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闇プールに先客
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1985
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私達は毎年、決まったメンバー(男5人3人)で夏になるとよく飲んだり遊んだりしていました。 そして特に暑い夜だと、母校の中学校へ忍び込んで闇プールなんかもしたりしていました。いつだったかは覚えてないのですが、8月中頃だったと思います。 その日の夜に闇プールすることが決まって、9時頃友人宅に集合しました。ここで私をA(女)、体験した友人をB(女)、もう一人をC(男)とします。 友人宅には私を含め5人集まっており、世間話をしたり、テレビを見たりしていました。あとの3人は、それぞれの理由で遅れてくるようです。 Bは12時までバイトで、そこから真っ直ぐこちらへ向かうということでした。怠惰な時間が流れ、もうすぐ日付けが変わろうという時、誰かが言い出しました。 「なあ、あいつら(まだ来ていない3人)に、待ち合わせ場所中学校って言わねえ?」暇を持て余していた友人達は、すぐその話に食いつきました。3人に、「もう中学校来てプール入ってる」とメールを送りました。 しばらくすると、友人の携帯にBからの着信が入りましたが、周りの友人が「出るな出るな」と笑いながら制しました。他の四人の所にもBから着信がありましたが、皆ただ笑うだけ。 (今思うとひどいな)最後に私の携帯に着信が入りました。そこでふと思った。 中学校は小高い丘の上にあり、周りは林で囲まれ、家もなく、夜中になるとあまり車が通らないとても閑静な場所にあります。そんな中を、女の子一人が歩いているというのは、とても危ないんじゃないか?もし何かあったら…。 急に心配になり、私は電話に出ました。『あ、中学校着いたよ。 』「今どこにいるの?」『武道館側の校門。もうプール入ってんの?』私の隣りで会話を聞いていたCが、「もう入ってるから早く来いよ」と割り込んで来て、通話が終わりました。 誰かが中学校へ行く前にコンビニ行きたいと言ったので、私達は2人(迎え組)と3人(コンビニ組)に分かれました。私はCの車に乗って、二人で中学校へ向かいました。 集合した友人宅から中学校はとても近く、三分程で着きました。しかし、車内から校門を確認しても、Bの姿はありません。 もしかしたら違う校門では?と、外周を囲む歩道や敷地内にBの姿を探しながら、車でゆっくり進んでいきました。(図) 門 ↓ | ̄ ̄ ̄ ̄¨¨ ̄ | | | : : | | | |  ̄ ̄ ̄ ̄¨¨ ̄上記の通り、門は全部で三つあり、私達の行った門は図の一番下の門でした。 そして、直線の道路の中頃まで進むと、その先にBらしき人の後ろ姿を見つけました。少しスピードを上げて近付くと、その背中は角を曲がりました。 車もその角を曲がり、Bの横に止まりました。するとBはこちらを訝しげに見やり、また歩き出します。 あれ、気付いてないのかな?と思い、電話をかけると、Bはすぐに出ました。「着いたけど…」『あ、うん。 わかるわかる』しかしヘッドライトに照らされたBは校庭の方を見ていました。再びCはBの横に車を停め、窓を開けてBを呼びました。 ようやく気付いたBは、驚いた表情でCを見ています。「おまえ無視すんなよ」「あれ?Cだ」「気付いてなかったのかよ!…まあ、早く乗れ」「え?なんで?」「皆コンビニにいるんだよ」「はあ?だってAがあそこにいるじゃん」私とCは思わず顔を見合わせてしまいました。 会話が噛み合っていない。だって私はここにいる。 彼女は誰の事をいっているのでしょうか?「B!あたしここにいるよ!?」「………え?じゃあ、あれは?」素頓狂な声を上げたBに、私は底知れぬ恐怖を感じた。Cも同じだったに違いない。 Bに急いで乗るよう促して、Cは車を発進させた。私達以上に状況が理解出来ていないBに、私は集合場所が変わったというのは嘘で、他のメンバーはコンビニで待機しているということを説明した。 Bはその嘘に怒る様子もなく、黙って聞いていた。そして、先程の出来事を話出した。 中学校に着いたBは、とりあえず私達の携帯に電話をした。しかし、誰も出ない。 皆プールに入っていて気がつかないのかな?と思い、最後私に電話をかけると、電話に出て、「もうプールに入っているから」と聞き、電話を切った後に、敷地内に入ろうとした。目の前の門は、なぜか少しだけ開いていたらしい。 (人間が一人通れる位)(ちなみに私が見た時は閉まっていました)そこから入ろうとして、ふと思いとどまった。静か過ぎる。 水音も声も聞こえない。前記にもあるように、周りはとても静かで、少し遠くの音でも良く聞こえます。 Bは敷地内に私達の姿がないか確認しながら、歩みを進めた。二つ目の門(図、横部分の)を過ぎた頃、校庭の奥にあるプールから、誰かが出てきたのが見えた。 (Bは視力がいい)そこをゆっくり下りて、こちらに向かってくる人がいて、Bはそれを私だと思い手を振ったが、向こうは無反応でどんどん近付いて来る。図の一番上の門から少し左に、小さな金網の扉があるのですが、彼女はそこから中に入ろうと考えた。 すると、一台の車が近付いてきて、横で止まった。Bはそれを私達と知らないので、「?」と思い、さっさと中に入ろうとした所で、私から着信が。 Bはこちらに近付いてくる人の方を見ながら、すぐさまそちらに向かおうとしたらしい。そこでCに声をかけられ、助手席に乗る私に気付き、驚いた、と。 淡々と話すBに、私はおぞけが走った。もし、私が電話に出なかったら?もし、Bが敷地内に入っていたら?コンビニに着いて、先程あった出来事を皆に話すと、私達は急いで残り二人に場所変更のメールを送った。 ほっと一息ついてから、友人の一人が「Bの見間違えか、先客じゃねーの?」と言ったが、リアルタイムでBのあの様子を見ていた私とCは即座に否定した。後者だったとしても、夜中に一人でプールから出てきた、なんて、明らかに普通じゃない。 とりあえず、もう一度中学校へ戻って確認してみようという話になり、Cの車に乗り込んだ時だった。ハンドルにもたれて、Cが前を見据えてたまま、発進しようとしない。 「どうしたの?」「いや、あのさ、……これって……」Cが指差した先。フロントガラスの右下に、くっきりと手形が。 しかも、手をつけてから、そのまま下にずらしたような、5本の指の痕。内側からついたそれを、Cは顔をしかめながら拭き取った。 間違ってついたんじゃ?と言ったが、Cは「こんな所腕伸ばさなきゃ触れないし、第一触らねえよ!」と怯えていた。その後Cはコンビニで塩を買って車にまいていました。 結局その日は、最初集まった友人の家で飲み明かして、解散しました。お話は以上ですが、すべて実話です。
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