怖い話登録数18393話
恐怖感アップダークモード
(0件)
▼コンテンツには広告が含まれています
✕
ドラえもんの未来
お気に入り
2131
38
1
0
長編5分
コピー
「ドラえもんの未来」の朗読動画を探しています。YouTubeでこの話の朗読動画を見つけたらぜひ投稿していってください。
※YouTubeのURL必須
開始時間
00時間00分00秒
投稿する
私が小学校三年生位の時の話です。 その頃とても仲よしだった、 きよみちゃんという女の子がクラスにいました。 彼女と私は、毎日のように学校が終わるとお互いの家を行き来しては、 ふたりで遊んでいました。 その日は彼女の家の台所のキッチンテーブルで、 ふたりでドラえもんを読んでいました。 その内容は、ドラえもんがのび太に、 切抜き絵本のようなものを出していました。 それには、ケーキやおかし、車など色々なものがあり、 切り抜いて組み立てると、本物のように食べれたり、 乗れたりするというものでした。 きよみちゃんと私は早速 「おもしろい!まねしてみようよ!」 と、画用紙やハサミ、色鉛筆を持ち出しました。 もちろん、本物になることなどありえないと理解できる年齢でしたが、 とても楽しかったのを覚えています。 そして日も暮れかかり、 私が家に帰らなければいけない時間になりました。 きよみちゃんはいつもそうするように、 玄関の外まで私を見送りました。 そのとき、きよみちゃんが言いました。 「ぶるぶるちゃん。今日のこと、大人になっても忘れないで」 私はきよみちゃんがいきなり変なことを言うのには慣れていたのですが、 そのときは彼女の様子がいつもと違うので、なんでー?と聞き返しました。 今こうしてふりかえると、確かにあの日のきよみちゃんは、 いつもと雰囲気が違ったような気がします。 きよみちゃんは続けました。 「今日の私、32才の私なんだ」 ますます私には訳が分かりません。 でも彼女は続けます。 「2002年だよ。32才。 ぶるぶるちゃんのこと思い出してたら、 心だけが子供の私に飛んでっちゃった」 はっきりいって、聡明とはほど遠かった(今もね)子供の私は、 なんだかわからないけど、 2002年といったら超未来で、車なんか空飛んでたりする、 という考えしかないくらい遠い遠い未来。 「ふーん。ドラえもんの未来からかー!」 なんて、ばかな受け答えしかできませんでした。 きよみちゃんはそんな私を笑いながら、 「それが全然!マンガの世界とはちがうよー」 と言いました。 そして私ときよみちゃんは、また明日遊ぶ約束をして別れました。 今考えると、なんであのときもっと問い詰めなかったんだろう、と後悔しますが、 なんせ子供だったし、きよみちゃんも私と同様、ドラえもんの影響で、 ふたりでよくSFチックなことを夢見ていたので、 別にきよみちゃんが私に言ったことが、そんなに変とも思わなかった。 翌朝、学校に行くと、いつものようにきよみちゃんが私に話しかけてきます。 まるっきりいつものきよみちゃんでした。 そして私もまた、きよみちゃんが私に言ったことなどすっかり忘れて、 そのまま毎日が過ぎて行きました。 そして私たちは5年生になり、それと同時に私は地方へ引っ越すことになりました。 そしてそのまま、きよみちゃんと二度と会うことはありませんでした。 今年、2002年。 私は32才になりました。 そしてハッとします。 あの日のきよみちゃんの言葉を思い出して。 もしかして、もしかして、もしかして…と。 私はその後も引っ越しを繰り返し、今では海外在住です。 きよみちゃんを探したいのですが、 結婚してれば名字も変わっているだろうし、 どうやって見つけられるか。 あの頃の私は片親だったので、 (当時はまだ珍しく、世間からは白い目で見られがちだった) 「ぶるぶるちゃんと遊んじゃだめよ。片親なんだから」 と、思いっきりよその子供の親が、 私の目の前で言うなんてことも珍しくなかったし、 大嫌いだった先生にも、 「片親だからね。目つきも悪くなるんだろう」 と言われたこともあった。 そんな中、きよみちゃんだけが私の友だちで、 子供時代の唯一の理解者であったと思う。 