怖い話登録数18393話
恐怖感アップダークモード
(0件)
▼コンテンツには広告が含まれています
✕
時を隔てて
お気に入り
1068
13
0
長編5分
コピー
「時を隔てて」の朗読動画を探しています。YouTubeでこの話の朗読動画を見つけたらぜひ投稿していってください。
※YouTubeのURL必須
開始時間
00時間00分00秒
投稿する
今までの書き込みを読んでて、 ちょっと思い出した話がある。 霊媒体質の人には、 意識が入れ替わることがあるけど、 これは意識がタイムスリップして入れ替わったとしか思えない話。 数年前、 ある人に連れられて飲みに行ったら、 そこのホステスさんが霊媒体質だということだった。 お決まりの幽霊話かなと思っていたが、 ちょっと違っていた。 きっかけは忘れたが、 店の中で突然憑依されたらしい。 その女性がまるで男のような話し方に変わり、 言葉遣いも変になった。 まるで昔の武士みたいな話し方。 たまたま客も居ないし、 また例のやつが始まったかと、 他のホステスも放ったらかしにしていたが、 次第に様子がおかしくなっていく。 店の中をノシノシと歩き回り、 もの珍しそうに見て回っては、 「これはなんだ?」 と強い訛りのある言葉で尋ねたそうだ。 (なんとか意味は伝わったらしい) ウイスキーのボトルを見ては、 「これはなんだ?」 ウイスキーと答えると、 「ういすきー?それはなんだ?」 という具合。 例しに飲ませてみると、 始めて飲んだように思わず顔をしかめる。 特に天井のシャンデリアを 物珍しそうに眺めていたそうだ。 電気を知らないらしい。 しかも、天井から吊す照明器具は見たことがないみたい。 (昔は行燈だったからね) そのうち、 「ここはどこだ?」 と尋ねる始末。 ようやく自分が別世界に来たことに気づいたらしい。 「わしは帰る」 と行って店を出ようとするし、 店から出たら出たで今度は、 外の様子が近代的な建物ばかりだから、 茫然自失となる。 半分パニックになりかけていたのを、 他の人がなだめすかすのに苦労したそうだ。 一方、ホステスさんの意識は、 突然めまいに襲われたかと思うと、 辺りが白い霧に包まれている。 怖くなって走り回っていると突然、 視界の一部に霧が薄くなっている所が見えた。 そこへ行くと、 今まで居た店とは違う外の景色。 それも遠くに川が流れ、 馬小屋みたいな建物、 地面は雑草が生い茂っている。 そのうち、 誰かがそばを通り過ぎようとしていることに気づいた。 助けを求めて追いすがると、 それは馬に乗った武士だったそうだ。 (武士というのは、ホステスの証言に基ずく) 彼女は正面に走り込み、 必死に助けてくださいと懇願したが、 その武士は彼女の存在に全く気づかず、 馬の歩みを進めていく。 どうやら彼女は、 意識体だけで存在しているようだ。 孤独と恐怖に襲われた彼女は、 その場にうずくまり、 ただ泣き叫ぶだけだった。 再び現代の店の中。 落ち着きを取り戻した『男』は、 ようやく自分の素性を話し出したそうだ。 彼は馬子、つまり馬の世話係で、 突然意識を失い、 気が付くとここにいたという話である。 その様子を見て、 最初はホステスのイタズラだと思っていた同僚達も、 次第にそれが、本当に別人の意識が入り込んでしまったのだ、 と考え始めたそうだ。 これはヤバイことになった。 そうは思っても同僚達にはどうしようもない。 とりあえず『男』に酒(日本酒)を与え、 眠らせることに成功した。 その時点では同僚達も気が動転して、 その『男』が過去の人物だとは考え及ばなかったそうだ。 「どうする?救急車呼ぼうか?」 「いや。もう少し様子を見てからにしようか」 そんな会話をしてから一時間ほどして、 今度は『彼女』が目覚めた。 彼女は自分が元の世界に戻ったことで安堵し、 そしてまた泣きじゃくる。 同僚達もホッとしたが、 一体なにが起こったのか混乱するばかり。 ああでもない、こうでもない。 結論のでないまま、 時を過ごすことになったそうだ。 ・・・と、ここまでは私が当事者達から聞いた話。 (実際は、こんなに理路整然と話した訳じゃない。 話があちこち錯綜して、とりまとめるのが大変だったけどね) そこで、私は彼女たちを前にこう結論づけた。 