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めしうま
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俺の実家の幽霊の話です。当時は家族5人で暮らしていた。祖父、祖母、母、俺、弟。祖母は数年前、突然亡くなった。母は男が出来て突然いなくなった。俺は結婚して出て行った。そして今はその実家には、祖父と弟だけが暮らしているというわけ。家の造りはかなり古くて、知らない人が見たら、誰も住んでないんじゃないかと思うような、ボロボロ極貧なたたずまい。昭和初期からあるような家のイメージ。 家の中はなんとも薄暗く、太陽の光がほとんど入ってこないような造りになっている。だから、昼夜問わずに家の中は常に薄暗い。壁は土壁で、天井にはクモの巣があるわ、調度品はいつの時代から置いてんだよみたいな古いモノばかりだし、タンスのうえには和人形(テレビとかでよく見る毛が伸びるようなああいうような人形)や、キモチノワルイフランス人形?のようなモノが、長い間ホコリをかぶっておいてある。そんな不気味な家だ。なんで誰も掃除しないんだよ!って突っ込むとこなんだが、家族全員会話もほとんどなく、基本的にみんな家の中のことに我関せずなんだよな。いろいろややこしい家庭事情なこともあって…そこは話すと長いから省略する。本題にはあんまり関係ないと思うし。家がおかしいことに気付かされたのは、俺が高校生のときだった。それまでは知りもしなかったさ。きっかけは当時付き合っていた彼女と部屋でイチャコラしてたとき。彼女「……」ブルブルいきなり震えだす彼女。俺「どしたの?」彼女「……」ブルブル俺「なに?」彼女「…女の人がこっちをジッとみてる…」ブルブル俺「そんなことあるわけないし、なに言ってんの」そのとき付き合ってた彼女は、若干電波なところがチョコチョコ見受けられたから、また始まったよハイハイ程度に聞いてた。自演乙みたいな。霊が見えるだの、ハッキリいって全然信用してなかったんだ。…まぁその『女の人』というのが、後々俺をガクブルさせることになるわけだが。ガクブルしてたが、メンドクサイというか聞きたくもないので放置してたが、あまりに長いこと震えてるから聞いた。「はいはい、で、どんな女の人よ?」「白い着物着て、部屋のすみからこっちをじっと見てる。目が、煤みたいに真っ黒…」「ふうん。っていうかやめようぜ、気持ち悪いから普通に。オレ、毎日ここで寝てんのに、寝れなくなる」「ゴメン…」想像したらあまりに怖くて、ついイラっとして話を終わらせた。というか普通に怖いです。で、その彼女はちょくちょく俺の部屋に遊びに来るものの、よく電波なことを言っていた。あるときは突如、「シッ!今男の人がドアの前に立ってこっち見てる」「バカなの?ドア挟んでるのにこっち見れねぇ」とか。またあるときは、「この部屋に刀あるでしょ?」「なんで知ってんの?」この頃、バカまっさかりだった俺は、部屋のタンスの奥になぜか日本刀を所持していた。ちなみにその刀は、祖父が第二次世界大戦のとき持ち帰ったものらしい。聞いたところによると当時、その刀で人も殺したこともあるそうだが…ホントかどうかはシラネ「その刀になんかいろいろ集まってきてる。早く捨てたほうがいいよ」「あ、あぁ…」さすがにこのときは、この子ホンモノ?って思った。知らないはずのものを言い当てられてビックリしたから。他にもいろいろ電波なことを言ってたけど、記憶に残ってることだけ書いた。他には、いきなり何もないところを見つめてたり、突然走って帰っていったり、なんせ変なヤツだった。そしてその彼女とはほどなく別れて、平和な日々が戻ってきたときです。その数ヶ月後、元カノと寄りを戻すことになった。(↑に書いた彼女とは別の子)その元カノも霊感が強いらしい。先祖が巫女の家系だった。わかりにくいから呼び名つける。刀を見破った彼女⇒電波女寄りを戻した彼女⇒巫女で、電波女に言われたことがちょっと引っかかってた俺は、巫女に聞いてみた。そのとき巫女が俺に部屋に遊びに来ているときだから、ちょうど良かった。「なぁ、俺の実家って何かいてる?」「何かって?」