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地元で有名な廃病院
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親友Aと一緒に体験した話。 たしか中3の夏頃だと思う。 高校受験のための勉強に疲れて、 男友達5人組で地元で有名な廃病院に行くことに。 厨房だったから夜遊び厳禁で、 もちろん家族には嘘ついて行った。 廃病院は別段人里離れている訳ではなく、 友達の家のすぐ近くにある。 誰も居ないはずなのに 今でも看板の電気が常に付いていて、 いかにも~な雰囲気を出している。 八階建ての病院で、 なぜ廃病院となったか本当の理由は誰も知らない。 噂によると、 六階の角の部屋の患者が立て続けに屋上から飛び降りたため 誰も近寄らなくなった、 というのが最有力の理由だった。 5人それぞれ懐中電灯を持って中に入る。 コの字型の形をしていて、 両端に階段があるのは調査済み。 なので、 一階を端から端まで行って階段登って・・・を 六階を除いて八階までして、 楽しみの六階は一番最後に取っておこうと計画を立てた。 看板の灯りがやたらと不気味だったけど、 気にならない振りをして中に突入。 特に嫌な感じはしなかったが、 Aは既にびびりまくっている。 Aに霊感があるとは知らず (俺のが移ったとAは主張してる)、 かなり囃し立てた。 中は本当に廃墟と思えないほど綺麗なものだったが、 廊下は真っ暗でその点だけは廃墟っぽい。 床に反射する懐中電灯の光が歩く度に揺れて、 その不気味さが俺達のテンションを引き上げる。 期待に反して 一階はこれといって何もなかった。 二階に上がった頃に、 変化があったのに気付いた。 他の奴等は気付いてないみたいだけど、 なぜか廊下に風が吹き始めた。 窓は割られてる訳でもないし、 全部閉まってる。 「蒸し暑かったし、丁度いい風だな」 と先頭のBが笑って言うと、 他の二人もうんうんと相槌を打ちながら笑う。 でもAと俺は笑ってられなかった。 だからといってそれ以上の怪現象は起こらず、 とうとう八階まで行ってしまった。 今までと同じように部屋を覗きながら歩いていると、 明らかにおかしな部屋が1つある。 部屋自体は何の変哲もない、 でも患者用ベッドの1つは確実に危険を俺に伝えていた。 「なぁなぁ、なんで廃病院のベッドに花が飾ってあるん?」 言い出しっぺのBがその花瓶に近付く。 それだけならまだしも、 飾ってある花を取り、 胸ポケットに入れた。 「な、カッコいいやろ?」 と本人は言ったが、 俺達四人は完全に引いていた。 「もう帰らん?もういいやろ?」 とAが言い出したのは、 屋上へと続く階段を登る途中だった。 「何言っとんや。まだ六階行っとらんやん。」 Bが花を入れたまま、屋上のドアを調べる。 鍵がかかって開けられない様だった。 「なぁ、お前はだいじょぶなん?俺寒いとだけど。」 渋々ついて来てるAが俺に話し掛ける。 「だいじょぶやろ。 何かあってもCの家すぐやし、 走ればなんとかなる。」 と言いつつも、 六階に近付くに連れて 段々と身体中から冷や汗が滲んできていた。 厨房独特のルールというか、 チキンだと思われたくなかったため、 嫌な感じを感じつつも帰ろうとは言えなかった。 六階に着いた瞬間、全員が固まった。 ビビる素振りなんか見せてなかったBも 完全に固まっていた。 六階以外のフロアは、 完璧な真っ暗闇だったのに、 六階だけ足元の非常灯が付いている。 さっき階段を登る時は付いてなかったと思うのに。 「さっき、付いとらんかったよな?」 Bがぼそっと言ったが、 誰も答えられなかった。 意を決したのか、 Bは一人でずかずかと歩き始めた。 俺もAも呼吸を忘れるくらい嫌な空気を感じていた。 最初の2部屋の中は何もなく、 1つ目の角を曲がった時に、 嫌な空気の正体を掴んだ。 奥の角に青白い服の、 恐らく患者が立っている。 「おい、B!止まれ!」 つい叫んでしまうと、 部屋から出てきた三人が立ち止まって振り向いた。 「いいか? 口答えとかせんで、 振り向かずにこっち来い。 振り向くなよ。」 叫んでしまったせいか、 後ろ姿だった患者はこちらを向いてしまっている。 さっきよりも若干近付いた気もする。 しばらく三人は固まっていた。 Aは俺の肩を掴んで口をパクパクさせていた。 「お前霊感あるって知っとるけど、 ビビらせようとしても無駄ぞ。」 とBはバカにして振り向いた。 その瞬間何かに倒されたかのようにBは尻餅をついた。 と同時に転けながらもこっちに向かって走り出した。 それを皮切りに、後の二人も、俺達も走り出した。 階段を一階まで降りると、 Cが有り得ない、 けどありがちなことを言い出した。 「ゴメン・・携帯落とした・・。 取りに行くの付き合って・・。」 全員ブーイングだったけど、 どうしてもと言って聞かないので、 全員で固まって行くことにした。 恐らく階段の途中で落としたらしかった。 階段を上がるときには、 全員がもう涙目になっていた。 しかし特に何も起こらず、 5階に到達することができた。 どこにあるのか分かりやすくするために、 Cの携帯に電話をかけていた。 その着信音(タイミング悪く、着信アリの着メロだった)が 病院中に響いて物凄く怖かったのを覚えている。 走りながら落としたので 階段と反対の廊下の端まで転がっていた。 無言でCが拾うと、 直ぐ様こっちに帰って来る。 が、その足が階段の前で止まった。 目線は明らかに俺達の後ろ、 上の踊り場に向いていた。 最悪なことに、 霊の接近に俺は気付けなかった。 「カラカラカラ・・」 という点滴を吊るすカートの音が 後ろから聞こえる。 「うぁぁぁぁぁぁあ」 奇声を上げながら全員が一斉に走り出して、 脇目も振らずCの家まで走った。 朝まで全員で固まって震えたのは言うまでもない。 それから数日間はAの家に寝泊まりした。 一人で眠れなかった。 「俺、あそこまではっきり霊見たの初めてだ。」 とAが布団に潜りながら呟いた。 一番大変だったのはやっぱりBで、 肺炎を起こして夏休みを棒に振った。 「病院は嫌だ!帰りたい!」 と入院している間、 ずっと言っていたらしい。 あの花がどうにもいけなかったらしく、 看護師の目を盗んで供養しに行ったらしい。 詳しい話は教えてくれない。 慣れているからと言っても、 スポットには遊び半分で行ったらダメだと酷く痛感した出来事。
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