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ドとレとミとソの音が抜けたピアノの音が響き渡った

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• ドとレとミとソの音が抜けたピアノの音が響き渡ったとは

  立原美幸の日々是心霊1巻 (ダイトコミックス)

• 今、私がどこに居るのか？
  
  それは私にはわからない。
  
  かすかに、波の音が聞こえる。
  
  どんなにもがいても動けない。
  
  ラジオが聞こえた！
  
  こんなにも静かだからすぐ分かるそぅっと耳を傾け、聞いてみた。
  
  どうしても、肝心な場所が聞こえない。
  
  どうしよう。暗いし寒い。
  
  ろうそくの灯火だけがたよりだ。
  
  みんな、無事だろうか。
  
  しまった！風が吹き、火がきえた。
  
  どうしようもない。諦めた。
  
  にんげんとしての生涯を終えるか。
  
  みんな、もうお別れだよ。
  
  いま、死ねるのだろうか。
  
  れんあいやけっこん、したかったな。
  
  くるしまずに死にたいな。
  
  ドとレとミとソの音が抜けたピアノの音が響き渡った。
  
  私は死んだ。
  
  
  

  ドとレとミとソの音が抜けたピアノの音が響き渡ったの解説
  
  
  「ど」「れ」「み」「そ」を抜いて
  一文字目を縦読みすると
  「今かラころしにいく」
  
  つまり、
  「今から殺しに行く」
  となる。
  
  そのため、語り手は死んでしまった。
  
  
  見知らぬ人からの手紙とか言葉ではなく、
  語り手の言葉から特定の言葉を抜いて
  暗号を成り立たせる。
  
  これをリアルタイムで行ったら
  ものすごい技術である。

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