
1330
39
怖い話 No.4313
【じわ怖】木彫りさん
1631
31
短編2分
怖い話 No.5680
【じわ怖】大学生くらいの子にぶつかった
1584
30
短編1分
怖い話 No.18843
【じわ怖】結構しっかりした文字盤
1323
21
1
怖い話 No.12285
【じわ怖】死んでしまった猫
1960
34
怖い話 No.4378
【じわ怖】実家の井戸
1858
35
中編4分
怖い話 No.13499
【じわ怖】古い家の天井裏
1334
32
怖い話 No.5398
【じわ怖】煙臭い
1308
怖い話 No.5830
【じわ怖】山姫様
2449
51
心霊サイト運営者
全国心霊マップ
ghostmap
プロフィール
Twitter
新着じわ怖
S奈のお父さん
カーナビの示した位置
ベランダに女の影
国産うなぎ
マンションの屋上
占い師
窓に立つ男
幽霊の正体
自殺頭痛
友達からの葉書
医学は万能じゃない
嫁の日記を読んだ
新着コメント
元恩師にストーカーされていた
家鳴り?
幽霊のいた家
公衆電話ボックス
子供がうるさい
蛆が落ちてくる
寂しい岩場道