怖い話登録数18393話
恐怖感アップダークモード
(0件)
▼コンテンツには広告が含まれています
✕
黒い街宣車
お気に入り
1923
52
0
中編4分
コピー
「黒い街宣車」の朗読動画を探しています。YouTubeでこの話の朗読動画を見つけたらぜひ投稿していってください。
※YouTubeのURL必須
開始時間
00時間00分00秒
投稿する
俺が中学1年の頃の話。 その頃俺は、某県某市(西の方ね)の団地の4階に、 家族4人(両親と弟)で住んでいました。 団地は街の隅っこの山の上にあったんだけど、 この団地が今考えても結構不気味でさ。 ボロいわ、汚いわ、入居者もいないのに棟数だけはやたら多いわで、 ぱっと見で廃墟みたい。 敷地が無駄に広い上に、すぐ後ろは山、前は寂しい住宅街だったから、 夜中になったらもうゴーストタウン同然なんだよ。 夏休み中も、近所のガキが肝試しに使うような場所。 エヴァンゲリオンの綾波レイの住んでいる所みたい、 って言ったら分かる人いるかも。いないか。 まあそんな所だから、廃棟の屋上に人影が見えるとか、人魂が漂っているとか、 そういう怪談話には事欠かなかったよ。 そういうの、俺は結局一度も見えなかったけど。 で、俺が変な体験したのは11月の頭。今よりちょっと早い時期だな。 その日俺は風邪をひいて、学校を休んだ。 熱なんてほとんど無かったはずなんだが、とにかく気分が悪くて、 何を食ってもゲロ、何を飲んでもゲロ、って状態だったと思う。 それと、耳鳴りがヤバかった。 テレビとかで放送禁止用語に被せる「ピー」ってSEがあるけど、 あれに良く似たヤツが、耳の奥でちっちゃく鳴り続けている感じ。 後にも先にもあんな耳鳴りは初めてだったから、良く覚えている。 平日だったから親父とおふくろは仕事、弟は小学校へ行き、 一人っきりになった俺も、午前中は黙って寝ていたんだけど…。 吐き気と耳鳴り以外に体の変調も無かったし、 昼過ぎにはもう退屈して起きちまったのね。 で、テレビみたり漫画読んだりゲームしたりしながら、 時間をつぶしていたんだ。 変な出来事が起きたのは、4時40分ジャストくらい。 時間は多分正確だと思う。 弟がなかなか帰ってこなくて、 「遅ぇなぁ」 って窓際の時計を見上げた記憶があるから。 だから、外の天気もはっきり覚えている。 気持ち悪いくらい西陽が眩しかった。 独りきりの夕方って、夜中なんかよりもよっぽど静かなんだよな。 昔の人が逢魔ヶ時って呼んでいたのも分かる気がする… 不気味な空気が漂っているというか。 あの時も、早く弟に帰ってきて欲しかったんだと思う。 そん時俺は、セガサターンのバーチャファイターに興じていたんだけど、 突然テレビが、音飛びと同時にノイズまみれになったんだ。 ノイズって普通、画面全体をザァーって覆うと思うんだけど、 そん時のノイズはなんか変で、 モニターの真ん中から発生して同心円状に広がっていく…っていうのかな。 うまい事言えないんだけど、 池に石を投げ込んだら波紋が広がる、って感じに似ていた。 ちょっとしたらノイズは消えるんだけど、 しばらくしてまた真ん中が歪む⇒ノイズが外側へ向けて広がっていく、 ってのが何度か続いた。 最初はテレビの故障かなとも思ったんだけど、 あんまし規則的に続くもんだから不気味になってきて。 それでテレビ消そうと思ったら、俺が触るより早く突然電源が落ちた。 もうこの時点で泣きそうになった(と思う)んだけど、 電源が落ちた途端に耳鳴りの音が急にデカくなって、 思い出して勝手に鳥肌立ってきたんだけど… 耳鳴りの音質が明らかに変わったんだよ。 「ピー」っていう高音から、「ブーン」っていう低音に。 ともかく、子供心にもこりゃヤバいって気がして、 テレビから離れようとしたんだ。 そん時、窓の下に何か黒っぽい塊が見えてさ。 