怖い話登録数18393話
恐怖感アップダークモード
(0件)
▼コンテンツには広告が含まれています
✕
ケバイ幽霊
お気に入り
1415
25
1
0
長編7分
コピー
「ケバイ幽霊」の朗読動画を探しています。YouTubeでこの話の朗読動画を見つけたらぜひ投稿していってください。
※YouTubeのURL必須
開始時間
00時間00分00秒
投稿する
仕事場から自宅まで車で一時間半。途中ショートカットで山道を通れば20分早く帰宅できるので、毎日そのルートで帰っていたが、今はその道は通らないようにしている。三ヶ月ぐらい前、深夜1時ごろ。帰宅を急ぎその山道を走っていた時だ。ふいにチリーンと鈴の音がした。「ああ、キーホルダーの鈴かぁ」何気にそう思って気がついた。私のキーホルダーには鈴はない。車のキーは単独であるので、ほかのキーと擦り合って音がでることもない。それでもチリンチリーンと音が続くので、神経をとがらせて音をたどると、誰も乗っていない助手席あたりから聞こえているようだ。 「音がでるようなもん、なんかのっけてたっけ?」そう考えてるうち、急に車内が酒臭くなった。日本酒を飲んで酔っ払ったオヤジが発する、あのくっさーい匂いだ。私は下戸なので、酔っ払いの匂いがとにかく苦手なのだ。「うっ…くっさ…」と思わずつぶやいたら、だれもいないはずの助手席から、なんと衣擦れの音とともに豪快なゲップが聞こえた。目のすみに、助手席に座る陰のような輪郭が見える。横を見ないように、ただひたすら前だけ見て山道をつっきって、国道にでたところのすぐにあるコンビニに飛び込んだ。30分ほど立ち読みして時間をつぶし気分をおちつかせ、車の中の嫌な気配が消えたことを確認して、缶コーヒーを買って無事に帰宅した。それから一週間ほどたった頃、また仕事で遅くなった。ずっとあの山道は避けていたのだが、ぼーっとしてて気がつくと、山道に向かう道を走ってた。「うわっやっべー」と思ったが、引き返すのもめんどくさいし、そう何度も立て続けに怖い思いもしないだろうと、たかをくくって山道を通ることにした。ゲップがもし聞こえても聞こえないように、音楽をがんがんにかけた。鼻歌歌いながら山道を走っていて、ふとサイドミラーを見た。サイドミラーの内側の端っこから、そろりそろりとなにかがスライドしてくる。「ん?」とチラチラ見てたら、ケバイ化粧した女の顔がどアップで出てきた。「なーんだ、私の顔じゃん♪」瞬間安心したが、いや、まて。サイドミラーに運転してる自分の顔なんて写るわけない。もう一度サイドミラーを見直してみる。やっぱりケバイ化粧の女の顔が写ってて、こっち見てる。よく見れば全然別人。別人というより私より美人じゃん。いやまてまて。問題はそういうことじゃなくて、なんで走る車のサイドミラーに、人の顔が大写しで写ってんの?一通り混乱した後、恐怖がどわっと押し寄せた。またあのコンビニに飛び込んだ。「またですか?」っていわれた。絶対もう二度と通らん!と決意しなおし、缶コーヒーを買って帰宅した。そして一昨日。あれだけ気をつけてたのに、またも山道へ車を向けてしまった。ぼーっと走ってると、ついつい今までの習慣に従ってその道を選んでしまうらしい。賢明な人間なら引き返すのだろうが、能天気のうえにずぼらな私は、引き返すのがめんどくさい。人並みの恐怖心は持ち合わせているので、一応迷ってみた。出た結論は、私だけを狙ってるわけもないだろーと、そのまま突破することに。でもやっぱり狙われていたのかもしれない。さすがに二度も怖い思いをしたので、腰のあたりがぞわぞわする。びくびくしてたのが、余計呼び寄せるきっかけになったのかもしれない。突然、ゴトンとなにかに乗り上げたような衝撃がした。注意深く運転していたはずだ(サイドミラーは見てないが)。道に何も落ちてはいなかった。でも、もし見落として、人なんかを轢いちゃってたとしたら?そう思って確認することにした。見たところで何もないという、怖い予感はしてた。でも万が一のことを考え、意を決してこわごわ車から降り、周囲を確認する。やっぱりなにもない。あんまり考え込まないようにして、再び車を走らせた。車を走らせてるうちは無事なんだ、おばけなんかに捕まんないぜ…そう自分に言い聞かせた。私の心の中を読んだのだろうか。敵は思わぬ攻撃をしかけてきたのだ。金縛り攻撃。きゅーんっと体の自由を奪われていくあの感覚に襲われ、ものすごくあせった。「私起きてるよな?な?寝てんの?もしかして居眠り?」車を止めようか迷ってる時、背後から嫌な気配がしてきた。肩からハンドルを握っている腕に沿って、白いものが伸びてきた。細い女の手だった。幽霊の手は当然冷たいんだろうと今まで想像していたが、全然冷たくなかった。私の腕の上に白い腕が乗っかって、手首を掴んでいるわけだが、冷たいどころか、捕まれている感触も重みも何も感じない。