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廊下の突き当たりにある箪笥
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1997
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中編4分
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むかーし私が小学校2~3年の頃、 何度も何度も同じ夢を見ていました。 それは、母の実家に母と二人で帰っていて、 母、祖母、私の3人で、 家(築100年)の2階の廊下の突き当たりの扉を開けて、 棒の様な細く真っ暗な廊下を通って、 突き当たりの扉を開けるというものでした。 その扉を開けると、 凄く穏やかで、明るい日差しが差し込んだ古い部屋があって、 異様に大きく古く、足で漕ぐミシンらしきものが置いてあり、 そのミシンの前に見覚えのない、 だけどどこか懐かしい老婆が座っており、 私に優しく笑いかけてくれます。 そういう他愛もない夢だったのですが、 何故かそれを何度も何度も見続けるにつれ、 子供だった私は、 それが現実なのか夢なのかわからなくなってしまいました。 そして母と実家に帰省した時、 よくわからなくなってしまった私は、 祖母と母に直接聞いてみました。 そして、 この他愛もなかったはずのこの話は、 謎を深めていきます。 私の問いかけに、 母と祖母は「?」という顔をしながら、 「そんなのないよー」 と言いながら笑っていました。 ムキになった私は、 「ある!絶対ある」 と言って2階に駆け上がり、 2階の廊下のつきあたりを見てみました。 しかし、 そこには古い巨大な箪笥が置かれてあるだけでした。 「ほらーないでしょ。何変なこと言ってるの」 と言われながら、 渋々納得したのを覚えています。 それでこの話は終わったものだと思っていました。 しかしその数年後、 中学生になった私はその実家に行き、 背筋がぞっとするようなものを見つけてしまったのです。 中学生になった私は、 そんな夢の事などもう忘れていました。 そして久しぶりに実家に帰って、 ふと家を見上げた時です。 何かおかしいと感じました。 私はその時、 2階の廊下の突き当たりの向かい側から、 家を見上げていたわけなのですが、 そこに窓があるのです。 つまり、 廊下の突き当たりの箪笥の先に、 窓があるんです。 当然、 2階の部屋にそれに該当する窓はありません。 というか、 その部分だけぽっかりと部屋は無いんです。 窓の中は真っ暗で、 すすけていて何も見えません。 急にあの夢のことが思い出され、 私は急いで家に入って階段を駆け上がりました。 そしてそこには、 やはり古い巨大な箪笥が置かれてあります。 でもその時、 普通廊下の突き当たりに箪笥は置かないだろう、 ということに気づきました。 ここで私は急に怖くなり、 その事を誰にも言う事ができませんでした。 結局怖くなって何も言い出せず、 それからさらに時間が過ぎました。 (いや結構ヘタレなもんで…) そして高校生になった頃に、 この事をふと思い出し、 今度こそ何があるのか確かめてやろう、 と思っていました。 そして実家に帰ったとき、 またあの家を見上げました。 ぜーったいこの窓の事をばーちゃんから聞き出してやる、 と考えてました。 あの部屋は一体何なのか? 何故部屋を封印しているのか? あの優しそうなお婆さんは何者なのか? でも、結局何も聞けませんでした。 なぜなら、そこに窓が無かったんです。 いやこれは夢オチではなく、 実は現在進行中の話です。 なので、 まだ本当のオチはありません。 (すいません) 実は先日、 その家が取り壊されることになり、 最後と思ってその家を見に行ったんです。 で、その壁を見上げたところ、 その部分だけ壁が新しく塗り潰されているのに気づいてしまいました。 つまりこれは、 窓が潰されたことを意味しています。 その場にばーちゃんはいなかったので、 まだ問いつめていませんが、 近日中に本当の事を聞いてみようと思っています。 (母はもう他界) でも、部屋を封印し、 窓を潰すことの意味。 そして、 見た事もないお婆さんと、 足漕ぎミシンの風景。 あの明るく穏やかな優しい部屋を、 あそこまで潰して抹殺してしまう意味を考えると、 何故か無性に怖くなります。
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