そこは団地と団地の間に挟まれた中庭みたいな所で、 小さな公園になっているんだけど、 公園の隅っこに1台、真っ黒でバカでかい車が止まっているんだよ。 街宣車にそっくりだったのをハッキリ覚えている。 あの軍歌とかゴジラ流しながら爆走しているヤツね。 ただ、ボディペイントとか日の丸なんかは全く何もなくて、ただ真っ黒なだけ。 それが西陽の中で、捨てられたように佇んでいるんだ。 で、魅入られたみたいに眺めていると、 暫くしてスピーカーから音が流れ出してきたんだ。 流れてきたのは軍歌でもゴジラでも無く、陰気な声だった。 『チチ(父?)は…○○○、ハハ(母?)は…○○○(○は意味不明)』 みたいな事をブツブツ呟いていた。 何度もチチとハハって言葉が聞こえたから、 同じフレーズを繰り返していたのかもしれないけれど、 なんせ声は小さいし、低くこもっているし、意味は全く分からなかった。 声と連動して耳鳴りも段々大きくなってきて、唸り声みたいになってくるし。 その後なんだけど、 耐えられなくなった俺が泣きながら布団に頭突っこんで、 耳塞いで「あー」って怒鳴って、耳鳴りの音を掻き消しながら暫く耐えていたら、 やっと弟が帰ってきた。 弟に布団を引っぺがされた瞬間は、心臓が止まるかと思ったけど。 で、気付いたら耳鳴りは止んでいて、 窓の外を見ても街宣車の姿はどこにも無かった。 弟に聞いてみても、ありがちなオチだけど、 そんな声も車も知らないって言われた。 以上が俺の経験した中身です。 書いたの見てみると、あんまし怖くないな。 でも、俺個人としてはほんのりどころか、 メチャメチャ怖い出来事でした。 結局あの車が何だったのか分からずじまいですが、 今でも街宣車と夕焼けは苦手です。 団地にはもう誰も住んでいませんが、物自体はまだあります。
怖い話を読んでいると霊が寄ってくる?不安な方はこちらがおすすめ
感想や考察があればぜひコメントで教えてください ↓コメントする
この話は怖かったですか?
怖かった52
次はこちらの話なんていかがですか
続きを読む
※既読の話はオレンジ色の下線が灰色に変わります
ひっそりと話題になってる心霊系の本
訳アリ心霊マンション 4巻【電子特典付き】 (バンチコミックス)
あかりとシロの心霊夜話 36巻
訳アリ心霊マンション 1巻【電子特典付き】 (バンチコミックス)
新 心霊探偵八雲 赤眼の呪縛
訳アリ心霊マンション 2巻【電子特典付き】 (バンチコミックス)
訳アリ心霊マンション 3巻【電子特典付き】 (バンチコミックス)
前の話:【ほん怖】墓地探検
次の話:【ほん怖】展望台に登る道
怖い話 No.15043
【ほん怖】入れずの山
1570
短編1分
怖い話 No.14973
【ほん怖】山のてっぺんに泉が湧く
1667
31
短編2分
怖い話 No.21684
【ほん怖】変な約束
1581
43
怖い話 No.11515
【ほん怖】心霊スポットのある山で迷った
1530
34
怖い話 No.11657
【ほん怖】踏切で電車の通過待ち
1834
42
怖い話 No.14972
【ほん怖】山奥のダムの発電所
1031
33
1
怖い話 No.14971
【ほん怖】ウタ
1848
30
3
怖い話 No.21656
【ほん怖】夏のエレベーター
789
13
怖い話 No.3701
【ほん怖】祖母は八人姉妹だった
1304
23
怖い話 No.11616
【ほん怖】神社の宝物
1090
32
心霊サイト運営者
全国心霊マップ
ghostmap
プロフィール
Twitter
新着ほん怖
でっかいカエル
古びたフランス人形
信号待ち
家への電話
ヘアピンが落ちてる
友達の家に電話
笑い声
缶けり
義理の姉
サンタとトナカイ
極限状態の意識
白黒おじいさん
新着コメント
熊に怯えていた
えいやこらさ
忍者ごっこ禁止令
気持ち悪い人形
ゴッホ効果
カルト集団への取材
異物混入