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フルボッコ
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夏、友達二人と一緒に海に行った。 一人はプロレスラーの アブドーラ・ザ・ブッチャー激似の男。 もう一人はイケメンだけどニートの男。 帰りは俺が車を運転してたんだけど、 何故か心霊スポットに行こうという話になった。 ちょうど帰りの道すがらに一軒ある。 しかもそこが超有名というか、 逆に知らない方がヤバくない? というぐらいの最恐激ヤバスポット。 正直気が乗らなかったけど ビビリだと思われるのも嫌なんで 俺は渋々向かった。 そこは海岸沿いの森を抜けた先にある廃ホテルなんだけど、 もう着いたそばから雰囲気が違った。 想像してみてほしい。 時刻はちょうど6時を回った夕暮れ時。 薄暗い森の先にある巨大な廃屋。 正門には2メートル以上ある 巨大な分厚いコンクリート壁が置かれ、 さらに有刺鉄線で囲まれている。 そこに立てられた錆びだらけ看板には 「住居不法侵入は犯罪です」と書かれいた。 俺には霊感が無いので 幽霊が出るかどうかわかんないけど、 ここで出なきゃどこで出るんだよ!と思った。 友達二人もすっかり雰囲気に呑まれ、 イケメンにいたっては震えながら 「オ、オウヨ・・・」 と呟く始末。 しかしここまで来て 引き返すのも勿体無いと思った俺は、 車にあった自転車用のライトを装備し 先陣を切った。 元ホテルだけあって 建物の内部は結構複雑だった。 廃墟らしく ガランとした廊下に複数の部屋。 そして壁のいたるところに落書きがされていて、 それがまた恐怖を煽る。 先頭の俺が状況説明をして、 後ろのイケメンが 「オウヨ・・・」 と返事をする。 そして奥にある大部屋らしきところに出た時、 それは起こった。 ここはなんもないなーと喋りながら 俺がライトを照らすと、 奥にある扉がキィー・・・とひとりでに開いた。 え?なにそれ・・・・? 時間にして数秒だけど、 俺は硬直してパニックになった。 どうやら後ろの二人は見えてなかったようで、 後ろから声を掛けてきた。 心臓がバクバクいって声を出せずにいると、 突然ブッチャーが叫んだ。 「ぬほぁあああああ!!!!」 と奇声を上げて 元来た道を走りだしたのだ。 その声を聞いた瞬間に 俺も(逃げなきゃ!)と正気を取り戻し、 イケメンを突き飛ばして逃走した。 すっかり日が落ちて真っ暗になった廃屋を ブッチャーがダッシュする。 俺も無我夢中でその背中を追った。 背後からはイケメンの バタバタバタ!という足音が聞こえる。 俺たちは必死に走り、 なんとか外まで出ることが出来た。 ゼェゼェ息をしながら 俺はブッチャーに聞いた。 「おっ、おま、お前なんだよ急に叫んで・・・・」 「見えなかったのか!?」 「は、はぁ・・・・?」 「奥の部屋から人の形した変なの出てきたじゃん!」 「・・・・マジかよ」 「マジだよ!やべーよ! イケメン置いてきちゃったじゃん!」 「えっ!?」 振り返るとイケメンがいない。 「えぇええ!あいつなんで居ないんだよ!」 「あの部屋に置いてきたんだよ!」 「違う違う! 途中まで俺たちのあと追って来てたって!」 「じゃあなんでいないんだよ!」 俺たちはパニックになりその場で口論していると、 廃屋の中からこちらに向かって走ってくる人影が見えた。 「貴様らぁあああああ!!!」 イケメンだった。 イケメンは走ってくるなり 憤怒の形相で俺たちに掴みかかった。 「貴様ら俺をハメやがったなぁー!!」 あまりの恐怖で頭がおかしくなったのかと思ったが、 どうも違うらしい。 とりあえず俺たちは車を出して 近くのコンビニまで避難して、 そこでイケメンから話を聞いた。 俺とブッチャーがあの部屋から逃げ出した後 イケメンはそこに取り残されたらしい。 暗闇の中 手探りで部屋から出ようとしたその時、 後ろから誰かに突き飛ばされた。 そして地面に転ばされたあとに 何度も蹴られ暴行を受けたと言う。 「えっ、お前らじゃないの?」 「違う違う!」 「じゃあ誰だよ」 「こっちが聞きてーよ!」 「マジかよ・・・・ てっきりお前らがハメたのかと思ってたわ・・・・」 イケメンはそう呟いたきり黙ってしまった。 そこから話を整理して出た問題点。 ・俺は扉が勝手に開いたのしか見てないけど、 ブッチャーはそこから出てきた人っぽいなにかを見ていた。 ・その人っぽいのは複数いたらしい。 ・イケメンに暴行したのはそいつら? ・俺の背後の足音はイケメンのじゃなくて、 そいつらが追って来てた音? ・心霊的な存在だとしたら、 物理的に蹴るとか出来るの? ・人間だとしても俺には見えなかったよ。 とりあえず俺たちの中で出た結論が、 もう二度とあそこには行かないようにしようぜ、 ということでした。
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