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人声ミステリー

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• 人声ミステリーとは

  5分で読める！ 誰かに話したくなる怖いはなし (宝島社文庫)

• 配送の仕事をしている友人がいる。
  
  彼は、車で交差点に差し掛かった時などに、
  空耳のように人声を聞くことがたまにあるんだそうだ。
  
  電波がガードレールに反響してるのかね、
  と話していたんだが、
  ある時、そいつの携帯番号から繰り返し電話がかかってきた。
  
  「もしもし」
  
  と何度呼びかけても、
  ガヤガヤザワザワ雑音がするだけ。
  
  
  
  
  
  もしやと思って折り返し電話をかけ、
  
  「今、男の声が聞こえなかったか？」
  
  と聞いたら、その通り。
  
  人声ミステリーの真相は、
  彼が大きくハンドルを切った拍子に、
  ポケットの携帯に腕が触れ勝手にリダイアルされていた、
  というオチだったんだ。
  
  その時は笑って終わったんだが、
  それから1ヶ月程したある夜。
  
  彼の携帯番号から俺の携帯に着信があった。
  
  出ると、またしてもガヤガヤザワザワ。
  
  放置して何度もかかってきたら面倒なので折り返し電話したら、
  嫁が出て彼は今風呂に入っているという。
  
  携帯はテーブルの上に置かれていて、
  誰も触っていないそうだ。
  
  悪ふざけするタイプの嫁じゃないので、
  それ以上突っ込みようもなく、
  
  「じゃあ、いいです」
  
  と言って電話を切った。
  
  何となく釈然としない。
  
  1ヶ月後に自動的にリダイアルする機能なんかあるのか。
  

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