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駐車場のトイレ
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以前、友人たちとドライブに行った時の話。 友人Aからドライブの誘いがありました。 なんでも、 彼女とのデートの下調べをしたいので隣県まで行くんだけど、 一人で行くのもなんだし、 久々に皆で集まって一緒に行かないか?と。 ということで、 高校時代からの友人A、B(男)、C子、D子、私の五人で、 夏の暑い日にドライブに行きました。 一通りデート予定の観光地を周り、 三時過ぎに最終予定のとある山に行くことに。 A曰く、見晴らしの良い山頂で夕日を眺め、 いい雰囲気でデートをシメてその後・・・な予定だとか。 蛇行する道をひたすら走ってくと駐車場があり、 私たちはそこに車を停め、 徒歩で山頂に向かいました。 駐車場から山頂までは歩いて10分くらいだったかな。 運悪く、 駐車場に差し掛かった頃に天候が悪くなりだし、 山頂に着いた時には霧雨が降ってきて、 他の観光客はみな帰り始めてました。 せっかく来たんだし、 Aはシメのシチュエーションを練りたいし・・・ で、とりあえず散策することにしたものの、 山頂はちょっとした広場と小さな展望台しかありません。 あ、ハイキングコースみたいのがあったけど、 天候が悪いし道も滑って危ないだろうから入りませんでした。 雨も本降りになってきて、とにかく寒い。 外出時は暑かったのでみな薄着、 なので羽織るものがない。 私はC子・D子と東屋でずっと寄り添ってましたが、 C子は顔色が悪く辛そうでした。 そんなんで、 散策を楽しむところではなくなったので 帰ることになったのです。 駐車場はAの車だけがポツンと停まってて、 とても寂しい雰囲気でした。 みんな冷えたせいか トイレに行きたかったようで、 まず男性陣が先に済ませ、 交代で私・C子・D子が行きました。 駐車場の端っこに小さな道があり、 その道を3メートルほど行くと公衆トイレです。 古い公衆トイレで個室はボットン。 そして壁面が横と後ろにしかなく、 正面からは丸見えな構造。 すみません、説明下手ですね。 図にするとこういうこういったトイレです。 駐車場のトイレ 駐車場から少し離れたところにそのトイレはありました。 周りは木に囲まれて鬱蒼としてて気味悪く感じましたが、 もう我慢も限界だったので、 意を決して使わせてもらうことにしたのです。 三個ある個室を左から開けて状態を確認し、 私は右端のを、D子は中央のを使用することに。 ふとC子を見ると、 トイレから少し離れたところにおり、 「ちょっと立ちくらみがする。 ここで待ってるから先に済ましちゃって」 と言われたので、 さっさと用を足しC子の元へ。 C子は顔が真っ青になって震えています。 私は冷えたから風邪引いちゃったかな? と思ってました。 しかしC子も限界だったようで、 「私がトイレに入ってる間に置いてったりしないでね!」 と強く念を押され、個室から 「いる?ちゃんと待っててね!」 と何回も声がかけられました。 C子、たまに視てしまう人のようで、 絶対に心霊スポット巡りや肝試しに行ったりしません。 そしてやたら勘がいい。 たまにというのは、波長が合ったり、 体調の良し悪しで視たり視なかったりするらしい。 でも自分では何もできないので、 見なかった振り、気がつかない振りしてやり過ごすそうです。 そんなC子が随分怖がっていたので、 山頂で何か視ちゃったのか?んじゃ安心させなきゃね、と、 C子が使用してる個室の前に立って、 『踊るポンポコリン』をD子と大声で歌いました。 C子も笑いながら一緒に歌ってた。 そうこうしてトイレを済ませ、 五時半ごろ帰途についたのですが、 車中C子は具合が悪そうでした。 しかし、 隣県を出た辺りから体調が良くなり始め、 地元のファミレスに入る頃にはだいぶ回復してたそうです。 夜ご飯を食べ終え、 ドリンクを飲みながらわいわい話をしてたのですが、 C子がポツリポツリと具合が悪くなった理由を話し始めました。 