怖い話登録数18393話
恐怖感アップダークモード
(0件)
▼コンテンツには広告が含まれています
✕
高野山の噂
お気に入り
2544
43
0
中編3分
コピー
「高野山の噂」の朗読動画を探しています。YouTubeでこの話の朗読動画を見つけたらぜひ投稿していってください。
※YouTubeのURL必須
開始時間
00時間00分00秒
投稿する
俺が高野山に住んでいた時、 こんな噂話を聞いた。 曰く、 「昔、坊主専用の廓が、山のどこかにあった」 「その廓は終戦後取り潰されて廃墟になったが、今でも形を保っている」 「そこはとんでもなくヤバイところで、何が出るかは知らないが、 行ったら正気では帰って来れない」 と、ものすごく好奇心をそそる内容。 当時寮生だった俺は、ある夏の休日に、 寮の後輩を無理矢理引き連れて、噂の廃墟へと向かったのさ。 と言っても、廃墟の場所は正確にわからないから、 ちょっとしたピクニック気分で山の中に入っていったんだ。 それが甘かった。 高野山の山の中って、 同じような木が同じように生えているばかりで、 一度迷ったらなかなか現在位置がわからなくなるんだよね。 面白がって細い獣道ばかり選んでた俺らは、 それこそ一瞬にして迷った。 帰り道どころか、 今どの山を歩いているのかもわからない。 歩けば歩くほど、 より奥に迷い込んでいく感じだった。 いよいよ日も翳りはじめてきた頃、誰かが 「迷ったら尾根に出ろ」 と言い出した。 多分どこかでの聞きかじりだったのだろうけど、 一面槇の木に囲まれているよりは、 回りが見渡せる方がましだ。 とにかく上に向かって上り始めた俺たち。 どのくらい上ったのか、 尾根らしきところに出ると、 やっと回りを見渡す事が出来た。 遠くに大きな町と、反対側の近くに小さな町。 あれは奈良で、反対側は九度山か?と推理しても、現在地は不明。 その時はもう、みんなつかれきった上空腹で、喉も渇いている。 とにかく尾根沿いに歩くしかないと、 遠くに見える町のほうに歩き出した時、 後輩の一人が 「水!水がありますよ○○さん!」 と叫んだ。 立ち止まり耳を澄ますと、 確かに水の流れる音がする。 水のにおいも漂っている。 近くに沢があるのか。 とにかく乾いていた俺たちは、 水の音に向かってダッシュした。 5分ほど薮を踏み越えていくと、 いきなり周囲の景色が開けて、 驚くくらい大きな川が流れていた。 大きな川と言っても、 幅は5~6mくらいだったのだけれども。 とにかく水があったことで、 みんな激しく喜んだ。 まず靴を脱いで足を浸すもの、 コンビニのビニールに水を汲もうとするものなどいたけれど、 俺はまず水が飲みたかったから、 水を両手ですくって、そこで固まった。 「おい待ておまいら!この水飲むな!」 不信そうな後輩たちの視線をあびながら、 俺は川底を指差した。 その川は、岩盤の上をずっと水が流れていたのだけれども、 水底の岩の色が普通じゃなかった。 真っ赤。 これ以上ないくらい赤。 上流まで、ずっと鮮やかな赤。 あまりに鮮やかな赤い川を見ながら、 みんなが同時にある事を思い出していた。 昔々、丹紗とか丹とか呼ばれて、 万能薬とされてた鉱物があったと授業で聴いた。 お大師さんも、 高野山から京都にその薬を持ち込んでいたらしい。 でも実際は、人体にとって毒物でしかなかったと言う。 で、恐らく水に混じって流れてたのは、 岩盤を赤く染めていたのは、その丹紗、万能薬、要するに硫化水銀。 硫化水銀の赤色。 毒も気持ち悪いけど、 それ以上に、なにか触れてはいけないものに触れたようで、 全員がそこで固まってしまった。 川底の岩盤は、 上流に向かってより赤みを増しているようだった。 面白い論文が書ける、という誘惑は確かにあった。 でも、誰も川をさかのぼろうとは言わなかった。 登山の常識としては最悪だと聞いたけど、 俺たちはそのまま沢を下る事に決めた。 二時間ほど歩いて、偶然にも小さな集落に出て、 俺たちは親切な農家のおじさんの軽トラで、 最寄り駅まで送ってもらう事が出来た。 で、その後高野山に帰った俺たちは、 また普段通りの日常に戻ったわけだ。 しばらくしてから、 農家のおじさんにお礼に行ったら、 既にそこは廃村になっていたり、 また、赤い川はもう見つからなかったりとかしたけど、 それはそれでいい体験だったと思う。
怖い話を読んでいると霊が寄ってくる?不安な方はこちらがおすすめ
感想や考察があればぜひコメントで教えてください ↓コメントする
この話は怖かったですか?
怖かった43
次はこちらの話なんていかがですか
続きを読む
※既読の話はオレンジ色の下線が灰色に変わります
漫画売れ筋
BLUE GIANT MOMENTUM(3) (ビッグコミックススペシャル)
ぼっち・ざ・ろっく! 7巻 (まんがタイムKRコミックス)
交響詩篇エウレカセブン(1) (角川コミックス・エース)
交響詩篇エウレカセブン(4) (角川コミックス・エース)
交響詩篇エウレカセブン(6) (角川コミックス・エース)
NHKにようこそ!(8) (角川コミックス・エース)
前の話:【ほん怖】奇妙な杉
次の話:【ほん怖】林を縫う光
怖い話 No.2939
【ほん怖】とある集落の依頼
2217
14
怖い話 No.3698
【ほん怖】小説家だった祖父
1680
28
短編1分
怖い話 No.11369
【ほん怖】病院で夜の徘徊
1860
30
怖い話 No.20059
【ほん怖】近所の人たちが頻繁に食べ物を持ってくる
朗読 はこわけあみ 酔いどれホラーV
1609
40
短編2分
怖い話 No.11355
【ほん怖】営業の依頼
846
51
怖い話 No.11282
【ほん怖】自分の意思と関係なく喋り出した
1187
35
怖い話 No.14993
【ほん怖】いびき
1748
56
怖い話 No.3158
【ほん怖】校内で所在不明の開かずの扉が開いた
982
39
怖い話 No.3435
【ほん怖】この店『居る』から、たまに具合悪くなる
1522
怖い話 No.3031
【ほん怖】会社の前で交通事故があった
1485
50
1
心霊サイト運営者
全国心霊マップ
ghostmap
プロフィール
Twitter
新着ほん怖
でっかいカエル
古びたフランス人形
信号待ち
家への電話
ヘアピンが落ちてる
友達の家に電話
笑い声
缶けり
義理の姉
サンタとトナカイ
極限状態の意識
白黒おじいさん
新着コメント
お寺さんに送った市松人形
青梅市の御岳山
凶刃
近づいてはいけない淵
ベニテングダケ
忍者ごっこ禁止令
異物混入
金子くん
熊に怯えていた