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混乱
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2018
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長編6分
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大学の友人A、B子、C子と突如肝試しに行く事になった。 場所は大学から車で一時間の俺の家の隣町 ネットで書いてあった廃病院らしい。 隣町の地理はよく知っているが、 その廃病院とやらは俺は知らなかっので、 俺は好奇心で快諾した。 大学からついでに車で帰れるのも魅力だった。 談笑しながら目的地につく。 そこは意外にも見知った道のちょっと奥だった。 細い道を少し進んでいくと、 暗闇の中に突然、 4階建の大きな廃墟が出現した。 20年間も近くに住んでいて、 こんな大きな知らない廃墟があったとは正直驚いた。 お調子者のAはノリノリ、 B子もテンションが高い。 C子はちょっと怯えていた。 Aと俺が懐中電灯を持ち、 入り口を開けて中に入った。 意外と簡単に進入できた。 Aがいろいろな方向に懐中電灯を向ける。 B子はわけのわからないハイテンション。 C子は俺の後ろにピタっとついていた。 中は古い、 昭和時代を思わせるような壁とロビー。 ふと俺はここである事に気がついた。 この場所は回りはなにもない畑が広がっているはずで、 こんな大きな建物がある事に20年間気がつかなかったはずがないのだ。 また、この場所はショッピングセンターから それほど離れていないはずだが、 そんな明かりは近くにはどこにもなかった。 そんな事を考えているうちに、 突然B子が笑いながら明かりもない暗闇の中の階段を上りだした。 俺もAもC子も唖然とした。 この暗闇の中B子1人で行かせるわけにはいかないので、 俺たちは直ぐに追いかけた。 C子は悲鳴に近い形でB子戻ってと叫んだ。 内心、来るんじゃなかったと後悔しながら、 暗闇の中、B子の笑い声だけを頼りに追いかけた。 息を切らしながら階段を上っていく。 全員かなり必死だった。 ふと、暗闇に 5階血液系病棟という文字が目に飛び込んできた。 二人も気がついたようで、 足を止めお互いに目を見合わせた。 この建物は外から見た限りでは、 4階建だったはずだ。 なのに今いる場所は既に5階とはどういう事だ? B子の声はさらに数階上の階から聞こえているように感じる。 俺たちは迷った。 このままB子を追いかけるか、 一旦戻って、車でB子を待つか。 外部との連絡を試みようとも考えたが、 携帯は全員圏外。 やはりこの建物はおかしい。 市街地からすぐ近くなのに圏外のはずがない。 俺たちは思い切ってB子を追いかける事にした。 5階から6階循環器系病棟、7階呼吸器系病棟、8階感染症病棟・・・ お互いになにも言わなくなった。 明らかにありえないからだ。 9階、不気味に光る非常口の文字。 屋上らしい。 電気が来ているはずがないのに、 非常口の文字は不気味に光っていた。 非常口から屋上に出る。 扉は意外とあっさりと開いた。 このまま建物の中に閉じこまれるのではないかと恐怖から、 とりあえず外気の触れる所に出れたことに少し安心した。 しかし、その安心は束の間だった。 そこは星も月もない。 ただ暗闇が広がっているだけだった。 ショッピングセンターや住宅地の明かりどころか、 地上を見下ろしてもただ、暗闇が広がっているだけだ。 B子は見当たらない。 途方に暮れる。 突然全員の携帯がなった。 着信は全てB子からだ。 皆直ぐには出ない。 さっきまで圏外だった上に、 ビジネスホンでもないのに、 同じ電話番号から複数に発信できるはずがないのだ。 恐る恐る携帯に出る。 B子だ。 俺は 「今どこにいる?」 と聞いた。 B子は4階にいると答えた。 「4階のどこか?」 「ナースステーション」 と短い返事が来た。 「今からいくからそこ動くなよ?」 と言い切る前に電話が切れた。 携帯を見るとやはり圏外だ。 AとC子に 4階のナースステーションでB子を拾って 車に戻るとういう方針を伝えた。 二人とも異存はなかった。 非常口に戻り 暗闇の階段を下りる。 非常口の文字は不気味に光ったままだ。 8階感染症病棟、7階呼吸器系病棟、6階循環器系病棟、5階血液系病棟 いままで上った階段が逆に下る。 4階についた。 そこは小児科だった。 フロアには、 入院していた子供が作ったらしい、 人形やプラモデルが飾ってあった。 ナースステーションのカウンターに懐中電灯を向ける。 B子がうずくまっている。 俺とAでB子を抱え込む。 目の焦点が合っていない。 B子を抱えて4階、3階、2階、1階と降りていく。 そしてロビーに出て外へ。 屋上に出た時はなかった ショッピングセンターの明かりが見える。 心底ほっとした。 無事車に辿り着き、 お互いの顔を確認。 そこで俺の記憶はぷっつり切れた。 気がついたのは病院のベッドの上だった。 携帯の日付は、 廃墟探検した日から3日間意識がなかった事を示していた。 俺は直ぐに病院からAとB子とC子に連絡を取り 無事を確認した。 お互いの話を突き合わせると、 Aの記憶はほぼ俺と同じだった。 B子は4階までいった後、 5階に上る階段などなかったそうだ。 なぜ突然上っていったのかは、 自分でも分からないそうだ。 C子はAと俺が上にいってしまい、 心細かったと本気で怒っていた。 とりあえずは、 みんな無事だった事が確認できた。 いったい、誰が俺を病院に運んだのかを聞かなかった。 退院してから聞けばよいと考えた。 そして、退院予定日も迫ってきた中、 俺はリハビリもかねて病院の中の探検を始めた。 俺が入院しているのは5階血液系病棟だった。 一つ階段を上ってみると、 6階は循環器系病棟らしい。 この病院は昭和テイストの古ぼけた病院であることに気がついた。 階段をもう一つ上ると7階呼吸器系の表示板が見えた。 そういえば、 まだこの病院の外の様子を見ていなかった。 そして、8階は感染症病棟。 さらに階段を上ると、 非常口の文字が見える。 ふと携帯の時計を見ると、 日付が廃墟探検をした日時だ。 屋上のドアを開ける。 そこは星も月もない。 ただ暗闇が広がっているだけだった。
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