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怪談の下の男
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俺が高校の頃の話。 秋頃、友人のMが悩みでもあるのか元気がなくなった。 友人連中で相談でも聞いてやろうと思って聞き出したら 「絶対笑うなよ」 と前置きして話し出した。 悩みとはつまるところ 「家に幽霊が出る」ってことだった。 もちろん笑ってしまった。 おまけにMの家に泊まって 幽霊を見に行くという展開に。 Mは笑われたことで気が進まないようだったが、 他の人間が幽霊を確認するってのには賛成だった。 (どうも自分の頭がおかしくなったんじゃないかとか思ってたらしい) Mの体験ってのはこうだった。 俺達が話を聞いた4日前。 家族が寝静まった深夜。 そろそろ寝ようかと思って Mは寝る前にトイレに行った。 用を足し終えてトイレから出てくると 電気のついていた廊下が真っ暗。 トイレの中の電気だけが廊下を照らしている。 廊下の明かりのスイッチをパチパチと切り換えるが反応無し。 「電球が切れたのか」 とMは思った。 仕方がないので 暗い中を手探りで部屋まで帰ることにした。 せめてもの灯りにトイレの電気を付けっぱなしにしておく。 それでも廊下の先は暗かった。 目は慣れてないが 勝手の分かった自分の家なので問題なく階段まで辿り着いた。 後は階段を上ると自分の部屋はすぐそこ。 しかし階段は真っ暗だった。 「2階の廊下の電気もつけとけば良かった…」 Mは後悔した。 諦めてゆっくり階段を上るM。 ギッギッギッ……。 階段を上る足音がやけに大きく聞こえる。 ギッギッギッ……。 さらに上る。 自分の部屋の灯りが見えてきた。 「パッ」 階段を半分上ったところで 突然背後の1階の廊下の電気がついた。 驚いて振り返るM。 階段の一番下に背広姿の男がいた。 父親かと思ったがもっと若い男だった。 くしゃくしゃの短い髪にグレーの背広。 俯いていて顔はよく分からない。 Mは驚きで動けなかった。 そして男はゆっくりと足を上げると 階段を一歩のぼった……。 気がついたらMは 自分の部屋で目を覚ましたらしい。 俺達は夢じゃないのか?と突っ込んだんだけど、 トイレの電気は付けっぱなしだったらしい。 (母親に電気の付けっぱなしを注意されたとのこと) Mはそれ以後、 夢にまでその男を見るという。 あの男が階段の下で 自分の部屋をじっと見ているんじゃないか。 あの男が一段ずつ階段をのぼって 自分の部屋まで来るんじゃないか。 そういう想像まで膨らませていた。 「夜中にトイレなんかとてもじゃないが行かれへん。 学校の階段でも下に人がおったらビクッとしてまうくらいやし」 Mはかなりビビっていた。 俺達はMのその話に盛り上がってしまいノリノリだった。 その週の土曜日にMの家に泊まりに行くことに即決した。 土曜日は雨だった。 しかも台風接近中(笑) それでもM家訪問は決行された。 夕方にM家に集合。 面子は俺とFとN、そしてもちろんM。 夕飯をご馳走になって 深夜までゲームをしたりして時間を潰した。 Mの家族が寝静まると作戦開始。 一人ずつトイレに行って帰って来ることにした。 「奴」が出やすいように 1階の電気は使用不可というルールになった。 くじによる順番決め。 N、F、俺という順番になった。 Mは断固として拒否。 そのMの態度にちょっと怖くなる俺。 どこかでMの話を疑っていた俺だが、 雰囲気でMは嘘はついていないと思った。 Nが行った。 帰ってくる。 「何もでぇへんなぁ」 と笑う。 でもちょっと怖かったに違いない。 やや引きつり気味の顔だった。 次はF。 帰りが遅い… と心配になったころに帰ってきた。 「クソしてた」 とか抜かしやがる。 マイペースなFらしいと言えばらしい。 Mはその間 怖さを紛らわすためか ずっとゲームを続けていた。 我関せず、といった感じだった。 俺の番になった。 暗い廊下に出てトイレを目指す。 階段は少し急なため慎重に降りた。 話の通りギッギッと音がする階段。 階段を下りて右手に曲がりトイレへ。 トイレの電気は付けっぱなしだった。 Fが気を利かせてくれたのか、 ただ単に消さなかったのか。 何にしても灯りがあるとホッとした。 用を足そうと思ったがなかなか出ない。 2階にいるときはあまり気にならなかったが 台風が近いせいか雨の音が結構大きく聞こえる。 ザーーーーという音。 どこか不安になる音だった。 トイレから出る。 電気はどうしようかと思ったが 後で来て消せばいいと思い、 つけたままにした。 正直ちょっと怖かった。 怖い話が好きな俺は こういうときに妙に想像力が膨らんでしまう。 暗い廊下の先に 背広姿の男が見えるような気までした。 やや早足で階段へ向かう。 はやくMの部屋に戻りたい、と思った。 階段を上る。 雨の音。 暗い上に慣れない急な階段のせいで速くは上れない。 後ろを振り返りたい衝動に駆られたが 本当に男がいたらと思うと振り返れなかった。 やっと半分まで来た。 …Mが言っていた階段の半分。 後ろに人の気配がする…と感じた。 その時、背後の1階の廊下の電気がついた。 「!?」 思わず振り返る。 男がいた。 スーツ姿。 俯いている。 おまけに1階の電気がバチバチと激しく明滅し始めた。 俺は情けないことに一瞬でパニックに陥った。 1階の方を向いたまま階段を上ろうとした。 すると男は四つん這いになると ダダダッと階段を駆け上がって来た。 明滅する灯りの中、 コマ送りで近寄ってくるように見える男。 あっという間に男は迫ってきた。 俺は声も出なかった。 男は俺に顔を寄せるとニヤッと笑って 「ビビったか?」 と言った。 …男は上着だけスーツを着たFだった。 今だから笑えるけど あのときは本当に死ぬかと思った。 Fが男役でNが電気を付ける役。 前もって決めてたらしい。 俺がトイレに行っている間に 1階の奥に移動したんだと。 くじまで細工するという周到ぶり。 MもMで黙認してるし。 俺は安堵でこいつらを怒る気もしなかった(ヘタレ)。 …結局、Mの体験が何だったのかは謎のまま。 その後Mは元気になり、 俺はちょっと元気じゃなくなった。 情けなくて洒落にならない、 思い出したくもない話でした。
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