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high病院
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高校三年生の夏休み 連れ四人で隣町のそんなに知られてない high病院に行ったんだ。 それぞれの名前は俺とA、B、Cとする。 Aが車の免許をとったって事で ドライブも兼ねて 近頃話題になってたhigh病院に行ってみようぜ って事になったんだ。 夜中一時半位だったか、 Aが家まで迎えに来た。 先にB、Cを拾って来たらしく、 俺が一番最後だった。 病院は俺の家から大体二十分程度だったため、 二時位には着く計算だった。 車内では初めての深夜のドライブだからか 俺達ははしゃいでいた。 小学校の遠足に行く時のドキドキ感に似ていた。 そのためか 心なし他の奴らの持ち物が普段と違っていた。 B塩(スーパーで売ってるやつ) C眠気覚ましパイポ(眠くない) そしてAが 「ダッシュボードあけてみ」 というので開けてみると メリケンサックが入っていた。 俺はというと、 財布とペットボトルジュース位だった。 ちょうど二時を回った位、 病院に行ったことあるやつが言ってた 目印であろう場所に着いた。 それは農道沿いに不自然に建てられた鳥居。 本当になんでこんな所に? って感じの場所にあるんだ。 そこから50メートル先に砂利の駐車場があり、 そこに車を停めて先程の鳥居まで行った。 B「ここだよな? この鳥居くぐって、あっちか?」 指を指した先には竹やぶがあった。 ここからじゃ病院は勿論本当に竹やぶが果てしなく広がってるだけ。 何も見えない。 C「あんなか入ってくの?怖過ぎだろ。」 B「ヤバそうだなー。 Aここで場所は間違いないんだろ?」 A「うん。 この先道が悪くて、 竹やぶかき分けて行くらしいんだけど 迷ったりしないか心配だな。」 そういいながら、 どこかに電話している。 話の感じだと ここに来たことがある友人らしかった。 かなりのチキンである。 周辺には民家がまるでない訳ではなく、 俺達は迷惑を考え一旦車に戻った。 車に乗り込んだ辺りでAの電話が終わった。 A「やっぱり場所は合ってるみたいだよ。 でもいらん話されてちょっと行きたくなくなった。」 俺「なんだよそれ?どうした?」 A「ビビらせようとしてだろうけど、 電話してたやつがここに来た時、 相当やばかったって。 何かは言わないんだよ。 しかも震えた声でやめとけって。 まぁ演技だろうけど。」 B「大丈夫でしょ。 じゃあさ、二人ずついこうぜ。 一組は鳥居待機で! それで時間を決めて それまでに戻らなければ何かあったってことにすれば 間違いないんだろ?」 C「お前頭いいな!」 誰でも思いつきそうなことだが 何も言わなかった。 Aはそれでも気が進まないようだったが、 俺達は組み合わせを決めた。 俺はCと。 AはBとで決まった。 俺とBはジャンケンをして、 俺とCは後になった。 車内から降りる時、 Aがメリケンサックを ダッシュボードからコソッと取り出したのを 俺は見逃さなかった。 そこからAとBは鳥居を越えて 竹やぶに向かって行った。 よく考えれば 懐中電灯位持ってくるべきだったと後悔した。 竹やぶに入って行く二人が見えなくなる位に Cが口を開いた。 C「Aの様子変じゃなかった? 普段これ位じゃビビんないだろ。 それにあいつちゃんと知ってんのかな…」 俺「何を?」 B「言う程の事じゃないと思ったから言わなかったけど、 病院っっても普通の家らしいんだよ。 そこの家族も普通に生活してたような跡もあったって言ってたし。 Aがさっき電話してたやついるだろ? その連れから聞いたんだけど。 