会いたいと思う気持ちがそうさせたのか、 2週間ほど前に“あの日”の夢を見た。 あの日と同じ、きよみちゃんのおうちの台所。 キッチンテーブルいっぱいに画用紙と色鉛筆。 私が自分の家から持ってきたコロコロコミックが二冊置いてある。 (当時コロコロコミックは結構高価だったので、 私ときよみちゃんはかわりばんこに買って、 ふたりで回し読みをしていた) 台所からは6畳ほどの居間が見え、 きよみちゃんのお母さんが、 緑色の座椅子に座ってテレビを観ている後ろ姿が見えます。 本当に何もかもが、私がこの夢を見るまで忘れていたことまでが、 はっきりと目の前にありました。 きよみちゃんがケーキの絵を画用紙に描いて、色を塗り、 私はその横でハサミを持って、きよみちゃんが描くケーキを見つめています。 私は夢の中で、『これは夢だ』と自覚していました。 きよみちゃんが、ふと手をやすめて私を見ます。 そのとき、私は彼女に言いました。 「きよみちゃん。今日の私も、32才!」 きよみちゃんはびっくりした顔をしたと思うと、 私を見つめて言いました。 「忘れなかったんだ。ぶるぶるちゃん…」 きよみちゃんは半分泣き笑いような表情です。 私も泣きそうになるのをこらえながら言いました。 「ドラえもんの未来じゃなかったねー!」 そして、ふたりで泣きながらも大笑いしました。 そして…私は目が覚めました。 32才の私の体で。 私は泣いていました。 ただの夢だったと思う。 でも私は、時空を超えて、 あの時のきよみちゃんに会いに行ったのだと思いたい。 きよみちゃんがそうしてくれたように。 こうやって文章にすると作り話くさくなるね。 ちなみにこの話、誰にも話したこと無いよ。 するつもりも無い。 不思議なのは、32才になるまで彼女のことをすっかり忘れていたということ。 だって、一緒だった期間は多分2,3年だけだし。 私の見た夢は、多分きっと私の気持ちが見させたものだと思う。 だけど、あの日のきよみちゃんは、本当に2002年の私って言ったよ。
怖い話を読んでいると霊が寄ってくる?不安な方はこちらがおすすめ
1人が登録しています
感想や考察があればぜひコメントで教えてください ↓コメントする
この話は怖かったですか?
怖かった38
次はこちらの話なんていかがですか
続きを読む
※既読の話はオレンジ色の下線が灰色に変わります
Amazon無料でスグに読める本
幼馴染に告白したい小学生が1話ごとに美しく成長していく話 伊達しのぶ短編集
エロいスキルで異世界無双 THE COMIC 1 (ライドコミックス)
婚活したら地獄だった件(1)初お見合い編
幼人魚とお人好し
私の彼氏は「ごめん」を言わない どこかの誰かの体験談マンガ
【11】大好きなブランドを守るため!春子とニクちゃんが立ち上がる 『アパレる』まとめ集
前の話:【じわ怖】大切な電話
次の話:【じわ怖】二回目
怖い話 No.4715
【じわ怖】職場が変だった
1381
39
中編3分
怖い話 No.13105
【じわ怖】祖父祖母の不思議体験
1801
19
短編2分
怖い話 No.5371
【じわ怖】K村H美
1189
30
短編1分
怖い話 No.12559
【じわ怖】古戦場付近に引っ越した夜
1112
31
怖い話 No.13269
【じわ怖】42番カーブ
1486
33
中編4分
怖い話 No.5513
【じわ怖】海難
1377
28
長編10分
怖い話 No.13503
【じわ怖】異様に安い駐車場
1322
怖い話 No.13430
【じわ怖】第一便
2102
24
怖い話 No.5822
【じわ怖】奄美の港
1282
怖い話 No.20773
【じわ怖】我が家の宗教
1051
37
心霊サイト運営者
全国心霊マップ
ghostmap
プロフィール
Twitter
新着じわ怖
S奈のお父さん
カーナビの示した位置
ベランダに女の影
国産うなぎ
マンションの屋上
占い師
窓に立つ男
幽霊の正体
自殺頭痛
友達からの葉書
医学は万能じゃない
嫁の日記を読んだ
新着コメント
何故か人気のあるビデオ
荒れていた妹
スガタさーん
友達の様子がおかしくなってきた
3人で横一列に並んで歩いていた
元恩師にストーカーされていた
家鳴り?
幽霊のいた家