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名水

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  コワい話は≠くだけで。　1 (ＢＲＩＤＧＥ　ＣＯＭＩＣＳ)

• 知り合いの話。
  
  彼はかつて漢方薬の買い付けの為、
  中国の奥地に入り込んでいたことがあるという。
  
  その時に何度か不思議なことを見聞きしたらしい。
  
  「ある所の山を歩いていた時のことなんですがね。
  小さいけれど、とても綺麗な川を見つけたんですよ。
  丁度、喉が渇いていたこともありまして、
  飲んでみるとこれが美味しくて。
  是非頂いていこうと、
  残っていた水をすべて、
  その川の水に入れ替えたんです」
  
  
  
  
  
  「水筒だけでなく、
  空になったペットボトルにも詰めたんですけどね。
  さぁ収めようかと持ち上げてみると、
  中で何か泳いでいるんです。
  キラキラと光り輝く、美しい魚が何匹も。
  吃驚しました。水を汲む時に、
  そんな魚はいませんでしたから。
  それにどの魚も、
  ボトルの口よりも大きかったのです。
  間違っても中に入る訳がありません」
  
  「はぁー、と感心しながらボトルを振ってみると、
  魚は水に溶けたように消えました。
  しばらく放っておくと、
  またふっと姿を現して泳ぎ始めましたが。
  全部の水を取り替えちゃったものですから、
  これを飲むしかありません。
  まぁ、口を近づけると、
  魚は消えてしまうので問題はありませんでしたが。
  あれは本当に不思議な体験でしたねぇ」
  
  地元の名水を飲みながら、
  彼はこの話を聞かせてくれた。
  

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