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おみやげ
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祖母が3才くらいの母をおぶって、昔お世話になった先生に久しぶりの挨拶に出かけた時のこと。先生のお宅は山道をずいぶんと登ったところにあり、道中は静かで、虫の声と鳥の鳴き声、木々のざわめきが聴こえるばかり。半分ほど進んだところでしょうか、背中の母がぐずり始めます。もうすぐ着くからとなだめますが、機嫌は悪くなるばかり。 とうとう泣きだし、涙ながらに同じ事を繰り返しているようです。「足、ひっぱらんと。足、ひっぱらんとよ」振り返っても、勿論誰もいるはずがありません。「誰も引っ張りよらんけん」となだめつつ、やっと先生の家に到着。玄関で先生が出迎えてくれた時には母の泣き声は最高潮。申し訳なく思い、おみやげを差し出しながら、祖母は先生に事の顛末を話します。それを聞くと、先生は笑いながら、「これが欲しくてついて来たんでしょう。あげるから、大人しく帰んなさい」と言いつつ、おみやげの一つを、ぽーんと祖母の背後の藪の中へ投げ込みました。すると、母はぴたりと泣き止んだそうです。祖母が怪訝な顔をしていると、先生は、「河童ですよ。天麩羅が大好物ですから」と、くすくす笑っていたそうです。その日の祖母のおみやげは、大量のサツマイモの天麩羅でした。母はこの話が出ると不機嫌になります。河童に足を引っ張られた過去は、なぜかプライドが傷つくようです。
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