怖い話登録数18393話
恐怖感アップダークモード
(0件)
▼コンテンツには広告が含まれています
✕
立ち入り禁止の林道
お気に入り
1470
20
3
0
長編5分
コピー
「立ち入り禁止の林道」の朗読動画を探しています。YouTubeでこの話の朗読動画を見つけたらぜひ投稿していってください。
※YouTubeのURL必須
開始時間
00時間00分00秒
投稿する
叔父の仕事場にお邪魔した時の話。 新潟に母方の実家がある。 長期休暇があるときには、 母方の親戚一同がその家に集まる。 実家に住んでいる叔父は一人身で、 家から遠くはなれた山奥の養豚場に勤めている。 朝早くから仕事があり、 さらに片道最低でも二時間はかかるので、 普段は仕事場に泊まりこんでいるらしかった。 七歳くらいの頃だろうか。 夏休みのある日、従兄四人+大人二人で仕事場にお邪魔することになった。 理由は良く覚えていないが、 多分山菜を取りに行くとかそんな理由だったと思う。 海のそばにある実家から車で長いこと揺られて、 やっと養豚場についた。 山奥だとは聞いていたが、 想像していたよりももっと奥にあったので、少し驚いた。 養豚場は臭かった。 慣れている人間にはそうでもないらしいが、 養豚場なんてきたことのない者にとって、そこに居るのは正直苦痛だった。 そのため、大人が山菜を取っている間、 子供たちだけで遊んでいようということになった。 養豚場から少し下ったところに結構な広さの空き地があったので、 そこで鬼ごっこ等をしていた。 しかし、七歳やそこらの子供ばかりだったので、流石に長い間は持たなかった。 空き地でやることもなく、ただぼんやりとしていると、 従兄のうちの誰かが「探検をしよう」と言い出した。 言うまでも無く全員がその提案に賛成した。 親に許可を取って探検に出かけた。 とりあえず空き地の周りを探索することになった。 そしてすぐに見つけたのが、『立ち入り禁止』と書かれた札。 札はロープにつるされており、ロープは林道をふさいでいた。 そんな札は、子供にとって『入ってください』と言って 好奇心を煽っているようなもので、 四人は当然のことのようにロープを越えて、林道を奥へと進んでいった。 林道は意外にも綺麗に整備されていた。 (舗道ではなかったが) 何軒か倉庫のような建物もあり、 実家の近所にある林道と大した変わりがなかったので、 少し残念に思いながらも、さらに歩を進めた。 しばらく歩くと、前から人が歩いてくるのが見えた。 立ち入り禁止の場所から人が歩いてくるなんてのは、 今考えればおかしい事なんだけど、特にその時は気にならなかった。 段々と近づいてくるその人は、 麦藁帽子を深くかぶって鍬を持っていた。 タオルを首から提げ、長靴も履いていたと思う。 典型的なお百姓さんという感じの人だった。 歳は七十から八十といったところだろうか。 その人は俺たちの前までやってくると、地元の言葉で 「なんでこんな奥まで来たのか」 と話しかけてきた。 (新潟の訛りが強い人は早口なので、 生まれてから今まで標準語で育った自分には良く分からなかったため、 従兄に訳してもらった) 俺が答える前に 「虫でも捕まえにきたのか」 と聞かれ、面倒なので頷いた。 「あんまり奥に行ったらいかんぞ」 そう言って、お百姓さんは俺たちが歩いてきた方へ歩いていった。 「なんか怖いね」 俺がそういうと、従兄も同じ様に怖がっていた。 それでもまだ好奇心が勝っていたため、俺たちはさらに歩いた。 変化はなかった。 倉庫があって、たまに耕運機の様な機械が置いてあるだけだった。 それでも、俺たちは何かに(多分好奇心に)とり憑かれたように歩き続けた。 また人影が見えた。 麦藁帽子、鍬、タオル、土に汚れた長靴。 「なんでこんなに奥まで」 「虫でも捕まえにきたのか」 「あんまり奥に行ってはいかんぞ」 従兄は、先ほどと寸分違わぬ口調で翻訳した。 全く同じだ。 リピートだ。 それが分かっているのは、恐らく俺だけだったと思う。 後の三人に、この現象を怪しんでいる様子は微塵も感じられなかったのだ。 「なんか怖いね」 という言葉を俺は発しなかった。 これを言うと、いよいよ俺までおかしくなるんじゃないかと思ったからだ。 (幼いのによくそんなこと考えたなと思う) 三人がまだ先に進もうとする。 「そろそろ戻ろう」 俺はそう提案したが、 「何も見つけてないのに、探検から帰れる訳ないだろ」 と、三人のうちの一人が言うと、他の二人も同じ様なことを言った。 俺は渋々三人についていった。 やはりそうだ。 倉庫はさっきのものと同じだ。 耕運機も。 三人はそのことに気付いていない。 「おかしくない?