この先聞きたい?」 俺は別にーみたいな態度をとっていたが 聞きたくてしょうがなかった。 C「そいつは二人で行ったらしいんだけど、 (Aが電話してたやつをD、その連れをEとする。 わかりにくくてすまん。) 二階建てらしくて、 一階をある程度探索した後二階に行こうとしたらしいんだよ。 それでDが階段登ろうとしたら、 階段自体古くてミシミシいってんだって。」 C「Eは危ないからやめとけって言ってんのに どんどん登ってっちゃったんだと。 それでDが階段を登り切ってすぐの扉を開けた。 そこから何をいうでもなく動かない。」 C「本当に微動だにしないから 心配になってEが階段上がろうとしたんだと。 そしたら聞いたとこもないような声で (来るな!)てDが叫んだらしい。」 俺は冗談半分で聞いていた。 俺をビビらせようとしてるんだろうと。 結構怖がってたけど。 C「十秒位してDが階段から降りて来て (なんちゃってー)って笑って言ったんたと。 それで話しながら帰り道に向かって そのまま帰ったんだってさ。」 俺「なんだよ。二人とも無事なんじゃん。 思わせぶりな話しやがって。」 C「いや、Eは普通に話してたけど、 俺が何となく嫌な感じがしたのはその帰りの話なんだ。 帰るなら帰ろうとか、じゃあねとか何か言うだろ? Eも不思議がってはいたけど。」 確かに、帰るなら普通に帰るって言うだろう。 C「あいつらは原チャで来たらしいんだけど、 病院からバイクまで一切帰るとも言わずに バイクに乗ってそのまま帰ったんだってさ。 途中までEもDに着いて行ったらしいんだけど、 Eは帰るんだろうと判断してそのまま自分の家へ帰ったんだって。」 そんなのは帰るって雰囲気だっただけで たまたま言わなかっただけじゃないのか? C「Eは家に着いてからすぐDに電話したんだけど出なくて… これ三日前の話な。 それからかなりの回数Dに電話したらしいんだけど、 出ないんだって。 つまり俺が何を言いたいかわかる?」 俺「わかるよ。 何でさっきAの電話は普通に出たんだろな?」 C「そう言う事。」 確かにおかしいとは思ったけど、 とりわけ気にするような事じゃないと思った。 さっき四人で決めたルール。 詳しく言うと、 出発から三十分たって帰らなければ 俺とCが出発する。 身の危険を万が一感じたら電話、 最悪でかい声で叫べ。 この二つだけだった。 二人が出発したのは大体だが二時二十分。 つまり二時五十分を過ぎるようならおれとCが出発。 携帯に目をやると五分過ぎてた。 あくまで大体だが。 俺「おい、時間じゃね?」 C「ほんとだ。 アレだよ、病院の中か外か知らないけど 待ち伏せして驚かせようとしてるんでしょ? じゃあいこうか?」 あいつらならそれ位しそうだ(特にBは) もう少し待とうとは思ったが、 あまり時間が経つと日も昇りかねないと思い 出発する事にした。 竹やぶの道は思った程ではなく、 ちゃんと道になっていた。 多少かき分けて進む所もあったが、 聞いていた程ではなった。 病院にもかなりあっという間に着いた。 俺もCも拍子抜けしていた。 確かに雰囲気がある。 今となっては多分だが 珍しい病院の間隣にお墓。 それもきちんと手入れされている感じでもないようで汚い。 ちゃんとした言葉で説明できなくて申し訳ないが、 例えるならドラクエに出てくるようなお墓。 ただ俺は病院やお墓より 二人が何処に潜んでいるかの方が気になった。 ビックリしたくなかったんだ。 病院の外は竹やぶを抜けてしまったので 隠れるような所はない。 じゃあ中か? 俺「いないじゃん。 あいつら中に隠れるとか度胸あるな。」 C「いやそれはないだろ? 怖すぎるでしょ? ちょい裏みてくるわ」 Cが病院の裏に回り二人を探しに行くと、 言うまでもなく俺一人になる。 