怖い話登録数18393話
恐怖感アップダークモード
(0件)
▼コンテンツには広告が含まれています
✕
お下がり
お気に入り
2551
44
0
長編5分
コピー
「お下がり」の朗読動画を探しています。YouTubeでこの話の朗読動画を見つけたらぜひ投稿していってください。
※YouTubeのURL必須
開始時間
00時間00分00秒
投稿する
俺のうちは昔、 超貧乏で欲しいものなんか何一つ買ってもらえなかった。 着てる服は近所の子供のお下がりだったし、 おやつは氷砂糖だけだった。 そんな俺でも義務教育だけは ちゃんと受けさせてもらっていた。 ただし、勉強道具はすべてお下がりだった。 生まれてからずっと お下がりばかりだったから、 別になにも不満はなかったんだけど、 ひとつだけ嫌なことがあった。 それはお下がりでもらった学習机だった。 その学習机はお下がりなのに まだ新品の光沢を保っていて、 ひきだしをあけると 木材のかぐわしい香りが楽しめた。 俺はその学習机をひどく気に入って、 暇な時間は柄にもなく机の上で 本なんかを読んでみたりした。 学習机がきて一週間くらい経った頃、 妙な体験をした。 いつものように椅子に腰掛けて 机の上で本を読んでいると、 右足にひんやりとしたものが触れた。 本を読んでいる最中だったので 足に触れたもののことなど気にしなかった。 足をひんやりとしたものに当たらないように少しずらす。 しばらくすると、 またひんやりしたものが足に触れた。 気持ち悪かったので 右足でひんやりとしたものを奥に蹴り込んだ。 すると足の先に ぐにゃっとした変な感触があった。 視線は机上の本にありながら、 意識は机下の足先に集中した。 俺は右足をそっと動かしながら、 そのぐにゃっとしたものの表面を確かめた。 ぐにゃっとしたものは、凹凸があり、 所々に穴があいていた。 やわらかいかと思うと、 かたい所もあったりして 何なのかさっぱりわからない。 足先はなめるように ぐにゃっとしたもの表面に触れていき、 最後に上部に達した。 そこで細い糸のようなものが沢山ある感覚を感じた瞬間、 自分の足が触れているものが何かわかった。 俺はそっと体を曲げて机の下を覗いた。 そこには青白い男の子がいた。 俺の足先は男の子の頭に触れていたんだ。 俺はびっくりして椅子ごと背後に倒れた。 でも顔は常に机の下の男の子を向いていた。 男の子も微動だにせず俺を見ていた。 立ち上がることもできず、 ハイハイ歩きで部屋を出た。 すぐにオヤジの所にいき 体験したことを泣きながら話した。 でもオヤジは全然信用してくれなかった。 もし信用してくれたとしても うちには新しい机を買うお金なんてないので 買い換えることはできない。 結局俺は、 小学校時代ずっとその机を使い続けた。 机で勉強していると、 足にひんやりとしたものが触れることが度々あったけど、 机下を覗かないようにした。 またあの男の子がいたら怖いからだ。 いるのは確実なんだけど 見ないことでやり過ごそうとした。 中学になって それとなく母ちゃんに聞いてみた。 俺の使っている机は誰からもらってきたのかと。 すると母ちゃんは 少し困ったような顔をしてから、 あの机は近所のワタルくんの家からもらってきたんだよ と教えてくれた。 ワタル君は俺と同い年で 幼稚園が一緒だった。 小学校に入学する数日前に ワタルくんは川に落ちて死んだ。 頭がよかったワタルくんは、 入学する前から勉強を始めていたらしい。 俺が使っている机で勉強しながら、 これから始まる学園生活に ワクワクしていたんじゃないだろうか。 事情を知った俺は、 机下にいるワタルくんのことを怖がらなくなった。 ワタルくんのぶんまで勉強しようと思った。 それからもワタルくんは 俺の足に触れることがあった。 俺はワタルくんが足に触れるときは 勉強頑張れって励ましてくれていると考えた。 ワタルくんの励ましが支えになって、 俺は結構勉強ができるようになった。 少しして、中学校で野球がはやった。 