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でもさ、君は運命の人だから
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はじめまして。私にとっては怖いけど、それほど怖くない話ですが書かせて下さい。現キャバ嬢の友人が、霊感占いにハマリました。彼女が占ってもらう内容は恋愛。「運命の人」事あるごとに電話やメールで占い師さんのお告げ?を話してくれるのですが、その信心ぶりは日を追う毎にエスカレートしていきました。彼女が泊まりに来たある日、いつものように占い師さんが如何に凄いかを語りながら、バッグから小さな白い紙を取り出しました。 そして「塩、あるよね。ちょうだい」嫌な予感を感じながらも塩を渡すと、予想通り白い紙に塩を盛り始めました。「何してるの・・?」と私。「これやらないと運命の人が遠ざかっちゃうんだって。霊とかじゃないから平気だよ」「これ、普通の塩だよ。ご利益ないんじゃない?」「これかけるから平気」彼女はそう言って、持参した小さいボトルの中の水を盛り塩にかけました。「これ、難しいんだ。ちゃんと三角にしないと逆効果になっちゃうから」そう言いながら綺麗な三角の山を形作る彼女。この頃から、少しおかしいと思い始めました。「占い師と話してたら、最近、霊感ついちゃったみたいでさ」ファミレスで食事をしていた時、突然、彼女が言い出しました。この店の厨房には二人いる。後ろの客、おっかないもん連れてるよ。あんたのこと、死んだ犬が守ってるよ。レジのところにいる奴、さっきから話し掛けてくるんだ。・・・など等、食事中の会話としては不適当と思われる話題のオンパレード。盛り塩から2ヶ月程、全く連絡がなかったのですが、その期間は生霊に取り憑かれ、私に迷惑がかるからと敢あえて連絡しなかったそうです。彼女曰く、その生霊は彼女の運命の人の現恋人とのこと。彼女の存在に気付き、彼を渡したくなくて彼女に生霊をとばした・・という事らしいです。「大変だったよ。夢にまで出てきて。絶対に渡さないって首を締めるんだもん」「え・・。もう大丈夫なの・・?」「大丈夫。占い師に言われた通りずっとこれ身につけてたら、諦めたみたい」彼女の手首にはハートが二つついた銀のブレスレットがありました。「このブレスレットさ、占い師が念を入れてくれたんだ。始めはあの女(運命の人の現恋人)が邪魔してたんだけど、今はもう運命の人の気持ちがこっち向いてるの分かったみたい」ブレスレットを愛しそうに撫でる彼女の眼が怖かったです。「もうすぐ出会えるんだ」って呟きながら・・。運命の人が誰かは今は分かりませんが、彼女は本当に運命の人と近づいてきてると信じています。この夏、旅行に行った後に出会うのだと占い師に言われたそうで、ここのところ旅行に誘われているのですが、休みがなかなか取れないのと、なんだか怖くて日程を決めていません。「この期間を逃したらまた数年、離れ離れになっちゃうんだよ。お願い」と、必死に都合をつけようとする彼女。今、出会わなければ運命の人は現恋人と結婚してしまうそうです。彼らが離婚するまで、彼女は待ち続けなければならなくなる。そうすると彼女と運命の人の未来が変わり、産まれるはずの子供の一人と会えなくなくなる。あの女(運命の人の現恋人)は自分を憎んでるから、早く出会わなければ引き裂かれる。旅行の日程が決まらないのはあの女が邪魔してるからだ。あの女がいるから、彼も私と出会えなくて歯がゆい思いをしてる。まだ見ぬ運命の人を遠距離恋愛の恋人のように話す彼女に尋常ではない怖さを感じています。毎晩のように誘いの連絡が来ています。ブレスレットのハートの輝きが薄れてきたから、早くしなきゃと写真まで送ってきます。彼女は淋しかったんでしょうか。占い師の「運命の人」という言葉にしがみつき、見ず知らずの女を憎み始めています。旅行に行った後、彼女の前に運命の人が現れなかったら・・と思うと怖いです。文才のなさも手伝って、文字にするとただの日常生活みたいになってしまいました。ちっとも怖くなくて申し訳ありません。ただ1日に20通以上も「早く決めなきゃ」と届くメールを受け取る私は非常に怖いのです・・。
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