ただ見えてるだけ。きゅんきゅんと金縛りは強くなってきて、ハンドルを切るにも脂汗がでるような状態だったが、冷たくもなんともない、ただ見えてるだけの邪魔な腕に、瞬間的にぶち切れた。同時に金縛りも解除。思いつく限りの罵詈雑言を腕に浴びせ、怒鳴る勢いで車を走らせ、またあのコンビニへ飛び込んだ。店員がこっちを向くなり、「ひっ」と抜けた悲鳴をあげ凍りつく。「うぞっっ!?」と思い自分の肩を見た。振り切ったと思ってた白い手が、ブラーンと肩から垂れ下がっている。「ついてきちゃった…どーしよ…」しかし、混乱する頭より早く、極度の緊張を生き延びてきた自分の体が勝手に、しかも、本来の自分では考えられないほど俊敏に行動を起した。私は颯爽とドアを開けて店の外に出ると、肩に張り付いている白い手をむんずと掴み、そのまま背負い投げ(っていうのか?)をかました。無我夢中。背負い投げ(もどきかもしれん)なんて生まれてはじめてだ。が、いままでなんの感触もなかった白い手だったのに、投げる瞬間に掴んだ腕のぶよっとした感触、背中にかかる人としか思えん体重を感じてしまい、その気持ち悪さと、緊張の糸が切れて、その場に座り込んでしまった。店員がおそるおそる出てきて、声をかけてくれる。「あの…だいじょうぶですか?」「あぅあぅ…なんとか…ええ…ってよりさぁ!顔見た?」「見ちゃいましたあああああああああああ(泣」「ケバかった?」「あいあい!あい!!(大泣」「私とどっちがケバかった?」「あああ…あ…あ(汗、大汗」サイドミラーに写ってたあの女に間違いないと、確信した次第である。もう二度とあの道は通らないとは思うが、なぜに三度も襲われたのか謎である。ざっと調べてみたが、あの付近で死亡事故やら殺人事件やら、幽霊の発生源になるような件は見当たらなかった。人知れず、あのケバイ女はあの山付近に埋められているのだろうか。ケバイつながりで、私についてきてしまったのだろうか。そしてあいつは、投げ飛ばされたコンビニの駐車場に今もいるのだろうか。あのコンビニにも二度と行かないつもりではある。
怖い話を読んでいると霊が寄ってくる?不安な方はこちらがおすすめ
1人が登録しています
感想や考察があればぜひコメントで教えてください ↓コメントする
この話は怖かったですか?
怖かった25
次はこちらの話なんていかがですか
続きを読む
※既読の話はオレンジ色の下線が灰色に変わります
Amazon無料でスグに読める本
美味しいご飯が食べたくなる漫画⑦: おばあちゃん編 美味しいご飯が食べたくなる漫画【にしみつ】
追放された元雑用係、規格外の技術で「最高の修繕師」と呼ばれるようになりました~SSSランクパーティーや王族からの依頼が止まりません~2巻 (グラストCOMICS)
勇者パーティから追い出された不遇職【罠士】、ユニークスキル【矢印】で最強になる【電子単行本版】1 (comic スピラ)
スキル【再生】と【破壊】から始まる最強冒険者ライフ~ごみ拾いと追放されたけど規格外の力で成り上がる! ~2巻 (グラストCOMICS)
解雇された宮廷錬金術師は辺境で大農園を作り上げる~祖国を追い出されたけど、最強領地でスローライフを謳歌する~2巻 (グラストCOMICS)
解雇された宮廷錬金術師は辺境で大農園を作り上げる~祖国を追い出されたけど、最強領地でスローライフを謳歌する~1巻 (グラストCOMICS)
前の話:【じわ怖】ノブ回し女
次の話:【じわ怖】見知らぬ女
怖い話 No.15556
【じわ怖】トイレの蓋
1809
15
短編2分
怖い話 No.12984
【じわ怖】霧中の運転
1104
28
怖い話 No.11892
【じわ怖】バス旅行の出発前
786
38
短編1分
怖い話 No.12951
【じわ怖】踏み板を取り外す橋
1053
39
怖い話 No.5042
【じわ怖】酷い遊びをしていた
1151
42
怖い話 No.4073
【じわ怖】病院の事務
1366
44
怖い話 No.3980
【じわ怖】保母さんが妊娠
1807
怖い話 No.4223
【じわ怖】岩場にドア
2123
41
中編4分
怖い話 No.12524
【じわ怖】黄色いクチバシ
1074
20
怖い話 No.5186
【じわ怖】彼は警備会社でバイトをしていた
1523
29
心霊サイト運営者
全国心霊マップ
ghostmap
プロフィール
Twitter
新着じわ怖
S奈のお父さん
カーナビの示した位置
ベランダに女の影
国産うなぎ
マンションの屋上
占い師
窓に立つ男
幽霊の正体
自殺頭痛
友達からの葉書
医学は万能じゃない
嫁の日記を読んだ
新着コメント
熟女体験談逆周り
電気つけずに台所でバナナ食ってた
卒業式後の日曜日
苦労を支えあった義母との思い出
冒険生活送ってた
ジョージアの謎
コンビニの外にいた男
牙