怖い話登録数18393話
恐怖感アップダークモード
(0件)
▼コンテンツには広告が含まれています
✕
何でもいいから食べ物は一口残せ
お気に入り
1747
53
0
短編2分
コピー
「何でもいいから食べ物は一口残せ」の朗読動画を探しています。YouTubeでこの話の朗読動画を見つけたらぜひ投稿していってください。
※YouTubeのURL必須
開始時間
00時間00分00秒
投稿する
今は昔。 頃は秋。 友人Aと上高地へ行った時の事。 休日でもあり、 そこは我々も含めた観光客でいっぱいだった。 その賑わしさをものともせず、 梓川、河童橋の向こうに見える穂高は、 相変らず凛として美しい。 少し早い食事を済ませ、遊歩道へ行ってみると、 初めて穂高を見て感動モードに突入しているAは、 もう何を見ても“嬉しい状態”である。 「あ、さかな!」 歓声を上げ、私より先に2、3歩川に近づいたAが、 ふいにその場にしゃがみ込んだ。 「どうした?」 あわてて駆けより、 その体に手をかけると異様に冷たい。 振り仰いだAの顔は青白く、 唇に至っては紫色に近い。 「なんか、腹へって、寒いんだ…」 か細い声でAはそう言ったが、 食事をして未だ20分もたっていない。 あれほど人がいたはずなのに、 なぜか周囲には誰もいない。 「だめだ…」 そして、へたり込んでしまったAの不気味なしゃがれ声。 「ひもじいよォ…」 私はぞっとした。 違う、いつものヤツじゃない。 これはダルだ! 子供の頃、年寄から聞いたダルに違いない。 「山へ入った時、 何でもいいから食べ物は一口残せ。 山にはダルがおる。 ダルに取っ憑かれたら、 腹が減って動けんようになって死んでしまう。 そん時にな、何でもいいから口に入れたら、 ダルが離れて助かるんじゃ。 だから、山で弁当使う時は必ず一口残せ」 そう、言聞かされた。 本当か嘘か知らないし、 今までそんな目に遭った事はなかったが、 山の方へ行く旅にはなんとなく、 赤ん坊の拳大のおむすびを2つ持って歩いている。 これが多分それだ。 とにかく急いでリュックからおむすびを取出し、 Aの口の中へねじ込んだ。 中身はAが死ぬほど嫌いなウメボシだが、 構っちゃいられない。 飯団子と呼んでも良い程固められたそれを、 Aはまるで蛇のように一飲み。 「………」 人間業ではない。 恐怖に駆られた私は、 もう一つのおむすびもAの口に放り込み、 それが飲込まれるのも確かめないまま、 水筒を彼の口に押しつけた。 大きく喉が動き、 やがてAは自分の手で水筒を掴んで茶を飲み始め、 次第に飲み干す速度がゆっくりとなって、 ついにそれが止った。 「ああー、旨かった」 満足げに笑ったAの声が、 妙にダブって聞えた。 あれからずいぶん経つけれど、 そんな目に遭った事は一度もない。 今日も穂高は美しい。
怖い話を読んでいると霊が寄ってくる?不安な方はこちらがおすすめ
感想や考察があればぜひコメントで教えてください ↓コメントする
この話は怖かったですか?
怖かった53
次はこちらの話なんていかがですか
続きを読む
※既読の話はオレンジ色の下線が灰色に変わります
Amazon無料でスグに読める本
光る風 第2巻
光る風 第3巻
光る風 第1巻
がきデカ 第2巻
がきデカ 第6巻
がきデカ 第5巻
前の話:【ほん怖】中古の一人用テント
次の話:【ほん怖】岩場登り
怖い話 No.10829
【ほん怖】お婆さんの引越しの手伝い
1967
40
怖い話 No.3232
【ほん怖】小さな町工場
1624
32
短編1分
怖い話 No.19975
【ほん怖】霊的DV
1454
34
怖い話 No.3325
【ほん怖】中古の普通車
1535
47
1
怖い話 No.11310
【ほん怖】アチコチ出没
1368
23
怖い話 No.21716
【ほん怖】おばの話
1370
中編4分
怖い話 No.15042
【ほん怖】初日の出を見に登山
1541
怖い話 No.3454
【ほん怖】ヒモロギアラシ
1717
52
怖い話 No.3867
【ほん怖】隣に座った外国人
1800
中編3分
怖い話 No.3707
【ほん怖】田舎の夏
1689
36
心霊サイト運営者
全国心霊マップ
ghostmap
プロフィール
Twitter
新着ほん怖
でっかいカエル
古びたフランス人形
信号待ち
家への電話
ヘアピンが落ちてる
友達の家に電話
笑い声
缶けり
義理の姉
サンタとトナカイ
極限状態の意識
白黒おじいさん
新着コメント
青梅市の御岳山
凶刃
近づいてはいけない淵
ベニテングダケ
忍者ごっこ禁止令
異物混入
金子くん
熊に怯えていた