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最も奇妙で、変な体験
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電話関係の仕事をしています。数ヶ月前のある日、都内某所のワンルームマンション。そこはオートロック式のマンションで、三階建ての建物でした。築大体3年目位との事でした(ビル管理会社のお話)。で、そのマンションのある所に、作業に行った時の話です。作業を行なう時は、必ず前日に確認の電話をうちの会社では入れます。私は連絡先に指定されていた携帯電話番号に連絡を入れました。大体8回位のコールのあと、その(仮にAさんとしておきます)Aさんが出ました。 『……はい』妙に沈んだ声です。「お世話になっております、私○のBという物です。A様の携帯電話でございましょうか?」『…………はい』しばらく間をおいて、またえらく沈んだ声で返事が返ってきました。「……の件で、A様の作業ご希望日『明日・午後』となっておりますので、明日・15時頃作業のためにお伺いしたいのですが、ご都合の方はいかがでしょうか?」『………………はい』都合がいいのか悪いのか、はいと言う返事では判りませんが、取り合えず了承したと受け取り、明日うかがうこと、作業開始前に携帯に連絡を入れること等を再度伝えます。この事前確認の時から変といえば変でした。何を言っても、少し間をおいて『はい』という返事しか来ないのです。でも、まあ妙な客はいますし、その時は『嫌な客・変な客系』の人じゃないだろうなという心配はしましたが、特に気にもしませんでした。翌日、午前の作業を終えたあと、件のAさんの所に伺いました。賃貸マンションのため、ビル管理会社の人も同席します。近場のコインパーキングに車を止めマンションに向かう前に、これから伺う旨を携帯で連絡します。『…………はい』「昨日連絡いたしました○のBですが……」『…………はい』「昨日もご連絡いたしましたが、作業の方、これからお伺いいたします。あと5分ほどで到着いたしますので、よろしくお願いいたします」『…………はい』という、妙に沈んだ声で返事が返ってきました。同僚のCに昨日からのことを話し、「絶対、危ない計の客だ。この間の○みたいな」と、決して客前では出来ない、今まで見た客ネタで話をします。「やだなぁ○って。この間の、あのヒッキーみたいな奴でしょ。あの部屋自体がやばかったですよね……」そんなこんな話をしているうちにマンションに到着です。マンションの入り口にはビル管理会社の人(Dさんとします)が待っていました。お約束の名刺交換のあと、ロックを開けて貰うべく連絡をします。『………………』一回目のコールでは反応がありません。二回目のコールで、しばらく間をおいて反応がありました。『…………はい』「先ほどご連絡いたしました○のBです。作業の方にお伺いいたしました。ロックの方、解除してもらえませんでしょうか?」ガチャ返事の代わりにロックが解除されました。エレベーターに乗りお客様の階へ。(三階建てのマンションの三階でした)大体一つの階に6~7部屋あるマンションでした。エレベーターを降り通路に出ると、そのうちの一つのドアが開いていました。???ひょっとしてドアを開けて待っていてくれているのだろうか?そのドアの開いている部屋がAさんの部屋でした。「ごめんください、○のBですが……」返事がありません。ワンルームマンションなので、扉が開いていると内部がほぼ全て見通せます。キッチンの先に部屋があり、そこの扉の開いています。廊下にあるバストイレらしい扉も開いています。が、部屋の中には誰もいません。エアコンがついており、PCかテレビの独特の青白い光が見えます。カーテンは閉めてあり、奥の部屋は妙に薄暗いのが印象的でした。「Aさん……」管理会社のDさんも声を掛けますが、やはり返事がありません。ひょっとして行き違えたのかもしれません。同僚のCにロビーまで見に行ってもらいました。が、ロビーにはいなかったとの事。私、C、管理会社の人共に顔を見合わせます。