離れていないとはいえ、 やはり怖い。 キョロキョロしながら 病院の入り口の前に立った。 ~病院と看板はあるけど 朽ちてしまって読めない。 すぐ右手にはお墓。 淳二ばりに (いやだなーいやだなー) と思っていると確かに聞いた。 何処から聞こえたか、 病院の中だけど、そうじゃない。 頭に直接入ってくるような声。 十年以上経った今でも覚えてる。 感情のない声。 女性の声。 「次の方どうぞー」 ちょうどCが戻って来て様子のおかしい俺を見て C「どうした?なんかいた?」 俺「いた!聞いた!女の声!」 C「落ち着けって! 裏見て来たけどいなかったよ。 とりあえず中探すしかないだろ? 無理なら鳥居で待ってるか?」 どっちも嫌だった。 が、一人になるのが一番嫌だったから。 渋々中に入る事を決めた。 CはIQが多分3位しかないがためか 怖いと言う感情がないと思う程度胸があった。 C「玄関の扉が閉まってたから 中じゃないと思ったんだけどなー。」 Cがそっと扉を開ける。 確かにごく普通の家と言う感じだ。 居間があり、台所がありと言う感じ。 ただ床に薪のようなものが一面に転がっており、 一歩ずつ丁寧に歩かなければならなかった。 C「おいおい、ここにいなかったらあと二階位だぞ。 思ったより狭くて隠れるような所ないし。」 病院に入った時、 いやあの声を聞いた時から 完全に信じてなかったCの話を思い出し、 ビビっていた。 居間を抜けた先に確かに階段はあった。 この頃から暗闇に目が慣れて来て (何故ちゃんと色々な物がハッキリ見えたか憶えていない) 俺は階段の下に立っていた。 何故か俺はその階段の先にある部屋から 目が離せなかった。 C「うわっ!」 C「これ見てみろよ。」 手に取るのは嫌だったので、 Cの横から覗くように見てみると、 それは家族写真だった。 一見普通の家族が写っている。 恐らくプロが撮ったような、 そんな感じがした。 そしてCが驚いた原因がわかった。 初老の男性が赤ん坊を抱いている。 その赤ん坊の顔が抱いている男性より 遥かに歳をとっていた。 そういった病気なのかなと思ったが、 その表情はこちらにむかって睨んでいる。 この写真を撮った人は この写真を立派な額に入れてとっておこうと思うだろうか? 俺ならそれはない。 そしてそんな事ないだろうが、 この赤ん坊は長い月日の中で ここに面白半分で訪問して来る人々に対して こんな表情になってしまったんだろうとその時は本気で思った。 Cはその写真を丁寧に戻し C「ここ入ってから物音一つしないけどおかしくね? こんな古い家誰かいればきしむ音位するだろ? もしかしていない?」 一階は一通り調べたし、 あとは二階位しか調べようがなかった。 初めは釣られてやろうとしていたが もうそんな余裕はなかったため 俺は二人を呼んだ。 俺「Aー、Bー、わかったからもう帰ろう!」 返事がない。 Cも同じように呼んでみたが同じ。 そしてもうどうしようもないので、 かなり嫌だったが二階に上がる事にした。 Cが前で俺が後ろ。 一歩ずつ上がって行く。 一番上までCがたどり着いたのに対して 俺はその二段下。 Cは扉の前に立つなりおもむろに開けた。 俺「いた?」 小さい声で聞いた。 Cは返事をしない。 Cのケツ辺りをつんと押してみるが 反応がない。 洒落にならんと思って 俺「おい!!」 と怒鳴ってしまった。 そしてCはこちらを振り向き言った。 C「うっそーん笑」 笑っていた。 まんべんの笑みで。 取り敢えず俺達は階段を降りた。 さてどうするかと思ったら、 何故かCは入り口に向かって歩いて行く。 俺「おい、外はいないだろ。」 Cは歩くのをやめない。 俺はついて行きながらも まだ探すからと呼び掛ける。 