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一喝
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自分は本が好きで、古本屋巡りをよくする。絶版の本を探したりもするが、基本、貧乏人なので安く買って、読み終わったら売るパターンが多い。掘り出し物は一期一会なので、古本市にもよく行く。これは地下街の催し物コーナーに来た、古本市でのこと。仕事帰りに、切らしてるものを買いに地下街に下りた。ちょっとした広場になっている催し物コーナーに、古本市が来ていた。複数の個人経営の古書店の共催らしく、売り場は本棚が迷路のように入り組み、年代物の古書…と言うより、骨董見たいな感じの本が多かった。 全集のばら売りを数冊買って、面白そうな本を探してぶらぶらしていたら、戦時中コーナーみたいな所に入り込んだ。軍隊の教練書、軍隊手帳、士官用の部下の指導書などの茶色く変色した本や、写真集、当時の戦意高揚記事の載った雑誌などが積んであった。ミリヲタではないんだが、ちょっと興味が涌いたので軍隊手帳を手に取ってみた。ぱらぱらめくると軍規が書いてあったりして、ふーんと思っていたら、いきなり誰かに怒鳴られたような気がした。立ち読み禁止で、店番の人に怒られたのかと思ったが、周囲には自分の他は、数人の年配客しか居なかった。気のせいかと思って手帳に目を戻し、元の持ち主の安否が気になるなぁとか思っていると、『女子供が見るもんじゃない!』と、さらに怒鳴られた…気がした。自分は霊感とかないんだが、これはもしかして英霊の方ですか?と思い、女子供がこんなん読んですんません、と心の中で謝って売り場を出た。軍隊は男の世界だから排除されたのか、軍隊みたいな辛い事は女子供が見なくていい…見せたくないから怒られたのか。霊感のない自分にも聞こえるような、渾身の叫びで一喝されたのかと思うと、真意はわからなかったが、イタズラを見つかったような気まずさと悲しみを感じた。立ち読みして怒られたのは、それが初体験だったりもする。
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