怖い話登録数18393話
恐怖感アップダークモード
(0件)
▼コンテンツには広告が含まれています
✕
息子の送迎
お気に入り
1216
43
2
0
長編5分
コピー
「息子の送迎」の朗読動画を探しています。YouTubeでこの話の朗読動画を見つけたらぜひ投稿していってください。
※YouTubeのURL必須
開始時間
00時間00分00秒
投稿する
知り合いの話。彼女は里山に囲まれた田園地帯に住んでいる。幼い息子を幼稚園に車で送迎するのは、彼女の分担なのだそうだ。ある日、農作業に手間取ってしまい、うっかりと迎えの時間を忘れていた。気がついてから慌てて母屋へ戻り、車のキーを取って車庫に走る。車を門から出したその時、当の息子がこちらへ歩いてくるのが見えた。 右手だけ宙に上げて嬉しそうにニコニコしながら、農道の上を進んでくる。「えっ、まだ年少さんなのに一人で帰ってこれたの?」驚いて我が子を見つめているうち、奇妙な事に気がついた。息子の背後から夕暮れの太陽が差しかけて、地面の上に長い影を作っていた。息子の影と、その横に寄り添うようなもう一つの大きな人影を。まるで見えない誰かが息子の側に居るかのように。思わず息を呑む。もしかして・・・。息子が右手を空中に差し上げているのは、その誰かに手を引かれているのでは?嬉しそうに口をパクパクさせているのは、その誰かと話を交わしているのでは?我に返ると、指が白くなる程ハンドルを強く握りしめていた。必死でドアを開けて、息子の名前を呼ぶ。すると母親に気がついたものか、息子はこちらの方に駆けだした。そのまま彼女に飛び付いてき、「ただいま!」と元気に叫んだ。「お、お帰りなさい・・・えっと、一人で帰ってきたのかな?」恐る恐るそう尋ねると、首をブンブンと横に振り、変なことを言う。「違うよ!山の小父ちゃんに送ってきてもらったんだよ!」「山の小父ちゃん?」聞くところによると、彼の通っている幼稚園には、以前より不思議な小父ちゃんが現れるのだという。不思議というのは、どうやら大人にはその姿が見えていないらしいのだ。しかしこの小父ちゃん、一緒に遊んでくれたり、暴れる子が居ても優しく諭したりするので、子供達には絶大な人気があるとのこと。迎えの来ない子を時々送ってくれることもあると言い、今日は息子がその世話になったということなのだそうだ。幼稚園が閉まる頃、小父ちゃんは別れの挨拶をしてから裏手の山に姿を消すので、皆から『山の小父ちゃん』と呼ばれている――。息子は嬉しそうにそう話してくれた。息子を連れて家に入り、おやつを与えておいてから、園に電話をした。不審者が息子を連れ回したかと考えたからだが、担当の先生は怪訝な声を上げる。『あれ、○○君はさっき、奥さんが御自身で迎えに来られたじゃないですか。変なことを言わないで下さいよ、怖いなぁ』と、笑われた。血の気が引いたという。夫が帰宅してから相談したところ、こう言われた。「その小父ちゃんっていうのは、イマジナリー・コンパニオンって奴だと思うよ。確か、子供が空想で作り上げる、実在しない友達のことだったかな。集団心理とか何かで、皆が同じ空想を共有してるんじゃないか」などとわかったようなことを言う。「そんなことって有り得るの?」信じられずに問い返したが、「さぁ、それは正直わからないけど。でもあそこ、僕が中学生の頃からそんな噂があったんだぜ。子供の世話をする、子供にしか見えない何かが居るって。その噂を元に子供達が空想したのが、山の小父ちゃんなんじゃないかな。実際、喧嘩の仲裁をしてくれたり、一緒に遊んでくれたりするんだろ。肯定的に捉えても良いんじゃないかい。え、何?君の姿を写し取ったって?それは職員の勘違いだろうよ」夫はそう言って泰然としていたという。それ以上誰かに相談することはしなかったが、彼女は釈然としなかった。だって彼女は、アレを見てしまったのだ。息子の側に立つ、影だけを道に落とす何者かを。それとも、知らぬ間にこの自分自身も、園児達が作り上げた空想の中に取り込まれてしまっているのだろうか。いくら考えても答えは出なかった。「それからどうしたの?」ドキドキしながら私がそう聞くと、彼女は苦笑しながらこう答えた。「難しいから、考えるの止めちゃったわ。誰にも真実なんてわからないし。実際これまで、あの園では、不審者絡みの問題は起こっていないしね。ただ、あれから送り迎えの時間だけは、絶対忘れなくなったわよ」今でも息子さんは、元気にそこの幼稚園へ通っているということだ。
怖い話を読んでいると霊が寄ってくる?不安な方はこちらがおすすめ
2人が登録しています
感想や考察があればぜひコメントで教えてください ↓コメントする
この話は怖かったですか?
怖かった43
次はこちらの話なんていかがですか
続きを読む
※既読の話はオレンジ色の下線が灰色に変わります
いま話題のホラー漫画
憑きそい (扶桑社コミックス)
サユリ 完全版 (バーズコミックス スペシャル)
N 1 (電撃コミックスNEXT)
変な家: 1 (HOWLコミックス)
僕が死ぬだけの百物語(1) (サンデーうぇぶりコミックス)
禍話 SNSで伝播する令和怪談
前の話:【じわ怖】真っ黒い石と白っぽい石
次の話:【じわ怖】八森町にある山
怖い話 No.12004
【じわ怖】気味な笑顔を浮かべた人物
1277
42
短編2分
怖い話 No.12145
【じわ怖】ミキハウス
1513
29
長編8分
怖い話 No.13058
【じわ怖】滝の横にあった獣道
1574
36
1
中編3分
怖い話 No.21744
【じわ怖】頭を狂わす
847
23
怖い話 No.19003
【じわ怖】霊視能力を使って蒸発した父親を探せ
1528
45
怖い話 No.19306
【じわ怖】闇の音楽の血族
1982
33
怖い話 No.4459
【じわ怖】水道管の修理
1593
32
短編1分
怖い話 No.13108
【じわ怖】夜中に出かけた
917
27
怖い話 No.13419
【じわ怖】塾の生徒
2161
46
怖い話 No.13267
【じわ怖】山小屋の音
1348
35
心霊サイト運営者
全国心霊マップ
ghostmap
プロフィール
Twitter
新着じわ怖
S奈のお父さん
カーナビの示した位置
ベランダに女の影
国産うなぎ
マンションの屋上
占い師
窓に立つ男
幽霊の正体
自殺頭痛
友達からの葉書
医学は万能じゃない
嫁の日記を読んだ
新着コメント
元恩師にストーカーされていた
家鳴り?
幽霊のいた家
公衆電話ボックス
子供がうるさい
蛆が落ちてくる
寂しい岩場道