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息子の送迎
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知り合いの話。彼女は里山に囲まれた田園地帯に住んでいる。幼い息子を幼稚園に車で送迎するのは、彼女の分担なのだそうだ。ある日、農作業に手間取ってしまい、うっかりと迎えの時間を忘れていた。気がついてから慌てて母屋へ戻り、車のキーを取って車庫に走る。車を門から出したその時、当の息子がこちらへ歩いてくるのが見えた。 右手だけ宙に上げて嬉しそうにニコニコしながら、農道の上を進んでくる。「えっ、まだ年少さんなのに一人で帰ってこれたの?」驚いて我が子を見つめているうち、奇妙な事に気がついた。息子の背後から夕暮れの太陽が差しかけて、地面の上に長い影を作っていた。息子の影と、その横に寄り添うようなもう一つの大きな人影を。まるで見えない誰かが息子の側に居るかのように。思わず息を呑む。もしかして・・・。息子が右手を空中に差し上げているのは、その誰かに手を引かれているのでは?嬉しそうに口をパクパクさせているのは、その誰かと話を交わしているのでは?我に返ると、指が白くなる程ハンドルを強く握りしめていた。必死でドアを開けて、息子の名前を呼ぶ。すると母親に気がついたものか、息子はこちらの方に駆けだした。そのまま彼女に飛び付いてき、「ただいま!」と元気に叫んだ。「お、お帰りなさい・・・えっと、一人で帰ってきたのかな?」恐る恐るそう尋ねると、首をブンブンと横に振り、変なことを言う。「違うよ!山の小父ちゃんに送ってきてもらったんだよ!」「山の小父ちゃん?」聞くところによると、彼の通っている幼稚園には、以前より不思議な小父ちゃんが現れるのだという。不思議というのは、どうやら大人にはその姿が見えていないらしいのだ。しかしこの小父ちゃん、一緒に遊んでくれたり、暴れる子が居ても優しく諭したりするので、子供達には絶大な人気があるとのこと。迎えの来ない子を時々送ってくれることもあると言い、今日は息子がその世話になったということなのだそうだ。幼稚園が閉まる頃、小父ちゃんは別れの挨拶をしてから裏手の山に姿を消すので、皆から『山の小父ちゃん』と呼ばれている――。息子は嬉しそうにそう話してくれた。息子を連れて家に入り、おやつを与えておいてから、園に電話をした。不審者が息子を連れ回したかと考えたからだが、担当の先生は怪訝な声を上げる。『あれ、○○君はさっき、奥さんが御自身で迎えに来られたじゃないですか。変なことを言わないで下さいよ、怖いなぁ』と、笑われた。血の気が引いたという。夫が帰宅してから相談したところ、こう言われた。「その小父ちゃんっていうのは、イマジナリー・コンパニオンって奴だと思うよ。確か、子供が空想で作り上げる、実在しない友達のことだったかな。集団心理とか何かで、皆が同じ空想を共有してるんじゃないか」などとわかったようなことを言う。「そんなことって有り得るの?」信じられずに問い返したが、「さぁ、それは正直わからないけど。でもあそこ、僕が中学生の頃からそんな噂があったんだぜ。子供の世話をする、子供にしか見えない何かが居るって。その噂を元に子供達が空想したのが、山の小父ちゃんなんじゃないかな。実際、喧嘩の仲裁をしてくれたり、一緒に遊んでくれたりするんだろ。肯定的に捉えても良いんじゃないかい。え、何?君の姿を写し取ったって?それは職員の勘違いだろうよ」夫はそう言って泰然としていたという。それ以上誰かに相談することはしなかったが、彼女は釈然としなかった。だって彼女は、アレを見てしまったのだ。息子の側に立つ、影だけを道に落とす何者かを。それとも、知らぬ間にこの自分自身も、園児達が作り上げた空想の中に取り込まれてしまっているのだろうか。いくら考えても答えは出なかった。「それからどうしたの?」ドキドキしながら私がそう聞くと、彼女は苦笑しながらこう答えた。「難しいから、考えるの止めちゃったわ。誰にも真実なんてわからないし。実際これまで、あの園では、不審者絡みの問題は起こっていないしね。ただ、あれから送り迎えの時間だけは、絶対忘れなくなったわよ」今でも息子さんは、元気にそこの幼稚園へ通っているということだ。
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