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俺のかあちゃんそんなダサくねぇよ
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チキン能力者の話しを書いた者ですが、 この前端折った廃病院の話しを最後に一つ。 『落ち武者』事件から数週間後、 ウラはかなり周りから気味悪がられていて、クラスでも浮いてしまっていた。 その上『落ち武者』事件を聞いて面白がった先輩グループに絡れ、 廃病院に呼び出されていたのだ。 「行きたくないけど、行かなきゃ虐められる」 と泣いていたウラを見て、俺は本当に申し訳なく思った。 助ける事は出来ないが、 せめて廃病院に一緒に行ってやる事にしたのだ。 罪悪感があるとは言え、そんなに仲よくない奴に、 そこまでしてやるほどいい奴では無かった。 けど『落ち武者』事件の謎が未だに引っ掛かっていた俺とコウジは、 純粋にウラの能力が気になった。 先輩達を含め男女10人程が、廃病院に集まった。 散々病院内を歩かされたが何も出ず、散々嫌みを言われた後、 女性を怖がらせていちゃつきたかったのか、 急に百物語をする事になった。 ここからが大変… 百物語が進むにつれて、ウラの顔色が悪くなって言った。 マズイなと思っていたとき、 「きゃー」 と女の子が突然叫んだ。 振り向くと、無数の手が壁から生えていたのだ。 一瞬で消えたのだが、ソレをきっかけに、 コウジ以外皆散り散りに逃げてしまった。 コウジも逃げたかったんだろうが、 腰を抜かした俺に腕を掴まれ逃げれなかったのだろう。 これじゃあ『落ち武者』の時と一緒だ…と思ったが、 ビビってしまった俺は、謎なんかより、 この病院から逃げ出す事しか考えられ無かった。 コウジと共に窓から逃げようとしたが何故か開かない。 割ろうとしてもガラスが割れない。 しかも、どこからか先輩達の悲鳴が聞こえて来ていた。 パニックになりオロオロしていると、コウジが 「かあちゃん!?かあちゃんがいる!?」 と突然言い出した。 アホだからとうとう幻覚が見えたか、と呆れてコウジを見ると、 本当にコウジの毋(と思われるおばさんが)歩いていた… しかも、そのまま消えてしまった。 もちろんコウジの母は健在。 (合った事は無いが) 「何で!?今の見ただろ?かあちゃん死んだのか?」 隣でコウジがパニクっていたが、俺は逆にコウジ毋のおかげで、 さっきまでの恐怖心はすっかり無くなっていた。 「コウジ。お前のかあちゃんはパンチパーマで、 ピンクのシャツにスーパー笹井の袋もってたよな?」 「はぁ?お前何見てたんだよ。俺のかあちゃんそんなダサくねぇよ」 コウジの言葉で確信した。 コウジはさっき百物語で、かあちゃんの話をしていた。 (百物語の意味を知らなかったから、そしてアホだから) 無数の手も、入ったら出られない廃病院の話も、誰かがしていた。 コレがウラが思い込みで産んだ幻覚なら、 『落ち武者』事件の話も納得がいく。 答えが分れば後は簡単だった。 コウジを落ち着かせて説明し、何とかウラを探し出した。 その間もウラの幻覚達に遭遇したが、 外もまだ明るかったし、落ち着いていればイメージの幻覚は、 不鮮明でCGを見ている感覚になれた。 ウラを見つけたが、パニック状態のウラの思い込みを消すのはむずかしかったため、 俺とコウジは嘘をついた。 「おれのじいちゃん、この病院で死んだんだけど、さっき現れて俺達を助けてくれたんだ」 「ヒロシ(俺)のじいちゃんが、ウラの所まで案内してくれたんだぜ!」 「じいちゃんが今、この病院の呪をねじ伏せてくれている!!」 「今だ!早く逃げるんだ」 と適当な演技でウラを信じ込ませ後は、 簡単に窓から出る事ができた。 後日。 それからウラは、また気味悪がられたり、 虐めに合うのでは?と思っていたが、 逆にここまで来ると大物扱いされ、先輩にも一目置かれていた。 他校の生徒にいたっては、ウラの名は教祖的になっていた。 ウラはと言うと、 「先輩の嫌がらせにつき合ってくれた上に霊から助け出してくれた」 と、俺とコウジに懐いてしまい、 どこに行くにもくっ付いて来る様になった。 その為、俺やコウジは結構でかい顔ができる様になった。 ウラや周りにコノ能力の正体を言わなかったのは、 でかい顔が出来なくなると言うのもあったが、 もっと大きなワケがあった。 その話は長くなるので書くのはやめます、では。
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