怖い話登録数18393話
恐怖感アップダークモード
(0件)
▼コンテンツには広告が含まれています
✕
わしと組んだらもっともっと釣れるぞ
お気に入り
1972
37
1
0
長編5分
コピー
「わしと組んだらもっともっと釣れるぞ」の朗読動画を探しています。YouTubeでこの話の朗読動画を見つけたらぜひ投稿していってください。
※YouTubeのURL必須
開始時間
00時間00分00秒
投稿する
小学4年か、5年の夏休みだったと思う。両親の仲がうまくいかなくなり、色々あって、半月あまり父親の実家に預けられた。祖父も祖母も優しくしてくれたので寂しくはなかった。特に祖父は、釣りの好きなオレを気に入ってくれていた。(どうもオレの父親は、釣りが好きじゃなかったらしい) 今日は朝方○×の港、明日は夕方△□の磯、そんな感じで色々な釣り場で釣りの秘訣を教えてくれた。「アキ(←オレ)はなかなか筋が良いわ、タケ(←父)は全然駄目だったがな・・・」そう言って笑う祖父の顔を見ると、オレも嬉しくなる。自分でも色々工夫するし、自然に釣りが上手くなった。そんなある日、祖父と一緒に夜釣りに出かけた。何度か連れて行ってもらった場所だから勝手は知ってる。さっさと支度して仕掛けを投げこみ、クーラーボックスに2人並んで座り、祖母が作ってくれたおにぎりを食べていた。満月から少し欠けた月が明るくて、風が涼しい。「明る過ぎる、今夜は難しいかなぁ」と祖父は言ったが、ひっきりなしにアタリがあって、大きなアナゴ、チヌ、それから外道ででかいノコギリガザミ。2個目のおにぎりを食えないほど忙しい釣りになった。しかし、9時を過ぎた頃、急にアタリが止まった。それに何となく変なニオイがして、気分が悪い。「じいじ、何か変なニオイがしない?」と聞くと、祖父は「アキ、これから俺が良いと言うまで絶対喋るなよ。それと、誰に何て言われても絶対振り向くなよ」と言う。そして、小さい声で念を押す。「良いか、絶対だぞ」俺が小さくうなずくと、背後から足音が聞こえてきた。それはどうやら草むらをかき分けて近づいてくる。足音が近づいてくるにつれ、嫌なニオイが強くなった。「よう、良く釣れてるな」嗄れた声が響いた。風邪をひいた子供のような変な声。「わしと組んだらもっともっと釣れるぞ、どうだ?」祖父は声が聞こえていないように黙って海を見ている。とても怖かったが、オレも黙って海を見ていた。「あれ、こいつは何だ?」声がオレの背後から聞こえた。ブタが鼻を鳴らすような音がして、気配が更に近づく。ニオイがすごくて吐きそうだが、両手を握り何とか耐える。「まだ小さいが、良い手じゃのぉ。なぁ、わしと組まんか?」声はもう、オレの右耳のすぐ後から聞こえてくる。今にも肩に手をかけられるような気がして体が硬くなる。怖くて怖くて泣きそうだったが、必死で黙っていたら、祖父が釣り具箱の中から煙草を取り出し、火を点けた。そして大げさに、ふーっ、ふーっと煙を吐くと、その声が「ん~・・・げごご・・・ごっ!」と言ったきり、背後の気配が急にパタリと消えてしまった。祖父が「アキ、もう良いぞ」と言うので恐る恐る振り向いたが、何もいない。ニオイも全然しない。「あれはな、やまあら(やまわら?)だ。あれの姿を見ると魅入られる。あれと一緒に行くと魚は沢山釣れるそうだが、一度魅入られると逃げられない。毎晩毎晩、それこそ死ぬまで、釣りに連れ出されるそうだ」「妖怪とか精霊みたいなもの?」と聞くと、「まぁ、そんなもんだ。魔除けに持ってて良かったが、煙草なんぞ吸ったから気分が悪い。もう帰ろう。」と言う。海岸線に停めた軽トラに向かって細い道を歩いていると、祖父は「前にあの声を聞いたのはいつだったかな・・・タケが中学生・・・もう30年も前になるか」と呟いた。そして、「まだあんなものがこの世にいるとは思わなかった。アキは運が良かっ・・・いや、あれ、怖かったか?」と言う。「うん、怖かった。とっても怖かった」とオレが答えると、祖父は「じゃ、もう釣りは嫌か?」と心配そうに聞く。今思うと不思議だが、怖くて釣りを止めようとは思わなかったから、「嫌じゃないよ。あんなの滅多に出ないでしょ?」と答えると、祖父は「そうか、アキは強いな」と笑って、オレの頭を撫でた。「でもな、釣りにしろ何にしろ、海は怖い所だ。それを忘れると、海で命を落とすことになるんだぞ」そう言った時、月に照らされていた祖父の真面目な横顔。今でも1人で夜釣りをしていると時々思い出すよ。祖父が肝臓癌で亡くなったのは、もう8年も前のことだが。
怖い話を読んでいると霊が寄ってくる?不安な方はこちらがおすすめ
1人が登録しています
感想や考察があればぜひコメントで教えてください ↓コメントする
この話は怖かったですか?
怖かった37
次はこちらの話なんていかがですか
続きを読む
※既読の話はオレンジ色の下線が灰色に変わります
Amazon無料でスグに読める本
お隣さんの騒音がすごい どこかの誰かの体験談マンガ
日本生まれのインド人、メタ・バラッツのスパイスカレーユニバース (インターネットオブスパイス)
転生してから40年。そろそろ、おじさんも恋がしたい。 二度目の人生はハーレムルート!? 1 (アース・スターコミックス)
パラドックスループ-うまくいかない私たち-
まいみ!
嘘つきな彼氏(推し)を懲らしめた話 1 ますまゆまんが!集
前の話:【じわ怖】河口近くの波止
次の話:【じわ怖】おうい
怖い話 No.13916
【じわ怖】怖い話でもするか
1278
23
中編3分
怖い話 No.18564
【じわ怖】耳が悪くなったおっさん
864
45
短編2分
怖い話 No.12592
【じわ怖】アパートが倒壊
1409
34
怖い話 No.20704
【じわ怖】ウチの伝説
1209
39
中編4分
怖い話 No.4493
【じわ怖】時空ドッペルゲンガー
1470
52
短編1分
怖い話 No.4842
【じわ怖】足が遅かった
1430
29
怖い話 No.5128
【じわ怖】早く来い!
922
43
怖い話 No.5718
【じわ怖】母校に忍び込んだ
923
30
怖い話 No.4546
【じわ怖】ゴミ屋敷のおっさん
1892
36
怖い話 No.3995
【じわ怖】食事制限
1921
48
2
心霊サイト運営者
全国心霊マップ
ghostmap
プロフィール
Twitter
新着じわ怖
S奈のお父さん
カーナビの示した位置
ベランダに女の影
国産うなぎ
マンションの屋上
占い師
窓に立つ男
幽霊の正体
自殺頭痛
友達からの葉書
医学は万能じゃない
嫁の日記を読んだ
新着コメント
友達の様子がおかしくなってきた
3人で横一列に並んで歩いていた
元恩師にストーカーされていた
家鳴り?
幽霊のいた家
公衆電話ボックス
子供がうるさい