「幽霊とか」「あぁ、いっぱいいてる」「ちょ、なんで前に付き合ってたとき黙ってた」「言ったら気にするでしょうよ」「確かにー。で、どんなのがいてる??」俺はちょっとwktkしていた。ちょっとしたwktkで聞いたんだ。そしたら…「んー、言わない。ってか見たくないし」「えっ、なんで」「普段見ないようにしてるのに、見ようとしたらなんでもかんでも見えるようになるからイヤだ」なんか封印みたいなもんらしい。1回能力を解放してしまうと次々見えてしまうんだとか。霊感ある人って、そういうもんなの?「いやいや、そこをなんとか!!!」俺は必死に懇願した。なぜそんなに必死なのかというぐらい懇願した。「…。そこにもいてるし、どこにいてるとかってレベルじゃないよ。この家全体にうじゃうじゃいる」「ほ、ほぅ…」正直引いた。「よくそんなとこにいて平気だな」「うじゃうじゃいるって言っても、1つ1つは浮いてるようなやつだから、気にしなかったら別に害はない」「そうなんだ…」もう俺完全にビビってた。基本的に幽霊は信じてるタイプで、怖いのも苦手。でも別にそんなに霊感強くないし、生まれてから何度か不気味な体験をした程度だった。「でも…」「なに?」「ヤバイのがいるにはいる」「どういうこと?」「女」まさかと思った。「え、どんな?」「んー…あんまし言いたくないけどなぁ。ってか今見られてるし。そこにいるよ」もう何言うか頭のどこかでわかってるけど、聞かずには終われない俺がいた。「どんなの?」「目がない。白い着物着てる」「……」一致した。もちろん、電波女と巫女は一切面識はない。これまでは、もしかしたら幽霊はいるのかしれん、と思ってたが、俺はこのとき、幽霊ってやっぱりいるんだなぁと改めて思った…。その後はもう気になってしょうがなかったから、ねほりはほり聞いた。なんでも、その女の人はかなりの別格なんだそうだ。今までいろんなのを見てきた中でもSクラス。比較できないくらいにエグイ怨念をもってるらしい。殺すなんてぬるいわ…不幸になってしまえばいい…人の不幸を見てるのが究極だわ…要約するとこんな感じの幽霊らしい。なんてめしうまなヤツ。(以下、めしうま)俺の母親はバツ2なんだが、「いつも結婚してもうまくいかないのはめしうまのせい」って巫女が言ってた。俺もこれまで実家で何回か心霊体験をしたことがあって、それを思い出してみると合点がいった。中学二年の冬、夜中二時頃にトイレにいったとき、廊下の窓の向こうに光る物体が目に入った。窓はスリガラスでボヤっと見えただけだから、あまり気にせずにトイレに入った。でもふと思った。トイレに向かう廊下の窓の先は壁があるだけだから、バイクの光も反射するわけないし、ましてや人が深夜二時になんか光を持って通るわけがない、と。で、『あ、いる』って本能的に思った瞬間、開いていたトイレの小窓を、女の顔だけがこっちを見ながら横切っていった。その女、めしうまの特徴と一致。中学三年の夏、めずらしくも家族旅行にいく前夜で夜中まで寝付けず、テレビを見ていた。そしたらいきなり、俺の部屋のドアがガタガタ言い出した。えっ?と思って、テレビの音量を下げてドアに意識を集中させた。でも特に何も起きないから、またテレビの音量をあげた瞬間、またガタガタ鳴っている。ドキッとして、テレビの音量を下げた瞬間、ドアの向こうでなんとも表現しがたい女の笑い声が聞こえた。なんというか、人間の声とはちょっと違うような、幼女のような成人女性のような…とにかくなんとも表現できない笑い声だった。旅行前夜で雨戸はすべて閉め切っていたし、みんな寝静まっていた。今思えば、幼少期(4~5歳位かな)にも、電波女と巫女が言うような特徴の女を、何度も目撃していたような気がする。夜寝ているときに目が覚めて、和室だったんだけど、ふすまの向こうに(ガラスですりがらす)女の人が、すり足みたいな感じで、ふすまの端から端を何度も往復して歩いているのも、朧げに覚えている。すりがらすで見えないはずなのに、なぜか女の人だと頭ではわかる奇妙な感覚。そのとき俺は、それを母親だと思っていた。今思えば、それもめしうまなのかと思ってしまう。
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