「もしかしたら、 あなたは過去にタイムスリップしたんじゃないのかい? 原因は分からないけど、 過去の馬子と、あなたの意識が入れ替わった。 馬子の意識は、あなたの肉体に入ったけど、 あなたの意識は馬子には入らなかった。 でも、それで良かったかもしれない。 もし入ってたら、こうして元に戻れたかどうか分からない。 時を超えて霊媒現象が起きるなんて始めて聞くけど、 可能性はある。 現在と過去で生じた出来事を付き合わせてみると、 馬子が電気も知らない昔の人であることは確かだし。 あなた達が作り話をしているとは思えない。 現実に起こった出来事だろうね。 問題は、馬子がどの時代の人か? 現代人と一応の会話が出来るというんだから、 そんな昔の人ではないだろう。 精々幕末から明治初期って所じゃないかな?」 私はこれ以上、 納得のいく説明する言葉を持たなかった。 別に『ラストサムライ』に引っかけた作り話じゃないよ。 ちなみに、現代を訪れた『その男』が、 再び過去の肉体に戻れたかどうかは一切不明。 ホステスは、もうあんな体験は嫌だとブルっていた。 幽霊を見るより恐ろしい体験だったようだ。 今自分の文章を読み返してみると、 状況が掴みにくい書き方をしてしまった。スマン。 当時の支離滅裂な証言が後遺症になって、 私の文章にまで反映されたようだ。 要は、現代の人間と、 150年?隔てた過去の人間の意識が、 交代してしまったらしいというお話。 過去に行ったホステスの意識は、 相手の男の肉体に行く前に自意識が目覚め、 途中で立ち止まったんじゃないかと推測する。 それが、霧に包まれた通路だったり、 武士にも見えない霊体となっていたんだろう。 現代に帰る過程はついに聞き出せなかった。 分からないと言うのだから仕方がない。 見知らぬ異空間でパニクってる時に、 そんないちいち状況把握など出来ないからね。 しかし、支離滅裂な証言ながら、 時を隔てた他人との意識交代だというのは、 当時の私にも直観的に分かった。
怖い話を読んでいると霊が寄ってくる?不安な方はこちらがおすすめ
感想や考察があればぜひコメントで教えてください ↓コメントする
この話は怖かったですか?
怖かった13
次はこちらの話なんていかがですか
続きを読む
※既読の話はオレンジ色の下線が灰色に変わります
Amazon無料でスグに読める本
感情に寄り添う支援の技術 : 感情の「移動」を支えるまなざしと構造
【フルカラー】茉莉花ちゃんの好感度はぶっ壊れている(1) (トライゾン)
松本透はゴリラ妻とプリティ娘とツンデレ息子を愛しすぎてる 1巻
【フルカラー】茉莉花ちゃんの好感度はぶっ壊れている(2) (トライゾン)
山小屋あひるのぴーちゃんの話: ヨコ
診える医師(1) (コミックゲンま!)
前の話:【ほん怖】夏のエレベーター
次の話:【ほん怖】巨大な柳の木
怖い話 No.10918
【ほん怖】パリの写真屋で証明写真を撮った
1023
38
短編1分
怖い話 No.21674
【ほん怖】B子の体験談
1384
33
短編2分
怖い話 No.11679
【ほん怖】祖父は位の高い僧だった
2056
20
怖い話 No.20037
【ほん怖】3歳くらいの女の子と遊ぶ光景
1173
54
怖い話 No.21636
【ほん怖】車で信号待ち
1055
24
怖い話 No.10578
【ほん怖】とある山で林間学校があった
2011
35
怖い話 No.11247
【ほん怖】乗客の誰も関心を示さない空席
1289
36
怖い話 No.11093
【ほん怖】アジの夜釣り
1147
47
1
怖い話 No.11533
【ほん怖】岩場登り
1349
58
怖い話 No.3909
【ほん怖】決別
2170
22
心霊サイト運営者
全国心霊マップ
ghostmap
プロフィール
Twitter
新着ほん怖
でっかいカエル
古びたフランス人形
信号待ち
家への電話
ヘアピンが落ちてる
友達の家に電話
笑い声
缶けり
義理の姉
サンタとトナカイ
極限状態の意識
白黒おじいさん
新着コメント
警察呼びますから!
あの山ば通る糞ガキどもば呪い殺してやる
赤目
山小屋の風呂
母が精神の方で入院するかもしれない
狩られる6人
精神科医の伯父