Cは何を俺が言っても、 そうだねーとかどこかなーとか言うばかりで どんどん歩いている。 そしてとうとう病院から出てしまった。 そこで俺はある事に気付いた。 出発前Cから聞いたDの事。 階段を登った後の出来事が 余りにも酷似していた。 その事に気付いた時、 心臓の鼓動が大きくなるのを感じた。 Cはそのまま帰り道を歩き続けた。 勿論俺が止めに入る。 俺「おい、いいかげんにしろよ! AとBどうするんだよ!」 もう返事もしなくなった。 でも、いくら戻った所で Aが見つからなきゃ車が出せない。 勿論Aが鍵を持っているんだから。 一人でまた病院に入るなんて とてもじゃないけど出来ない。 とにかく俺はCを止めるのに必死だった。 結局竹やぶを抜けて 鳥居の所まで戻ってしまった。 Cはどこかうつろな感じで Aの車の方を見ていた。 俺も何気なく見てみると、 そこにはBが車の車の前で屈み、 下を向いていた。 俺は車まで走った。 Cも歩きながらついてくる。 俺「B!大丈夫か!? Aは!?どこにいる!?」 勿論車内にもいなく、 まわりにいる様子もない。 Bは怯えた様子でまだ下を向いている。 C「なあB、お前二階の部屋入ってないんだろ?」 さっきまで口を閉ざしていたCが Bに問いかけていた。 C「俺、B、あの部屋で何を見たのか聞きたい? 聞きたいよな。 先に言っとくけど、俺はだいぶ参ってるし、 冷静じゃないから。」 なんでこんな事言うんだろう? Cの表情はとても落ち着いて見えた。 でもどこか諦めに近い顔をしていたのかもしれない。 Bが下を向いたまま コクっとCの問いかけにうなづいた。 俺もうなづいた。 C「階段を登って扉を開けたらそこは病室だった。 下の階は病院って感じじゃなかっただろ?」 確かに一階は普通の家だった。 C「病院で使いそうなものが沢山転がってたよ。 それで…」 俺「何を見たんだよ! 結論を言えよ。」 C「結論? ああ、いくら探してもAは見つからないし、 車にも戻ってこないよ。 少なくとも今夜は。なぁB。」 意味がわからなかった。 車は?どうすんの? Bは黙ったまま。 C「あの病室さ… いや、あの病室だけ、部屋がピカピカだったんだ。 後の扉は開けてないからなんとも言えないけど、 診察室や他の病室もあったかもしれないけど、 とにかくあの部屋は完全に今も使われている。 じゃなきゃあんなに綺麗なはずがない。」 異様な光景だったと思う。 今は使われてない病院、 勿論誰も住んでないはずの場所に、 たった一つだけ普通に奇麗で清潔感がある部屋がある。 Cは言ってた。 絶対ホームレスとか そういった方々が住んでるとかそういうことじゃない。 何度も言ってた。 こんな隠れた場所で眠っている病院。 簡易的なお墓。 そして綺麗な病室。 想像力豊かな人なら よからぬ妄想もしてしまうだろう。 俺もそうだった。 俺、B、Cは 何度もAに電話をしたが出なかった。 そして朝日が昇る頃 俺達三人は歩いて帰りに向かっていた。 隣町といっても 車で数十分かかる所だから、 かなり歩いた。 完全に明るくなった頃 BがAの家に電話した。 母親が出て、 Aは家で寝ているとの事だった。 車の件を上手く誤魔化して話すと、 Aが起きたら取りに行くと言う事だった。 こうして俺達のhigh病院探検は終わった。 病院前で聞いた女の声、奇妙な写真、 それと、触れてはいなかったが、 幾度となく感じた視線、 最後までわからなかったのは 俺達四人二組はなんで一度もはち合わせにならなかったんだろうということ。 これは未だにわからない。 自分の中では霊的なモノではなく、 異常な違和感が洒落にならない程怖かった。
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