私「出掛けているんですかね?」D「いや、でもロック開きましたし」C「極度の人見知りで、どっかに隠れているとか?」D「隠れる所なんかないですよ?」まあ、戻ってくるかもしれません。しばらく待つことにします。妙な出来事といえば妙な出来事ですが、隣に行っているとか、緊急の用事で近所に行っているとか、そんな理由かもしれません。まあ、ドアが開いていたのは妙ですが、勝手にやってくれという事かも知れませんし。10分ほど玄関前で待ちましたが、Aさんは戻ってくる気配がありません。D「勝手に始めるわけには行かないんですか?」私「はい。やはりお客様の室内ですし、何か問題があったとき困りますから。お客様か、お客様指定の立会い者、またはお客様から書面の形の委任状のような物がないと、勝手に作業をするわけには……」D「まあ、常識的に考えればそうでしょうね」…………D「ひょっとすると、中で倒れているとか、中に手紙があるかもしれませんし、私、ちょっと上がってみます」そういってDさんは、「Aさん、失礼いたします」と心持大きな声で言った後に部屋に上がりました。が、やはり誰もいなかったし、手紙や類する物もありませんでした。なんだか気味が悪くなってきました。Aさんの携帯に連絡しましたが、部屋に置いてあるのかコール音が空しく鳴るだけです。C「何なんですかね、これ?」私「さあ?」D「何処いったんでしょうね?Aさん」何がなんだかわけがわかりません。オートロックを解除した時まではAさんは居た筈ですが、開け放たれた扉と、運転しっぱなしのエアコンと、起動したままのPC(Dさんの話)、しかし肝心のAさんは居ません。まるでマリーセレスト号事件のようです。C「警察呼んだほうがいいんじゃないのか?」私「いや、でも事件じゃないし……」少々というか、かなり奇妙な気分がしてはいましたが、何時までも待っているのもなんなので、建物自体への電話線の引きこみ口とMDFという所を見るために、私とCはDさんをAさんの部屋の前に残して、外回りとMDFの確認に行きました。外を見るとき、それとなく3Fのベランダを見ましたが、ベランダの見える範囲には人影はありませんでした。外回りとMDFを見たあと、再びAさんの部屋の前へ。が、Aさんが戻ってきていないとの事。結局30分近く待ちましたが、Aさんは現れませんでした。不在連絡を書いて、それを靴箱の上に置き、Dさんに携帯番号を教え、何かあったときは連絡をしてもらう事にして、現場を去りました。妙な出来事に、車内でその謎解きになりました。変な人で、戸惑う我等の姿をビデオでとっていたのではないか?が、その意見を言ったCは、それらしいものを目に付く範囲で探したが、カメラを隠せそうなものはなかったとのこと。Dさんと話した時の話では、近所づきあいをする様なマンションではないとの事です。(まあ、ワンルームなら当然かもしれませんが……)結局、事務所に戻り、処理をして、その作業の受付をした部門にお客様不在の旨を連絡しました。上司に一応相談しましたが、この業界長い上司もそんな妙な出来事は初めてとの事でした。その後、Dさんから18時ごろ連絡がありました。Dさんはその後2時間ほどもAさんを待っていたが、結局Aさんは現れなかったとの事。結局、勝手に扉を閉めるわけにも行かないので、そのまま一筆書いて現場を去ったとの事。妙な気分を通り越して、なにやら背筋が寒くなりました。翌日、翌々日と、そのAさんに再作業の意思があるか確認の為にも連絡を入れましたが、応答がありません。その作業案件を受け付けた部門に問い合わせた所、そこもAさんと連絡がつかない状態との事。その作業案件は、いまだに『お客様連絡待ち』という付箋が付いた状態で、事務所の棚に置いてあります。その出来事から2ヶ月ほどたっていますが、Aさんからの連絡はありません。もちろん受付部門にも。書き込みをする前に試しにAさんの携帯に掛けてみましたが、コール音だけで連絡が付きませんでした。以上、長々と書かせていただきました。落ちは、今のところ特にありません。私が経験した中で最も奇妙で、変な体験だったものです。
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