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ゾンビ
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まじ世の中にはこういうモノっているんだな、と思った出来事です。 子供の頃の出来事です。その頃夏休みになると田舎のおばあちゃんちに帰省していました。 周りは山に囲まれた緑いっぱい空気のよい環境でした。親戚の大人に車に乗せてもらいあちこち連れて行ってもらったものです。 山・川・林の自然世界。今では都会で仕事に追われる毎日で、自然に触れる時間がなく当時が夢の世界のように思われます。 で、子供の頃の僕は地理に弱く(現在でも地理は苦手だし車の運転免許ももっていない。)、行った場所の風景とかは覚えているのだけど、そこにどうやったら辿り着けるのかが思い出せない。 で、ある時親戚一同と川原へキャンプに行きました。きれいな川で、周りには人がほとんどいなくて貸切状態でした。 親戚一同で泳いだり川原で食事をしたり釣りをしたりと、楽しいひとときでした。昼過ぎ頃になると山奥の木の沢山ある方に行ってみたくなり、一人ちょっと外れておそるおそる林の中に入っていきました。 いわゆる好奇心を満たす『冒険』とゆーやつです。ちょっと入っただけで川原の雰囲気とがらっとかわるものです。 するとちょっとした傾斜があり、わくわくしながら木につかまりアスレチックコースのように降りていきました。そこには窪みがあり、その中に壊れてボロボロになった車がありました。 僕は興奮してどきどきしながらその車に近づき中を覗き込みました。ゴミや雑草が生え、砂埃になってどう考えても動きそうにありません。 おそるおそる運転席に座り、割れたフロントガラスをみながら運転しているつもりになってハンドルやクラッチ、ペダルを操作しました。しばらくして飽きた僕は、再び外に出てさっきより大胆になったためもっと林の奥へと冒険を開始したのです。 コンクリート作りのボロい建物を発見しました。僕はまるで別世界に来たような不思議な感覚に襲われました。 ここには僕しかいないんだ、僕はこの世界の王様だ!といった気持ちです。どきどきしながらその建物の入り口と思われるところから建物内部に入りました。 廃墟の探検です。湿った空気でした。 細い廊下をちょっと歩くと、いくつか部屋がありました。部屋の中はスチール製の机や椅子がまばらにありました。 ガラスが割れた窓から陽光がそそいで、埃っぽさが目立ちました。廃材が散乱しています。 机の引出しを開けたりいろいろといたずらをしてみましたが、湿ってボロボロになった雑誌位しかみつかりませんでした。廊下の突き当たりに階段がありましたので、そこを緊張しながら上っていきました。 すると、なんか途中で音らしきものが聞こえたんです。立ち止まり耳をすませました。 なんか遠くの方、建物の3階より上から聞こえてくるようです。「なんか動物か?」と思いました。 子供の心理とは不思議なもので、僕はその時自分が鎧や剣を装備している勇者になったつもりで、「怖くない、悪者は退治してやる!」と強気になっていました。2階に行くと僕は素早く動き、壁の陰から柱の陰へ、と忍者のように行動しました。 そうして次から次へと部屋部屋を見回ったんです。時には飛び跳ねて移動したり腰にあるつもりの剣に手をかけてみたりと。 。。 気分が昂ぶっていたようです。また上の階のほうから音が聞こえてきました。 「グォーグォー」という机を引きずるようなくぐもったかんじの音です。どきどきしながら、もう戻ろうか?という気持ちと好奇心がせめぎあいました。 ちょっとだけ、ちょっと覗くだけ、いざというときは逃げればいいじゃないか、というほうが勝ったようです。その後は酔ったようなカンジで頭の中がクラクラして非現実感が漂っていました。 ついに3階に上りきると、そこの壁は1、2階とちがってプラスチックのような材質でできていました。部屋の配置も1、2階とは違いました。 ここでぐっとイヤな感覚になった。奥の方にある部屋からその「気」らしきものが出てた。 そーっと覗いて、ダッシュで逃げるつもりでおそるおそる近づきました。その後は記憶が映画の一こま一こまのようにとびとびです。 薄暗い部屋だったんですが、ヒトのようなものが横たわっていたんです。一瞬僕は凍りつきました。 心臓が破れるようにどきどきして。がくがくと全身が震えて身動きがとれません。 と、そのヒトのようなものが「グォー!!」といって這ってきたんです!僕は死の恐怖で無意識のうちに階段の方に走り出していました。階段を下りるときに視界に入ってきたのは、そいつがふらふらと立ち上がろうとしているところでした。 そいつの全身は茶色っぽく腐ったようなかんじで、頭は干からびたような状態だったようです。僕は猛ダッシュで建物の外に出ました。 はやくみんなの居るところに行こうと。途中壊れた車の傍を通り過ぎるとき、車の下のほうから何かが出てくるのが見えました。 なぜか直感でそれが何なのかわかってしまいました。さっきのやつとは違うようですが、こいつはもっと崩れたような骸骨に近いやつでした。 もう必死で無我夢中で逃げて、全身傷だらけになりながらもなんとか川原まで出ることができました。そこまで来てようやく「うぁーーーーっ!!うぁーーーーっ!」と叫び声を上げることができました。 親戚一同何事かと僕のただならぬ雰囲気に驚きました。「お化け!お化けがいた!」と僕は狂ったように叫びました。 でも僕は普段から怖い映画やSFなどのマンガ好きだったので、親戚達は苦笑いをして「勝手にどっかいっちゃだめでしょ?」というだけで信じてはくれませんでした。その日は僕はもう楽しむどころではありません。 早く帰りたくて帰りたくてしょうがありませんでした。周りが気になって、さっきのやつらがやってくるのでは...?と気が気でありません。 川の浅瀬のところで何か気配があるとビクッとしたり、木の枝がカサッと音を立てると「きた!?」とビクビクして。その後は何もありませんでしたが、テレビ映画で「バタリアン」とかのゾンビ映画を見るたびに、あの時の光景そのまんまなのでガクガクブルルルしてました。 あれは一体なんだったのでしょうか?まさかあんなひと気のないところに特撮のセットがあるわけないし...もしそいつらが映画のゾンビのように強いやつで、どこかに大量に存在するとしたら...そのうち人間の住んでいる場所に襲ってくるのではないかといまだにガクブルしています。
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