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線路沿いの廃墟ビル
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自分の怖かった体験を書きます。 俺はもう30歳近いのですが、 11歳から17歳ぐらいまで、 家出しては補導されて、 家に帰るを繰り返しておりました。 切っ掛けや、 どうやって生きていたのかは本筋から外れるので端折らせて頂きます。 この家出中に何度か、 怖い体験と不思議な体験をしたので、 そのうち1つになります。 ハッキリと年齢を思い出せないのですが、 12歳か15歳どちらかの時の話です。 場所は町田駅の線路沿いの廃墟と思われる3階建ぐらいのビルでした。 また読み返したところ、 建物の構造が伝わりにくいために、 補足ですが、階段に面した鉄のドアの先は共用の廊下があり、 そこに各部屋の入り口101とか102とかがあったと思われます。 それまでに俺は何度も補導を経験しており、 その原因は純粋に警察に見つかることよりも、 大人に見つかって通報されることが多かったことから、 夜はひと目につかないようにマンションの駐車場の車の下や、 非常階段などで過ごしていました。 ずっと野宿をしていると、建物のきしむ音や、 ちょっとした遠くの足音でも敏感に目が覚めてしまいます。 また、寒さによって深い眠りに入ることが出来ないために、 運行時間中は電車で寝ていました。 その日は、 経緯をハッキリ覚えていないのですが、 町田駅で降りました。 時間はカナリ遅かったと思います。 夜間の移動は補導される危険性が高いために、 身を落ち着ける場所を探していました。 自然と人気の無い道を目指す習慣があり、 たまたま目に入ったのが線路脇の道沿いにあった 風俗っぽい店の奥の暗い道でした。 マンションの非常階段を探すつもりで、 暗い道へ向かっていると、 風俗店から1本道を挟んだ場所にそのビルはありました。 夜間なのに電灯も一切ついておらず、人気のないビルで、 廃墟だろうと判断した私は今日はここで過ごそうと、 通行人が途切れた瞬間を見計らってそのビルの階段を登りはじめました。 2階部分に鉄製のドアがあり、 開けようとしましたが鍵は開いておらず、 そのまま階段で転がっていました。 何度か浅い眠りを繰り返しておりましたが、その日は寒く、 体を縮めて寝ていると寒さで腰が非常に痛くなってきて 眠るどころではなくなってしまいました。 どうにか、寒さを凌げないかと辺りを見回すと、 壁伝いにベランダに侵入できることに気づきました。 いつの間にか風俗店も明かりが消えており、 人気も全く無かったことから 思い切ってそのベランダへ非常階段から入りました。 普通のマンションのようで、 ベランダの窓から室内を覗くと、 閑散としてはおりましたが、若干ボロい家具があり、 穴だらけではありましたが、 ソファーが目につきました。 幸いにも、ベランダの窓は開いており、 コッソリと中に入り、 人気が無いことだけ確認してソファーに転がりました。 非常に疲れていたために あっという間に眠ってしまいました。 ハッと目が覚めました。 何故目が覚めたのか、 最初は分かりませんでした。 完全な覚醒で、 頭の中はスッキリとしており、 自分の気配を殺して辺りを確認しました。 まだ辺りは暗く、 眠ってから30分から1時間程度だと思いました。 しばらく静かな空気に身を潜めていると、 階段を登る足音が聞こえ始めました。 革靴のような音でコツコツと階段をのぼってきます。 一気に緊張して、 音に耳を済ませて息を殺しました。 そして、ドアをガチャガチャする音が聞こえました。 音の方向的に階段の鉄のドアです。 開けてくるのか不安な気持ちになり、 建物から逃げようか考えていました。 部屋は二階のため、 最悪飛び降りようと考えてジーっとしていました。 (2Fから飛び降りて逃げた経験があります) しばらくガチャガチャしていましたが、 諦めたのか音は消えました。 しかし、 階段を降りる音は聞こえていないために ドアの向こうに相手はまだいるはずです。 どうしようか悩んでいると、 いきなりドアをドンドンドンと強く叩く音が聞こえました。 非常に怖く、 身動きもできずジーっとしていました。 数分間でしょうか、 ドンドンと叩く音がずーっとなっていましたが、 ピタリと止まりました。 するとドアの開く音もしていないのに 共用廊下から足音が聞こえてきました。 そして、自分がいる部屋のドアノブがガチャガチャと動きました。 ビクッーとして、声を出さず、 呼吸音も相手に聞こえないように口を抑えていました。 開かないのが分かったのか、 足音はそのまま通り過ぎ、 そのまま何の音もしなくなりました。 もうベランダの窓を開ける音すら立てるのが嫌でジーっとしていましたが、 そのうち眠くなり再びソファーでうずくまっていました。 その時ベランダの外を見ていたのですが、 上から足がヌッと出てきました。 え?と思って動けないでいると、 足はただ、見えるだけで何も動きがありません。 ただ窓の外、 上の階からスラックスのズボンと革靴が出ています。 もう、よくわからなかったので 思い切って私は共用廊下に面したドアを思いっきり開けて、 鉄のドアを開けて階段をかけおりて逃げました。 その後、どうなったとか、そういう話はありません。 ただ走って逃げて、 コンビニに入って立ち読みしていると、 後は店員に通報されたのか、 巡回のお巡りさんか分かりませんが補導されました。 ただ、足を見たことは今でも忘れられません。
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