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団地のすぐ脇を流れる小川
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俺が体験した黄昏時の不思議体験をもう一つ。 子供の頃、 俺は美濃地方(先ほど書いた林道の辺り)にある 山の麓の公団団地に住んでいた。 その団地のすぐ脇に、 山に沿って小川が流れていて、 学校では注意されていたが友達なんかとよく遊びに行っていた。 小3位の時期だったが、 夕方その川でたまたま一人で遊んでいると、 男の子がすぐそばにいて、 一緒に遊びたそうにこっちを見ていた。 同じ学年位の男の子で、 全然見かけたことの無い子だったけど、 団地なので引っ越しは比較的多く、 そのときは別に不思議には思わなかった。 子供だからすぐ仲良くなって、 二人で日が暮れるまで夢中で遊んでいたんだけど、 当時流行ってたファミコンとかアニメの話題をしても、 なぜかその子はファミコンの事もアニメの事も知らない様子で、 しきりとゲームの事を俺に質問してきた。 なんでこんなに流行ってるのに、 こいつはファミコン知らないんだろう…と思ったが、 当時まだファミコン持ってる奴は少なかったから、 さして気にはなかったか。 その時、 どういう訳かその子の靴が片方だけ川に流されてしまって、 慌てて俺は川に入って拾いに行ったんだけど、 その子は 「どうしても川に入れない」 と怖がっていた。 その怖がり方がやけに大げさで、 服が汚れるのが嫌なんだと勘違いした俺は、 「自分の靴だろ、一緒に拾いに川に入れよ!」 って意地悪な事を言ってしまったんだけど、 その子はどうしても川に入れず、 岸から悲しそうな顔で俺を見てるだけだった。 その靴が、 当時流行っていた様な靴じゃなくて、 学校の教室で履くような布の靴だったのを鮮明に覚えている。 俺は靴もびしょ濡れだし、 暗くなってきたので、 「そろそろ暗くなったから帰ろうか?」 と俺が言うと、 どうしても 「笹舟を作って流そうよ…」 とその子が言うから、 二人で傍に生えてた笹で笹舟を作って、 二人で川に流して遊んだっけ。 俺は早く帰りたいからさっさと笹舟を作って川に流したけど、 その子は丁寧に何度も何度も作り直して、 あんなに怖がっていた川岸に慎重に歩いて行き、 そっと流れに船を置いて流していた。 今考えると、 あの子は帰るのが嫌そうな雰囲気だった。 しかし俺は、 18時30分から始まるテレビ(トムとジェリーだったかな?)が見たかったから、 船が見えなくなると 「また明日、ここで遊ぼうな!」 と言って家に帰ろうとした。 その子は寂しそうな顔で俺を見ながら笹船を流した。 岸辺にぽつんと立っていた。 翌日、 その川に行ってもその子には逢えなかったし、 周りの友達に聞いても、誰も 「そんな奴は知らないし、 今は転校生もいない」 と言っていた。 それからしばらく経った頃、 懲りずにその川で遊んでいたら、 草むらの陰に 『危ない!ここに入らない!』 と子供が川で溺れている絵看板が折れた状態で倒れており、 傍に花束と小さな箱に入っている飴のお菓子が置いてあるのに気がついた。 その看板があの子と別れた岸辺の辺りにあったのが妙に気になった俺は、 川で遊んでいる事を怒られるのを覚悟で学校の担任に聞いてみた。 すると 「10年位前になるけど、 その川で小学校3年生の男子学童が溺れて亡くなった」 と聞かされた。 そして 「二度とその川で遊んではいけないぞ!」 と厳しく怒られた。 その時の俺は怒られた事よりも、 あの子がその男子学童だろうという事を確信していた。 そして不思議と怖いとは感じずに、 気の毒に…と、子供ながらにそう思った。 先生には怒られたが、 その後も懲りずに川で遊んでいたけれど、 とうとうその子には逢えなかった。 もしかしたら、 ただ偶然親戚のところに遊びに来ていた 違う校区の子供だったかも知れないが、 当時の事を思い出すと、 なぜかそうじゃないという変な確信がある。 なぜかというと、 別れ際にその子が 「これ、あげるよ。また遊ぼうね」 と言って、 何とも寂しそうに笑いながら、 ポケットから珍しい小さなお菓子を俺にくれたからだ。 そのお菓子は、 オブラートに包まれ甘酸っぱい味のオレンジ色をした 小さなボンタン飴だったからだ。 これは俺が黄昏時に体験したもう一つの不思議体験です。 この事を思い出すと、 何ともうら寂しい気持ちになりますね。 昔に住んでいた家の少し離れた場所ですが、 あんな処でもこういう不思議な場所…いや、 もしかしたらこれは場所ではなく、 何かの波長・もしくはメッセージだったのかな?を感じる場所だったのかも?と思います。
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