怖い話登録数18393話
恐怖感アップダークモード
(0件)
▼コンテンツには広告が含まれています
✕
餌やり
お気に入り
1138
7
1
0
長編5分
コピー
「餌やり」の朗読動画を探しています。YouTubeでこの話の朗読動画を見つけたらぜひ投稿していってください。
※YouTubeのURL必須
開始時間
00時間00分00秒
投稿する
人生で1回だけ体験した心霊?話おいていきますね。とりあえず、俺の住んでる所ってのがすごい田舎。数年前ローソンとか出来たけど、周りは山に囲まれてるし、季節になると山葡萄とか秋には柿が庭で取れる、そんなレベル。自動車の本道脇は全部あぜ道で、そこいらに広がる畑やら田んぼのど真ん中に俺んちはある。結構庭も広くて、縁側は日の光が良い感じに差し込んできて、春先とかは最高に気持ちが良い。暖かくなるとおばあちゃんがそこに座って、いっつも茶菓子やら煮干しを、お茶と一緒に食べるのがデフォだった。そいで、いつから来だしたのか分からないのだけれど、庭によく猫がやってきてた。 1匹とかじゃなく何種類も。ブチだったり三毛だったり。おばあちゃんが日向ぼっこをしている時に餌をやってんの。そんな風景を俺は当たり前だと思っていたし、家族も猫を追っ払うでもなく、かといって飼い猫みたいに首輪をつける事も無く、何となく『トラ』だの『ブッチさん』だの名前をつけては、それを眺めてた。高校を出た俺は頭も良くなかったし、地元の食品会社に勤めることになった。家から車でホント5~6分の距離で、職場環境も良かった。うちの職場では、鰹節の粉カスみたいなのが毎日沢山出る。ある日、俺がその粉カスを持って帰ると、おばあちゃんがめちゃ喜んで、「猫は鰹節がすきやからなぁ、きっと喜ぶわぁ」って、その鰹粉を受け取った。次の日から、小さな陶器の器におばあちゃんが鰹粉を入れて、猫たちにやるようになった。気がつけばおばあちゃんはもう80を過ぎていて、昔は自転車に乗って買い物をしにいったり、老人会の集いみたいなのに出かけていたのに、いつのまにかそれをしなくなっていた。毎日顔を合せているから分からなかったが、よく見れば頬は扱け、手には血管が浮いていた。それでもおばあちゃんは、毎日猫たちに餌をやり続けた。おばあちゃんが疲れて布団から出てこないときは、俺や母が餌をやった。一昨年の夏、俺が職場のゴミ出しに外へ出ると、おばちゃんが『クロ』と呼んでいた猫がゴミ置き場にいた。地面に寝転がるのが本当に好きで、よく餌を食べる、なんだかだらしのない印象の猫だった。いつも面倒くさそうな顔をしていたけれど、どこか憎めない奴だ。俺は心の中で、『ああ、この生ゴミの臭いに釣られたな』と思い、少しニヤついた。いつも家で見ているクロを職場で見るのは、何だか新鮮で少し嬉しかったのだ。クロは俺を見据えたままトコトコこっちへやってきて、ゴミ袋を持った俺の1メートル手前で、背筋を伸ばしビシッと座った。いつもだったら、足元に擦り寄ってきて餌をおねだりをするクロが、まるで敬礼しているみたいに前足や耳をピンと張らせ、自分を見ている。そんなクロを今までに見た事が無かった。鳴きもせず喉を鳴らす事もせず、只ひたすらに彼は俺の目を見つめたのだ。彼が伝えようとした意味は、そんなに難しい事じゃなかった。受け入れたくない類の、けどいつかはやって来る事だった。大人になって初めて泣いた。ゴム手袋をはずして目頭を押さえても涙はどんどん出てきて、嗚咽みたいな声としゃっくりが止まらなかった。滲んだ視界にクロがぼやけて映って、それでもまだちゃんと俺に何かを伝えようとしてくれていた。「わがっだ、わがっだがら」俺はぐしぐし言いながらクロにそう言った。胸が締め付けられて息が出来ない。置物みたいに動かないクロの顔は凛としているのにも関わらず、何故だかすごく無理をしているみたいで、俺はそれがたまらなく悲しい事のように感じた。ゴミ捨て場で泣いている俺を上司が見つけて、それでも涙が止まらない俺は「すいません、すいません」としか言えなかった。上司に付き添われながら戻る時、ゴミ捨て場のほうを見ると、クロはもうそこには居なかった。会社に電話が掛かってきて、『祖母が死んだ』という知らせを聞かされたのは、すぐ後のことだった。今でも俺んちは暖かい日に猫が来て、ひなたぼっこをしたり、母に餌をねだったりしている。俺はまだ見た事がないのだけれど、クロが時折背筋を伸ばし縁側を見るのだそうだ。そうした時我が家では、座布団とお茶とお菓子を縁側に置くようにしている。
怖い話を読んでいると霊が寄ってくる?不安な方はこちらがおすすめ
1人が登録しています
感想や考察があればぜひコメントで教えてください ↓コメントする
この話は怖かったですか?
怖かった7
次はこちらの話なんていかがですか
続きを読む
※既読の話はオレンジ色の下線が灰色に変わります
Switch売れ筋
スーパー マリオパーティ ジャンボリー - Switch
ゼノブレイドクロス ディフィニティブエディション -Switch
大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL - Switch
ドンキーコング リターンズ HD - Switch
Pikmin 4(ピクミン 4) -Switch
世界のアソビ大全51-Switch
前の話:【じわ怖】肉
次の話:【じわ怖】呪いは存在する
怖い話 No.18962
【じわ怖】2人の少女
朗読 オカルトヒトリ 怖い話 都市伝説 未解決事件
1285
36
長編12分
怖い話 No.19214
【じわ怖】女性の綺麗な足
1120
40
短編2分
怖い話 No.4487
【じわ怖】もう一人の彼
1449
42
中編3分
怖い話 No.5000
【じわ怖】土地に呼ばれる
1265
22
2
短編1分
怖い話 No.5468
【じわ怖】美術館ですばらしい絵に巡りあった
1115
28
怖い話 No.11830
【じわ怖】家主が海外出張とかで空きになってる一戸建ての賃貸
1112
41
怖い話 No.12293
【じわ怖】名も無い人
1301
38
中編4分
怖い話 No.11934
【じわ怖】部屋に空き巣が入った
1548
32
怖い話 No.5568
【じわ怖】骨相
2069
39
怖い話 No.21972
【じわ怖】友達からの葉書
朗読 OCCULT HITORI 怪談朗読ラジオ オカルトヒトリ
2230
長編20分
心霊サイト運営者
全国心霊マップ
ghostmap
プロフィール
Twitter
新着じわ怖
S奈のお父さん
カーナビの示した位置
ベランダに女の影
国産うなぎ
マンションの屋上
占い師
窓に立つ男
幽霊の正体
自殺頭痛
友達からの葉書
医学は万能じゃない
嫁の日記を読んだ
新着コメント
熟女体験談逆周り
電気つけずに台所でバナナ食ってた
卒業式後の日曜日
苦労を支えあった義母との思い出
冒険生活送ってた
ジョージアの謎
コンビニの外にいた男
牙