迷ってるよね」 俺がそういうと、 「道が一本なのにどうして迷うのさ」 こっちがおかしくなりそうだった。 そんな状況でも、何故か好奇心が恐怖に勝っていた。 怖いもの見たさという感情が、 幼い頃から備わっていたのかもしれない。 まただ。麦藁帽子。 もう耐えられなかった。 「ちょっときて!」 従兄の袖を引っ張り俺は走っていた。 走っている最中に、いきなり走り出した理由を尋ねられたが、 答えている余裕は俺の心になかった。 しばらく必死に走って、気付いたらロープの前にいた。 スピードは緩めずにロープを飛び越えた。 そのまま親のいるところまで駆け抜けた。 もしかしたら泣いていたかもしれないが、そこは良く覚えていない。 落ち着いた後、怪訝そうな顔をしている俺以外の全員に、 先ほど起こったことをありのまま話した。 それはもうポルナレフの如く。 (冗談抜きでポルナレフのように) 話し終わると、叔父を除く全員が笑っていた。 そんなことあるわけないと言った様子で。 叔父は俺に近づいて、 「立ち入り禁止のところに入ったのか。 じゃあ、狐か何かにだまされたんだろうな」 そう囁いた。 詳しく聞くと、どうやら立ち入り禁止の林道には結構危険な動物 (熊か何かだった気がする)が出るらしく、 許可を取っている猟師や林業関係の人のみが、本当に稀に利用する程度だという。 綺麗になっていたのは、少し前に木材調達に来た業者が、 ついでに荒れた道を整備していったのが理由らしい。 「狐かなんかが化けたんじゃないかってのは、 この辺りにそういった話があるから、きっとお前たちも化かされたんだろうなと思ってね。 でも、どっちかというと警告だったんじゃないかな。これ以上進むなっていう」 じゃあ何で俺しか気付かなかったんだという疑問が即座に沸いたが、 それを聞く気にはなれなかった。 というよりも、わかってしまったのだ。 多分狐(或いはそれ以外のバケモノ)は、 俺たちをずっと迷わせるつもりだったのだ。 警告なら、そのまま帰れといえばすむことだ。 それをしないということは、そういうことである。 俺は誰にも話さないでおくことに決めた。 未だにこのことは、誰にも話していない。 聞きたいといわれれば話すけど、 聞かれもしないのにこんな話をして恐怖心を煽るのは気が引けるのだ。 (当事者たちには特に)
怖い話を読んでいると霊が寄ってくる?不安な方はこちらがおすすめ
3人が登録しています
感想や考察があればぜひコメントで教えてください ↓コメントする
この話は怖かったですか?
怖かった20
次はこちらの話なんていかがですか
続きを読む
※既読の話はオレンジ色の下線が灰色に変わります
Amazon無料でスグに読める本
お隣さんの騒音がすごい どこかの誰かの体験談マンガ
日本生まれのインド人、メタ・バラッツのスパイスカレーユニバース (インターネットオブスパイス)
転生してから40年。そろそろ、おじさんも恋がしたい。 二度目の人生はハーレムルート!? 1 (アース・スターコミックス)
パラドックスループ-うまくいかない私たち-
まいみ!
嘘つきな彼氏(推し)を懲らしめた話 1 ますまゆまんが!集
前の話:【ほん怖】赤ちゃんの泣き声がはっきり聞こえるよ
次の話:【ほん怖】形の無い幽霊
怖い話 No.3323
【ほん怖】イギリスの幽霊屋敷
1748
21
短編2分
怖い話 No.3206
【ほん怖】猫に故人の顔を見せると成仏出来ない
990
41
短編1分
怖い話 No.3062
【ほん怖】車のナンバー
1860
32
怖い話 No.3858
【ほん怖】誰からも好かれていた母
1397
49
2
中編3分
怖い話 No.10676
【ほん怖】おばちゃん二人が立ち話してる声
1779
35
1
怖い話 No.11594
【ほん怖】山の人
1272
28
怖い話 No.3069
【ほん怖】家族総出で家の中を大掃除した
1388
39
怖い話 No.3720
【ほん怖】カルト集団への取材
朗読 めたんの怖い話紹介ch
1767
50
怖い話 No.11534
【ほん怖】背中に当たるモノ
1142
44
怖い話 No.10744
【ほん怖】心霊スポットキラー
1639
34
心霊サイト運営者
全国心霊マップ
ghostmap
プロフィール
Twitter
新着ほん怖
でっかいカエル
古びたフランス人形
信号待ち
家への電話
ヘアピンが落ちてる
友達の家に電話
笑い声
缶けり
義理の姉
サンタとトナカイ
極限状態の意識
白黒おじいさん
新着コメント
姉あての電話
お寺さんに送った市松人形
青梅市の御岳山
凶刃
近づいてはいけない淵
ベニテングダケ
忍者ごっこ禁止令
異物混入
金子くん