怖い話登録数18393話
恐怖感アップダークモード
(0件)
▼コンテンツには広告が含まれています
✕
Kの友達
お気に入り
2492
68
1
長編5分
コピー
「Kの友達」の朗読動画を探しています。YouTubeでこの話の朗読動画を見つけたらぜひ投稿していってください。
※YouTubeのURL必須
開始時間
00時間00分00秒
投稿する
今から15年くらい前、俺が小学生だったときの話。俺の住んでた町は広いけど、その分人の密度が少ない過疎った街だった。で、小学校が町の中心にあって、学校が少ないから、あっちこっちの地区から子供が通ってた。まだ変質者がどうの、防犯ベルがどうの、って頃じゃなかったから、みんな友達2、3人で下校してた。遠い子で1時間かけて徒歩で通ってたかな。冬とか暮れるのが早いから、遠い子は部とかにも入らず一気に帰った。山道だったり、普通の舗装された道路でも、街頭なんか無いからね。 集落の明かりを目指して、2、3人で帰ってたわけ。今は通学班とか組んでるのかな。でも、中にはそういう友達がいない子がいるわけね。俺の同じクラスにもそういう子がいた。仮にKと呼ぶ。その子はちょっと知恵が遅れてる子だったけど、養護学級とか出なくて普通学級に通ってた。でも、やっぱり地区の遊びグループには入れなかったのね。で、帰りはいつも徒歩30分の道を一人。田舎だし、子供が知的障害だからって、親が車で迎えにいったりとかはしなかった。東門から出る俺は、西門にむかうKをときどき見かけたけど、たいてい1人だったなあ。ある日の道徳の時間、先生が言ったんだ。「最近、寄り道をしている子がいるらしいですね」って。みんなドキっとした。そりゃみんなちょっとは、ゲーム機が豊富な家でちょっと桃鉄やるとか…してた。でも、いつもはそんな事黙認してくれてる。先生は続けた。「別に、暗くならないうちは友達の家によってもいい。でも、危ないところに遊びにいく子がいる。それはやめなさい」危ないところ?その話の真意を知ったのは、友達の噂話からだったんだ。「あのさ、Kだよ。あいつ帰り道、橋の下で遊んでんだ」確かにKの家の方角には、ちょっと大きな川が流れていて、最近出来た新しい橋と、となりに古い橋が架かっている。新しい方は街頭があるけど、古い方にはそんなものはない。石造りの古い橋だ。橋のしたには河川敷が広がっていて、一応階段があって、そこにいけるようになっている。河川敷は子供の身長くらいの草が茂ってるが、橋の真下は光があたらないのか、ちょっとした空間が出来ている。昼にはちょっとした秘密の遊び場みたいな感じで、マルイのエアガン持って水面を撃ちにいったりしてた。Kはそんな遊びに来た事は無かったが。それは新しい方の橋の話で、Kは古い方の橋の下にいたそうだ。聞けば同じ地区のやつらは、帰りに新しい方の橋から、Kっぽいやつが、いつも古い橋の下にいるのを見ていたそうだ。子供は馬鹿だなーとか思って放っておいてたんだけど、親にその話をしたらえらく気にして、学校に通報したんだそうな。Kは昼に職員室によばれていった。でも、Kはその寄り道をやめようとしない。Kが帰ろうとしたとき、先生が話しかけたのを聞いた。「友達と遊ぶのは大事だけど、危険なところで遊ぶのはもうだめだからね」釘をさされてる。俺はちょっと笑ってしまった。だけど、なんか違和感があった。あいつはいつも一人でいるんだ。それに、橋の下にいたのもKひとりって聞いたのに。もちろん、いくら注意されようとも、それからKが寄り道をやめることは無かったんだ。祭りの夜。俺は友達と友達の家にいた。祭り囃子が聞こえる薄暮の中、みんなで花火とかして、普段出来ない夜遊びを楽しんでた。花火が終わり、俺たちはその家に一晩とまる事になった。「俺、Kの友達、みたんだ」一人が唐突に話し始めた。見てはいけないものをみた。そんな言い方だった。おそらく、あまりの気味悪さにずっと胸にしまっていたのだろう。「あいつ、橋の落書きにむかって、楽しそうに話してた。いつも」みんな一瞬しんとなった。夕暮れ時、カナカナ蝉がなくころ、Kはいつも『友達』といたのか。ある冬の日、ついに最悪の事が起こった。街の防災無線が子供の行方を捜している。Kがいなくなったんだ。あまりに遅いので親が学校に連絡したところ、『とうに帰った』といわれたのだ。折からの強い雨。公務員の俺の親父にはリンリン電話が舞い込み、コートを着て長靴を履いて出て行った。「顔を知ってるか」ときかれて、俺は親父の車に乗せられた。行く先は当然川だ。既に先生や近くの同級生、警察…台風みたいに人が集まってた。でも、結局Kは見つからなかった。河川敷にも何も無い。ただ、橋桁には赤いペンキでマルが描かれ、その中には人の顔のような落書きがあったのを覚えている。『行方不明』の貼紙も色あせた頃。その落書きも消されたのか、もうあとかたも無かった。それだけの話だ。友達。ひょっとしてKは今、その友達と一緒にいるのだろうか。
怖い話を読んでいると霊が寄ってくる?不安な方はこちらがおすすめ
1人が登録しています
感想や考察があればぜひコメントで教えてください ↓コメントする
この話は怖かったですか?
怖かった68
次はこちらの話なんていかがですか
続きを読む
※既読の話はオレンジ色の下線が灰色に変わります
いま注目されてる怖い話
実際にあった怖い話 2024年11月号
フォロワーさんの本当にあった怖い話
怖い話でメシを食う。最恐の2人が語る奇妙な日常
ちょっと怖い話1 フォロワーさんのひとこと体験談
フォロワーさんの本当にあった怖い話 : 2 (アクションコミックス)
ほんとにあった怖い話読者体験シリーズ 12日間の悪夢
名無し
切ない話だな
前の話:【じわ怖】知り合いの大工の話
次の話:【じわ怖】カーテンの向こう側
怖い話 No.13184
【じわ怖】山道の信号
1639
40
0
短編2分
怖い話 No.18987
【じわ怖】ガラス戸の向こう
1791
24
長編15分
怖い話 No.4209
【じわ怖】不気味な母
1536
39
怖い話 No.11809
【じわ怖】蔦まみれの家
1326
34
中編3分
怖い話 No.19099
【じわ怖】むこうがわ
2361
中編4分
怖い話 No.13279
【じわ怖】カガシサマ
969
怖い話 No.5107
【じわ怖】村にある立派な空家
1069
55
怖い話 No.12024
【じわ怖】無口でボーっとしている
1979
25
短編1分
怖い話 No.19089
【じわ怖】小屋の二階
1343
47
長編9分
怖い話 No.5871
【じわ怖】病院の二人部屋からうなり声
1190
35
心霊サイト運営者
全国心霊マップ
ghostmap
プロフィール
Twitter
新着じわ怖
S奈のお父さん
カーナビの示した位置
ベランダに女の影
国産うなぎ
マンションの屋上
占い師
窓に立つ男
幽霊の正体
自殺頭痛
友達からの葉書
医学は万能じゃない
嫁の日記を読んだ
新着コメント
幽霊のいた家
公衆電話ボックス
子供がうるさい
蛆が落ちてくる
寂しい岩場道
子供が二人
いい供養