怖い話登録数18393話
恐怖感アップダークモード
(0件)
▼コンテンツには広告が含まれています
✕
ケイコさん
お気に入り
978
45
0
中編3分
コピー
「ケイコさん」の朗読動画を探しています。YouTubeでこの話の朗読動画を見つけたらぜひ投稿していってください。
※YouTubeのURL必須
開始時間
00時間00分00秒
投稿する
うちのばあさんは四国のとある港町で料理屋をやっているんだが、 そこで常連としてよく来ていた、 水産会社の社長から聞いたという話。 その社長曰く、 ある頃から会社の事務所に女の幽霊が出るようになったと言う。 といっても、 いわゆる貞子とかあーいうおどろおどろしい感じではなく、 たまに事務所に現れては、 儚げな表情で遠くを見つめて佇んでいるだけ。 それも昼間から。 もちろん幽霊なので見えない人には見えないし、 見える人も最初は驚いたものの、 誰かを恨んでいる様子でもなく、 ただじっとそこに立っているだけなので、 だんだん気にならなくなっていったそうだ。 社長もそのうちの一人で、 あまりに普通にいるもんだから、 その幽霊に「ケイコさん」と名付け、 「今日もケイコさん来てるなあ」 という会話が職場で共有されるぐらい、 当たり前の存在になっていった。 その会社の事務所は船着き場に併設してあって、 海上で作業がある時は、 事務所の裏手から直接船に乗り込む形になっているんだが、 ケイコさんはそのうち、 裏手のコンクリの縁に立って海を眺めていたりとか、 出没する場所もちょっとずつ増えて行って、 しまいには皆が船に乗って出ていく時には、 気が付いたら船の甲板に立っていた、 なんてこともあったらしい。 それも段々当たり前になっていった頃、 いつものように社員数名と社長で乗船し出港したところ、 甲板の端っこに、またしてもいつのまにかケイコさんが立っていた。 この頃には社長もすっかり慣れてしまっていて、 「おーケイコさん今日も来たかー」 なんて呑気に話しかけていたそうだけど、 ケイコさんは顔色一つ変えず、 いつものように遠くを眺めていた。 同乗していた社員もその時は大半が見える人たちだったそうで、 いつもの事と特に気にも留めず、作業を続けていた。 ひとしきり作業を続け、 そろそろ会社に戻ろうかという時、 社長がふとケイコさんの様子を見ると、 相変わらず遠くを見つめてじっと突っ立っていたが、 次の瞬間、ふい、と首を傾けて、斜め上の方を見やった。 社長も、それを見ていた他の社員もつられてケイコさんの見た方向を向くと、 何と目の前には見上げるばかりの巨大なタンカーがすぐそこまで迫っていて、 衝突目前のところまで来ていたそうだ。 なぜ気づかなかったのか、 社長も社員も驚くどころの騒ぎではなく、 身構えて船のへりに掴まったり、その場に転げ落ちたり、 社長は社長で、もう間に合わないがせめて少しでも回避できないかと、 大慌てで操舵室に駆け込んだ。 もうぶつかる!という瞬間、 ふと視界の端にケイコさんの姿が映った気がして、 反射的にそっちの方向に目をやると、 さっきまでそこにいたはずのケイコさんがいなくなっていた。 あれっ!?と思ったのもつかの間、 ついそこまで来ていたタンカーも同時に忽然と消えていた。 一瞬の出来事に全く事態を飲み込めず、 一同しばらく呆然としていたが、 その後は特に事故もなく、 無事に帰港する事が出来たそうだ。 それからというもの、 ケイコさんは事務所にも、 船にも現れなくなった。 かなり入り組んだ内海なので、 あんな巨大なタンカーが航行してくるとは考えられない。 あのタンカーは幻だったのか。 ケイコさんはなぜこの事務所や船に現れ、 そして突然姿を消したのか。 何もかも謎を残したまま、 それを確かめる術もなく今に至る、とのことだ。 まあこの話をばあさんから聞いたのは小学生か中学生のころなので、 色々記憶を補完しているところがあるかもしれないが、 何のオチもなく、ネタばらしもなく、 ただモヤモヤする話で申し訳ない。 ただ何かを待つように、 遠くを眺めて佇むケイコさんの姿を想像すると、 何とも言えない不思議な、少し寂しいような気持になる。
怖い話を読んでいると霊が寄ってくる?不安な方はこちらがおすすめ
感想や考察があればぜひコメントで教えてください ↓コメントする
この話は怖かったですか?
怖かった45
次はこちらの話なんていかがですか
続きを読む
※既読の話はオレンジ色の下線が灰色に変わります
漫画売れ筋
葬送のフリーレン(14) (少年サンデーコミックス)
片田舎のおっさん、剣聖になる~ただの田舎の剣術師範だったのに、大成した弟子たちが俺を放ってくれない件~ 7 (ヤングチャンピオン・コミックス)
薬屋のひとりごと 15巻 (デジタル版ビッグガンガンコミックス)
キングダム 75 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)
無職転生 ~異世界行ったら本気だす~ 22 (MFコミックス フラッパーシリーズ)
ブルーロック(33) (週刊少年マガジンコミックス)
前の話:【ほん怖】おかしな死体が流れてきた
次の話:【ほん怖】普段行かない漁場
怖い話 No.11371
【ほん怖】5人以下の時にしかその現象は起きなかった
1531
39
短編1分
怖い話 No.20110
【ほん怖】姉から人形が送られてきた
1518
1
短編2分
怖い話 No.3041
【ほん怖】母が有名な武家の出身
1942
36
怖い話 No.21670
【ほん怖】もう1つの歴史
1276
10
怖い話 No.11078
【ほん怖】重度精神病棟
1631
33
怖い話 No.11063
【ほん怖】男のストーカー
1535
27
怖い話 No.10853
【ほん怖】神宮前駅
1853
23
怖い話 No.3277
【ほん怖】悪い虫
1414
53
怖い話 No.11380
【ほん怖】宝探しという遊びをしていた
1402
37
怖い話 No.3468
【ほん怖】報い
1948
31
長編6分
心霊サイト運営者
全国心霊マップ
ghostmap
プロフィール
Twitter
新着ほん怖
でっかいカエル
古びたフランス人形
信号待ち
家への電話
ヘアピンが落ちてる
友達の家に電話
笑い声
缶けり
義理の姉
サンタとトナカイ
極限状態の意識
白黒おじいさん
新着コメント
母が精神の方で入院するかもしれない
狩られる6人
精神科医の伯父
必死に助けを求めている
戦争中に沈没した潜水艦
とある集落の依頼
姉あての電話