怖い話登録数18393話
恐怖感アップダークモード
(0件)
▼コンテンツには広告が含まれています
✕
無念だ・・・
お気に入り
1317
39
0
中編3分
コピー
「無念だ・・・」の朗読動画を探しています。YouTubeでこの話の朗読動画を見つけたらぜひ投稿していってください。
※YouTubeのURL必須
開始時間
00時間00分00秒
投稿する
先日、次男坊と二人で、河原に蕗の薹を摘みに行きました。 まだ少し時期が早かった事もあり、 思うように収穫がないまま 結構な距離を歩く羽目になってしまいました。 視線を常に地べたに置き、 河原を舐めるように見回しながら歩いていると、 突然私の眼に飛び込んで来た物は、 まるで目と鼻の先に毒ヘビでも見つけた様な衝撃がありました。 それは、木の切り株と表現するにはまだ細すぎる、 直径6cmほどの斜め一刀両断にされた若木でした。 その切り口を眼にした瞬間に、 私の意識の中にグイッと差し込んでくる言葉を感じたんです。 『無念だ・・・』 それは言葉というよりも、 想いとか念と言う方が適切だったかもしれません。 『無念だ、無念だ・・・』 それは波紋のようにゆっくりと広がりながら、 しかし広がるごとに大きくザワ立ち、私の思考を無視して、 これは錯覚ではないのだ、という認識を強要されました。 『無念、無念、無念だああ・・・』 どうにも息苦しくなり、動こうとすると「ギュッ」っと 足首を掴まれそうな雰囲気の中、なんとかその場を離れました。 その晩、夢にまでは見なかったものの、 日が変わってからも、『何だ、何なんだ・・・』という 薄らぐ事のない胸のつかえがとれず、私はある決心をしました。 ノコギリを持って昨日の場所へ向かう私の頭の中にはまだ、 あの若木をぶった切ってやろうという、 確固たる決意がある訳ではありませんでした。 ただ昨日以来、あの鋭く尖った切り口を思い出す度、 突き刺されそうな幻覚におびえる自分を払拭する為に、 尖った物に尖った物で対抗しようと、 それぐらいの気持ちだったと思います。 自分が刃物を持っているというだけで随分気持ちが励まされ、 楽だったような気がします。 若木の切り口に向かい立っても昨日のような動揺はなく、 そして、あの渦巻くような念も伝わってはきませんでした。 しかし、何事もないただの若木の切り口にはあらず、 今はただ黙っているのだ、という気配のようなものは感じました。 まずよく観察してみようと、そっと手を添えて、 地面から切り口までの僅かな距離をたどって見ました。 ふと、根本から半分ほどの所から 切り口に向かって質が変わっている事に気付きました。 無機質な手触りとその乾いた表面が、 とても異質にな物に感じました。 その時私は何を感じるでもなく、 無意識に右手に持っていたノコギリをそこにあてがっていたんです。 この若木に私が感じた擬人的なものがあるとすれば、 刃をあてたこの時こそもがく筈でありますが・・・ それどころか、刃を切り込ましていく程に、 まるで痒いところにやっと手が届いたような 爽快感が増してゆくのです。 「これでよし」 枯れかかった部分を切り落とし、 樹液が垂れる新鮮な切り口を見ると、 これといった根拠もなく何となくですが、 満足しその場をたちました。 私はその晩の来客に、その出来事を話してみました。 特に奇妙な話として話題にするつもりもなく、 尖って気になったからワザワザ平らに切りに行ってきましたよ、 という話し具合です。 誰かととりとめのない話題にする事で、 自分の中でも消化して流してしまおうと 思っていたのかもしれませんが。 しかし、そこから意外な展開がありました。 「ああ、じゃあその木は、あんたに救われたかもしれんなあ」 私の親と同世代のその方がそう言うのです。 「え、それはどういう事ですか・・・」 「斜めにザックリ切られたんじゃあ、 もしかしたら枯れたかも知れんもんなあ。 この時期に平らに切り直してやったんなら、新芽が出るかも。 そしたら、あんたに助けられたってえこったよ」 その日の晩御飯の味噌汁の具用の大根に包丁を入れる時、 この大根も声が出せないだけで、 もしかしたら『ギャ~、イタ~イ』と声を出しているのかもと、 そんな事を思いました。
怖い話を読んでいると霊が寄ってくる?不安な方はこちらがおすすめ
感想や考察があればぜひコメントで教えてください ↓コメントする
この話は怖かったですか?
怖かった39
次はこちらの話なんていかがですか
続きを読む
※既読の話はオレンジ色の下線が灰色に変わります
Amazon無料でスグに読める本
お隣さんの騒音がすごい どこかの誰かの体験談マンガ
日本生まれのインド人、メタ・バラッツのスパイスカレーユニバース (インターネットオブスパイス)
転生してから40年。そろそろ、おじさんも恋がしたい。 二度目の人生はハーレムルート!? 1 (アース・スターコミックス)
パラドックスループ-うまくいかない私たち-
まいみ!
嘘つきな彼氏(推し)を懲らしめた話 1 ますまゆまんが!集
前の話:【じわ怖】姿無き訪問者
次の話:【じわ怖】夏みかんの木の神様
怖い話 No.13900
【じわ怖】水とコップ
1099
44
怖い話 No.11948
【じわ怖】ボーイスカウトのキャンプ
1657
36
短編2分
怖い話 No.4144
【じわ怖】ピンホールカメラ作ったぜっ!
873
怖い話 No.13181
【じわ怖】おかしな子供
1326
37
短編1分
怖い話 No.5108
【じわ怖】半年前に人が死んでからずっと空いている物件
1540
53
怖い話 No.19292
【じわ怖】閉塞感
1519
21
怖い話 No.12797
【じわ怖】山中を行軍中
1679
42
1
怖い話 No.5666
【じわ怖】近所の柴犬
1718
38
怖い話 No.5599
【じわ怖】緑の想い
1620
31
怖い話 No.4529
【じわ怖】純粋な女の子
1661
50
4
長編5分
心霊サイト運営者
全国心霊マップ
ghostmap
プロフィール
Twitter
新着じわ怖
S奈のお父さん
カーナビの示した位置
ベランダに女の影
国産うなぎ
マンションの屋上
占い師
窓に立つ男
幽霊の正体
自殺頭痛
友達からの葉書
医学は万能じゃない
嫁の日記を読んだ
新着コメント
友達の様子がおかしくなってきた
3人で横一列に並んで歩いていた
元恩師にストーカーされていた
家鳴り?
幽霊のいた家
公衆電話ボックス
子供がうるさい