怖い話登録数18393話
恐怖感アップダークモード
(0件)
▼コンテンツには広告が含まれています
✕
好きだった叔父さん
お気に入り
1236
45
0
中編4分
コピー
「好きだった叔父さん」の朗読動画を探しています。YouTubeでこの話の朗読動画を見つけたらぜひ投稿していってください。
※YouTubeのURL必須
開始時間
00時間00分00秒
投稿する
小学生の頃、家に叔父さんが居候してた。 叔父さんは工場の仕事をクビになり、 家賃も払えなくなってアパートを追い出され、 やることもなく、毎日俺んちでゴロゴロしていた。 収入もなく、毎日安酒を飲んで寝てるだけの叔父さんだったけど、 甥っ子の俺のことは可愛がってくれ、 時々アイス買ってくれたり、釣りやクワガタ採りに連れてってくれたりして、 俺はこの叔父さんのことを好きだった。 叔父さんが居候しだして半年が過ぎた頃、 ある土曜日の雨の深夜、 親父と伯父さんが階下で言い争いをしてる声が聞こえた。 かなり激しい怒鳴りあいだったので、 聞いてたラジオを消し息を殺して聞いていると、 バタンとドアが閉まる音がして、 叔父さんがドカドカと階段を上がってきた。 げっ、俺の部屋にくんの?とビビってると、 隣の仏間の障子がピシャっと閉まる音がした。 俺はそっと布団に潜り込み、暫くドキドキしてたが、 いつの間にか寝入ってしまった。 翌日の日曜、俺の両親は店へ行き、 家には俺と叔父さんの2人きりになった。 俺は昨日のことは知らないふりで、 日曜の昼のテレビを見ながら、 母ちゃんが用意してくれてた唐揚げで昼飯を食っていた。 叔父さんが仏間から出てくる音がして、 階段を下りる音が続いた。 俺はちょっと緊張しながら、 「おじさん、おはよ~」 と言うと、叔父さんも、 「おう、なんや、美味そうやな」 と一緒にご飯を食べだした。 「ツトム(仮名)、飯食ったら釣り行くか?」 と誘われたので、 俺も子供心に叔父さんを慰めてやろうと、 「うん」 と同意した。 釣竿を2本持ち、仕掛けの詰まった箱をバケツに入れて、 俺と叔父さんは、いつも釣りに行く近所の滝つぼへ向かった。 滝つぼは前日の雨で水位が増し、コーヒー牛乳色の濁流が厚い渦を巻いていた。 「あんまり釣れそうやないね」 と俺が言うと、叔父さんも 「どうやろか、ちょっとやってみようか」 と応えた。 「こう言う時の方が帰って釣れるもんやけん。ウナギとか釣れるとぞ」 と言い、叔父さんは滝壺の方まで進んだ。 俺は、こんな奥やら行かんでいいのにな~と思いながらも、 言葉すくなに早足で進む叔父さんの後をついて行った。 「ここでいいか」 叔父さんは、滝壺手前の高い大岩の前で止まった。 「ツトム、この上から釣ろうか。ちょっと上ってみ」 と俺を持ち上げた。 俺が脇を抱えられ岩の上に這い上がると、 「どうや?水の具合は。釣れそうか?」 と叔父さんが聞いてきた。 俺は濁流が渦巻く水面を覗き込み、 「魚やらいっちょん見えんよ」 と魚影を探した。 暫く水面を見てた俺は、叔父さんの返事の無いことに気付き、 「伯父さん?」 と振り返った。 岩の下にいたはずの叔父さんは、俺の直ぐ背後に立ち、 俺を突き落とそうとするような格好で、両手を自分の胸の前に上げていた。 振り向きざまに叔父さんの姿を見た俺は固まった。 叔父さんは無表情で、力の無い目をしていた。 せみの鳴き声をバックに時が止まった。 俺は何も言えずに、叔父さんの目をただ見つめ返すことしか出来なかった。 汗が頬を伝い、身動きの出来ない体の中で、ただ心臓の鼓動だけが高鳴った。 伯父さんも手を下ろそうとせずに、ただ無気力な目で俺を見つめていた。 どれくらい見詰め合っただろう。 不意に叔父さんの背後の藪がガサガサと鳴った。 両者ともはっと我に返り、藪に目をやった。 見ると、近所の農家のおっさんらしき人が、 こちらに気付く様子もなく横切って行った。 俺は叔父さんの横を通り過ぎて、 「今日は釣れそうにないけん、俺先帰っとくね」 とだけ言って歩き出した。 滝から少し離れると、 俺は弾かれたように全速ダッシュで逃げた。 振り返るとあの目をした叔父さんがすぐ後にいるような気がして、 俺は前のめりになって全力で走った。 大分走ったころ、自分がボロボロ泣いていることに気付いた。 俺は家に帰らず、両親のいる店へと向かった。 当時定食屋をやってた両親の店で、 俺は両親が店を終わるまで過ごした。 伯父はその日帰ってこなかった。 翌日の夜に親父が警察へ届け、数日後に水死体で見付かった。 俺は滝壺であったことを一切語らず、伯父は一人で釣り中の事故で片付いた。 俺が持ち帰った仕掛け箱に、叔父さんの字で書かれたメモがあった。 それには、『ツトムを連れて行く』とだけ書いてあった。
怖い話を読んでいると霊が寄ってくる?不安な方はこちらがおすすめ
感想や考察があればぜひコメントで教えてください ↓コメントする
この話は怖かったですか?
怖かった45
次はこちらの話なんていかがですか
続きを読む
※既読の話はオレンジ色の下線が灰色に変わります
ひっそりと話題になってる心霊系の本
週刊実話 増刊 発禁! 最恐の心霊現象2025夏 [雑誌]
その心霊バイト、危険につき ~ビンボー少女とパチモン巫女のオカルトバイト営業忌録~ (電撃文庫)
新 心霊探偵八雲2 青藍の呪物 【電子特典付き】
零零奇談 退魔探偵と心霊物件 (星海社 e-FICTIONS)
訳アリ心霊マンション 4巻【電子特典付き】 (バンチコミックス)
霊能者・寺尾玲子の心霊質問箱
前の話:【ほん怖】ダイエットした理由
次の話:【ほん怖】桜の花
怖い話 No.3464
【ほん怖】真夜中の宴会
2287
47
4
長編5分
怖い話 No.3407
【ほん怖】汚い部屋
1838
30
怖い話 No.3813
【ほん怖】地下街の住民
1873
46
短編2分
怖い話 No.2917
【ほん怖】大きな病院で働いていた頃
1718
44
短編1分
怖い話 No.3279
【ほん怖】施設でボランティア
1815
42
怖い話 No.11566
【ほん怖】山で迷った上に雷雨になった
778
18
1
怖い話 No.11426
【ほん怖】死相が見える
1566
怖い話 No.11408
【ほん怖】ビルのエレベーター
1286
20
怖い話 No.3898
【ほん怖】卒業アルバムのクラス写真
1952
怖い話 No.11363
【ほん怖】旧保育園に入るための手順
1828
38
2
心霊サイト運営者
全国心霊マップ
ghostmap
プロフィール
Twitter
新着ほん怖
でっかいカエル
古びたフランス人形
信号待ち
家への電話
ヘアピンが落ちてる
友達の家に電話
笑い声
缶けり
義理の姉
サンタとトナカイ
極限状態の意識
白黒おじいさん
新着コメント
浮気が発覚しても別れないと宣言された
田舎の廃校
お前もか・・・
異物混入
壁のひび割れた隙間
翌日に寝込む
凍りつく
簡単なQ&A
警察呼びますから!