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筍狩り
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地元に、道内ではほんの少し有名な山菜スポットがある。発条やら何やら、中でも筍が大量に採れる事で、地元の人間に人気が高い。俺は自衛隊員の親父の趣味に影響されて、毎年シーズンになると、二人で連れ立って筍狩りに出向いていた。その日は朝からの快晴もあってか、妙に気分が高揚していた。親父は休日出勤と言う事で、今回は車での送り迎えだけを頼んだ。 早朝、道脇の入り口に到着。親父に下山する時間を告げて山へ入る。小さくなっていくカローラを眺め、意地悪く手を振ってやったりした。本当に気分が良かった。いつもの獣道に入る。道には雑草が茂っていて、まだ今季は人がほとんど来ていない事がわかった。こいつはチャンスだ。生い茂る竹やぶを掻き分け、毎年お世話になってる群生地点に到着する。程よく成長した筍が俺を待っていた。案の定、ほとんど採られていない。俺は背中を汗にじっとり湿らせながら、意気揚々と筍をリュックへ詰めて行いった。どれほど経っただろうか。気がつけば、既に下山予定の時刻を過ぎている。気温が下がり、雲行きも怪しい。日は既に傾きつつあった。清涼な空気は何処へやら、どんよりと重たい閉塞感まで感じる始末。木々のざわめきも無く、川のせせらぎだけが響く薄暗い山中というのは、すぐ近くに車の通りがあるとはいえ、中々に不気味なものだ。不安すら感じた。俺はリュックを背負いなおすと、なるべく急いで山を降り始めた。背中に何故かほんのりと温もりを感じる。その重量に確かな満足感を覚えて、幾分気が楽になった俺は、軽快な足取りで山を下った。入り口に親父のカローラが停まっていた。少し遅れた事もあって、申し訳なく思いながら手を挙げる。親父も俺の方を確認して、クラクションを一回鳴らした。と、唐突に親父がクラクションを3~4回叩いた。呆気に取られていると、親父が転がるように車から飛び出て来た。目をまん丸にに見開いて、俺の背中を指差して、「お前、リュックどうした!」俺は「はぁ?ここにあるだろ、ホラ」とリュックを降ろし、眼前に掲げた。目の前に、狐の死骸がぶら下がっていた。胴体が千切れかけ、赤黒い断面から骨が見え隠れしていた。頭がひしゃげて――ここいらで限界。思い出したら喉に熱い物が……。つまり、筍狩りを切り上げて下山し始めた時から、約30分間。俺はずっと、狐の腐乱死体を担ぎながら歩いていたらしい。翌日行ってみると、リュックは筍がぎっしり詰まったまま放置されていた。
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