駐車場に到着したあたりから なんとなく嫌な感じがしていたんだけど、 自分以外そういうのは視ない人たちだから、 ムダに怖がらせたり、 トラブルになりそうなことは言うのを控えてたそうです。 山頂に着いたら天候が悪くなって、 雨に打たれて寒くて仕方ない。 体調も悪くなってきて、 早く帰りたかったそうな。 そしてトイレに行って、 先ほどから感じてた嫌な感じの原因がわかった、 と言ってました。 トイレの前に、 2メートル以上の黒い人影のようなものがいたらしい。 顔にあたる部分には白いお面のようなものがあり、 イメージ的にはカオナシみたいな感じ。 その白いお面には黒い色で、 おちょなさんの口のような()みたいな模様?があった。 物凄い嫌な感じがし、C子は 「これはとてつもなくよくないもの、嫌なものだ」 と本能的に感じたそうです。 そいつは個室を確認して回る私とD子に近づき、 D子の背後にぴったりと貼りついて 一緒に個室に入ってしまいました。 そして、済ませて出てきたD子の後ろににやはりいる。 自分も用を足し個室を出てみると、 待ってるD子の後ろに相変わらずくっついてる。 どうしていいかわからないし、 とにかく怖くて仕方がない。 気づいてない振りしてやり過ごすしかないと、 C子は考えました。 駐車場に戻って車に乗ってもそれはついて来て、 後部座席の真ん中に座ったD子に覆い被さる様にしてたそうです。 こいつがついて来たせいで、 帰りに何らかの事故に巻き込まれたりするんじゃないだろうかと、 不安で一杯だったC子。 体調の悪さもあってか、 無事に帰えることだけを心の中で祈ってました。 そして、地元に帰ったら、 まずみんなを説得してお寺か神社に連れて行こうとも。 隣県を出たあたりで嫌な気配が消えたのでD子をみると、 例の黒いのがいなくなっていました。 具合も若干良くなった感じ、 地元に着く頃には回復してたので、 黒いのから逃げられたと確信したんだそうです。 あの黒いのはなんなのか、 なぜD子に貼りついてたのか、 なぜ私達について来たのか、 なぜ隣県を越えたら消えてたのか、 それは自分もわからない。 県内しか移動できないのかも。 それか、もしかしたらだけど、 自分の存在に気づいて怯えたり錯乱する人たちのほうがよかったのかもしれない。 帰りの車中、 エロ話で盛り上がるA、B、D子、 大口開けてアホ面で爆睡する私。 そんな様子見て興味を失ったんじゃないかな? なんにせよ、 もういないんだから知る必要も無いしね。 だけどA、 デートコースからあそこは外したほうがいいよ。 あと、D子はしばらくあの山に行かないほうがいいと思う。 と、C子は話しをまとめました。 私たちは唖然。 彼女が嘘言って怖がらせようとした可能性も考えましたが、 嘘ならもっと怖がらせる内容にしたりすると思うんですよ。 例えば、まだついて来てるよとか、 今もD子の後ろにいるよとか。 顔色も悪く唇も紫色になって震えてた様子は 演技とは思えないですし・・・ そもそも物事を大げさに言ったり嘘をつくような子ではないので、 彼女の言う事を疑ったりおちょくったりはしませんでしたが、 そんなよくないものについて来られてたのが怖いし、 D子はそんなのと個室に入って用を足してしまったことにショックを受けてました。 「どーしよ私、屁こいたからオナラかましちゃったかも・・・」 と。 その後ですが、 ドライブに行ったメンバーにこれといって何も起こったりはしませんでした。 AはC子の忠告通り、 デートコースからあの山を外しデートを楽しんだそうです。 D子は元々アウトドア派ってタイプではないので、 あのドライブ以降は山に行くこともなかったみたいです。 みんなで集まって飲んだりする時に、 黒いのの話になったりしてたのですが、C子は 「何だったのかはわからないし、もう思い出したくない」 と言うので、 山での出来事を話題にすることもなくなりました。 長々とすみません。 途中でいなくなったからよかったものの、 よくわからないのについて来られたのが私にはとても怖かったです。 最後まで読んでくれた人、ありがとうございます。
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