怖い話登録数18393話
恐怖感アップダークモード
(0件)
▼コンテンツには広告が含まれています
✕
藤の花
お気に入り
1264
32
1
0
短編2分
コピー
「藤の花」の朗読動画を探しています。YouTubeでこの話の朗読動画を見つけたらぜひ投稿していってください。
※YouTubeのURL必須
開始時間
00時間00分00秒
投稿する
日中の陽だまりが、 まだそこに残っているような斜面だった。 おおらかに藤の木が枝を広げ、 薄紫の花が房を作り、 ふわりと宙に浮いているように見えた。 斜面はそのまま、静かな淵に落ち込んでいて、 奇妙に優しい空間がその場を満たしている。 時刻は夕方、そろそろ今夜の寝床を決めたい時間だ。 できれば、こんな気持ち良い場所で。 行き当たりばったりにテントを張って山を歩いていると、 気持ち良い場所というのは、 案外、少ないものだと思い知らされる。 思い知らされるからこそ、 こんな場所で一泊したくなるのだ。 風が木漏れ日をすくい上げ、 淡い光の粒を藤の花に差し出した。 差し出された光を受け止めた藤の花が、 ほんの一瞬透き通り、ふくれたように見えた。 香りが散り、花が笑った。 いや、花に顔などあるわけがない。 あるわけないが、それでも、他に言いようがない。 藤の木が、全身を揺らして歓喜していた。 とてつもなく奇妙な光景を目にしている事に、ふと気付いた。 「ねえ、ここで咲こうよ」 と、子供の声。 「ぼくはもう、10年も咲いてるんだ」 「淵に入ればね、来年から咲けるよ」 奇妙なのは、 目に映る光景ばかりではないらしい。 それでも、この場所で藤の花になって毎年咲くという考えは悪くない。 悪くない考えだが、突拍子もない。 風が斜面を吹き抜け、 ふたたび光を散らし、やがて日が暮れた。 「いつか、本当に咲きたくなったら、また来るよ」 翌朝、そう声をかけ、歩き出した。 藤の花は何も答えない。
怖い話を読んでいると霊が寄ってくる?不安な方はこちらがおすすめ
1人が登録しています
感想や考察があればぜひコメントで教えてください ↓コメントする
この話は怖かったですか?
怖かった32
次はこちらの話なんていかがですか
続きを読む
※既読の話はオレンジ色の下線が灰色に変わります
いま注目されてる怖い話
フォロワーさんの本当にあった怖い話
2chまとめ 怖い話 短編集47話
実際にあった怖い話 2024年11月号
フォロワーさんの本当にあった怖い話 : 2 (アクションコミックス)
5分で読める! 誰かに話したくなる怖いはなし (宝島社文庫)
ほんとにあった怖い話読者体験シリーズ 12日間の悪夢
前の話:【ほん怖】背中に当たるモノ
次の話:【ほん怖】山小屋の風呂
怖い話 No.11082
【ほん怖】いいところ
1535
34
短編1分
怖い話 No.2973
【ほん怖】縦に長い平屋
1879
46
中編3分
怖い話 No.3499
【ほん怖】黒い街宣車
1942
52
中編4分
怖い話 No.11095
【ほん怖】対岸の山の中から叫び声
1272
33
怖い話 No.3068
【ほん怖】おばあちゃん子
1634
49
怖い話 No.10785
【ほん怖】毎日のように近所の神社で遊んでいた
1115
31
怖い話 No.3033
【ほん怖】仲の良い祖父母
1741
43
怖い話 No.3308
【ほん怖】放課後の小学校
1615
42
怖い話 No.3423
【ほん怖】妹が選ぶ物件
1900
23
怖い話 No.10636
【ほん怖】大好きだった爺ちゃんが亡くなった
1108
心霊サイト運営者
全国心霊マップ
ghostmap
プロフィール
Twitter
新着ほん怖
でっかいカエル
古びたフランス人形
信号待ち
家への電話
ヘアピンが落ちてる
友達の家に電話
笑い声
缶けり
義理の姉
サンタとトナカイ
極限状態の意識
白黒おじいさん
新着コメント
お寺さんに送った市松人形
青梅市の御岳山
凶刃
近づいてはいけない淵
ベニテングダケ
忍者ごっこ禁止令
異物混入
金子くん
熊に怯えていた