俺も参加したかったんだけど バットやグローブを買うお金がなくて困った。 俺はいつものようにオヤジを頼った。 するとオヤジはちょっとまってろと言った。 数ヵ月後、 オヤジはバットとグローブを俺にくれた。 またしてもお下がりだったけど、 気にしなかった。 これで野球ができる。 俺は野球のメンバーに混ぜてもらい、 思う存分楽しんだ。 だけどある日、 友達の一人が俺のグローブを見て言った。 「それ、ヨシロウのグローブじゃねぇか」 ヨシロウというのは、 中学で野球部に所属していた同級生だ。 野球の才能があって 中一の頃からレギュラー入りを果たしていた。 だけどヨシロウは、 つい最近死んだのだ。 帰宅途中に川に落ちて溺れてしまったらしい。 自分が使っていたグローブが ヨシロウの物だったことを知り、俺は思った。 ヨシロウのぶんまで野球を楽しんでやろうと。 そのとき、ふと思った。 ヨシロウとワタルくんって、 何か似てるなぁと。 二人はどちらも若くして亡くなっており、 死因も死んだ場所も同じだ。 そして二人の形見を俺がもらっている。 こんな偶然ってあるのだろうか? 数ヵ月後、 再び俺はオヤジに頼みごとをした。 今度はテレビゲームが欲しいと。 するとオヤジはいつものように ちょっと待ってろといった。 二週間後、 オヤジはテレビゲームをくれた。 またしてもお下がりだった。 オヤジからテレビゲームをもらうちょっと前に 新聞に載っていた記事を思い出した。 近くの川で近所の中学生が 溺れて死んだらしい。 体全体に寒気が走った。 その日の夜、 いつものように自室で勉強をしていると 足先に何かが触れた。 何年もの間、その何かを、 死んだワタルくんが俺を励ましているものだと思っていた。 本当は違ったんだ。 その何かは、必死に訴えかけていたのだ。 俺は今も机下を覗くことができないでいる。
怖い話を読んでいると霊が寄ってくる?不安な方はこちらがおすすめ
感想や考察があればぜひコメントで教えてください ↓コメントする
この話は怖かったですか?
怖かった44
次はこちらの話なんていかがですか
続きを読む
※既読の話はオレンジ色の下線が灰色に変わります
いま話題のホラー漫画
憑きそい (扶桑社コミックス)
サユリ 完全版 (バーズコミックス スペシャル)
禍話 SNSで伝播する令和怪談
変な家: 1 (HOWLコミックス)
ゾゾゾ変 (1) 【電子限定カラーイラスト収録&電子限定おまけ付き】 (バーズコミックス)
小松左京の怖いはなし ホラーコミック短編集
前の話:【洒落怖】スタッフの一人に黒い煙がついている
次の話:【洒落怖】混乱
怖い話 No.2627
【洒落怖】後ろ向きの女
1426
24
短編2分
怖い話 No.7341
【洒落怖】キュルルル
1447
37
中編4分
怖い話 No.97
【洒落怖】主人を返して
朗読 りょりょの怪談チャンネル【作業用かいだん朗読】
1694
28
1
長編6分
怖い話 No.9247
【洒落怖】都会の地下に潜む者
朗読 めたんの怖い話紹介ch
2264
27
怖い話 No.1122
【洒落怖】ひつこい
723
31
短編1分
怖い話 No.31
【洒落怖】死体洗い
2203
30
怖い話 No.22478
【洒落怖】笑い女
960
6
長編12分
怖い話 No.2761
【洒落怖】幽霊画
1607
49
怖い話 No.8754
【洒落怖】どんぶり飯
1891
39
怖い話 No.9617
【洒落怖】右腕
1075
42
心霊サイト運営者
全国心霊マップ
ghostmap
プロフィール
Twitter
新着洒落怖
留守番電話
舞台学科による演劇
分譲現場
謎の会話
たけのこ掘り
かんのけ坂
4階のベランダから落ちた友人
林間学校で登山
自転車に乗っている夢
雄別炭鉱
運動会?
坪の内
新着コメント
切り裂き魔
夜中に服を着替えさせられた
偽コトリバコ
5分間の留守電
神様に貰ったチャンス
キャベツの千切り
一年に一度村を無人化
夢じゃないよー