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山の中のホテル
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今から10年位前だったかな、 妻と子ども連れて結構遠くの温泉に行ったんだよ。 で、帰り(12時くらいだったか)もう遅いから、 今日は何処かに泊まって次の日に帰る事になったんだよ。 でも、既に山道に入った後で宿どころか家も無くて、 しかも街に出るまでっていったらかなりの時間がかかるし、 子どもも眠いって言い出したから、 近くに泊まるとこないかなーなんて言いながら探してたんだよ。 そしたら山の中にポウッと灯りが見えたんだよ。 俺「あれホテルじゃねえの?」 妻「ホントだ看板が見える!」 その時もう夜の一時過ぎてて、 この際ちょっと位ボロくてもいいだろって思ってたんだ。 でも、看板が近くになってそのボロさ加減に驚いた。 でも一応電気も通ってるし、 ホテルはあるだろと思ったんだが、 看板が指してる方向は真っ暗闇の竹やぶ。 そこに、コンクリートのひかれていない道が 延々と続いてるんだ。 妻「ちょっと怖いよ。やめない?」 俺「でも街まで結構あるし、〇〇を早く寝かせないと」 う~んと妻も渋々いいよと言ったので、 竹やぶを進むことにした 行けども行けども竹やぶに挟まれた真っ暗な悪路が続いて、 一向にホテルが見えない。 俺「これ、ホントにホテルなんてあんのか!?」 妻「ちょっと遠すぎだよね…」 イラツキながら車で進んでると、 『この先、〇〇ホテル』 と書かれた、 入り口にあった看板より 更にボロボロの木の看板が目にとまった。 俺「うっわ!ヤベぇな」 妻「もう帰ろう!」 俺「ここまで来たんだし行ってみようよ」 そう言って進んでるとホテルが見えてきた。 俺・妻「やっと着いた~」 ホテルは意外に大きく、 車庫に車を停めに行くとガレージ式になっており、 車が入る度シャッターが降りる仕組みになっていた。 かなりの数の車庫があり、 その内結構な数のシャッターが降りていた。 俺「あれ、泊まってる人結構いるじゃん」 妻「ホントだ」 俺「部屋あいてるかな?」 妻「大丈夫でしょ結構大きかったし」 で、ホテルに入って行ったんだけど (ホテルじゃなくて旅館って感じだったな)、 受け付けに婆さん一人いるだけなんだよ。 変な旅館だな何て思いながら、 俺「さっさとチェックインして部屋いこうや」 妻「ちょっと待ってて」 そう言って妻がチェックインを済まし、 部屋に着いたんだけど…寒い!! 9月だってのに異常な寒さだった。 俺「さっむいなー山だからかな?」 妻「ホント寒いね〇〇風邪ひくかも」 俺「ちょっと暖房つけてもらってくるわ」 フロントに行くと婆さんがいて、 俺「すみません、寒いんで暖房つけてもらえますか?」 婆さん「ハァ、ハイハイ」 内心この婆さん聞こえてんのか?と思いながら、 念のため「頼みますよ」って言い部屋に戻った。 俺「暖房つけてもらったから」 妻「でも寒いよ」 俺「まだ効いてないんだよ、それらしい音もするし」 子どもはとっくに眠ってて、 早く暖かくなれよと思ってたんだが、 いくらたっても暖かくならない。 寒いし風呂にでも入ろうと風呂にいったんだが、 風呂がまたさらに寒い! しかも水を溜めよとしても冷水しかでず、 「ドウナッてんだよこの旅館」 と半ばキレて部屋に戻ったんだよ。 で、文句言ってやろうとフロントに行く途中で、 あれ?って思ったんだ。 あれだけ車庫のシャッターは降りてて 車は止まってたのに、 他の客とすれ違いもしない。 確かに夜遅いかったのもあるけど、 なんていうか人の気配がしないんだよ。 そう考えてたらだんだんと怖くなってきて、 急いで部屋に戻って妻に 「おい!帰るぞ!」 妻「えっ!?」 俺「いいから!」 急いで子ども抱えて車庫まで走った。 もう金払っててもったいないなとは思ったが、 そんなこと言ってられなかったんだよ。 で、シャッターあけて車で帰ろうとした時、 視線を感じた。 周り見回しても妻と子どもだけしかいない、 車庫は横にズラッと並んでるんだけど、 隣りの車庫との間にしゃがんで覗き込める隙間があった。 ほかの車ちゃんとあんのか?と思い、 下から覗いて見て背筋が凍った。 シャッターは降りても車は一台も停まっておらず、 その奥から婆さんと何人かの人がこっちをじっ…と覗いていた。 目が合った瞬間、妻を急いで車に乗せ逃げかえった。 そして街で高めのホテルに泊まりました。 ほかにも見知らぬ所に迷いこんだ事がありますが、 今日はこのくらいにしておきます。
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