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ク・フランの霊山
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村の産婆や薬師が魔女と怖れられた忌むべき時よりも、更に遠い昔のこと。ク・フランが棲んでいたとされる、神聖な霊山があった。そこはク・フランが昔、戯れに丸めた雷などが常に停滞していて、とても人の入れる場所ではなかったという。また、誰も入っていこうとは思わなかった。しかし、二つ向こうの村では、その山に入ろうとしている若者がいた。 彼は「誰も入ったことがないという事は、そこは手付かずの獲物が豊富ということだ」と思い、妻が止めても「妻は夫に意見する資格はない」と聞き入れず、彼の山へ入っていった。雷雲が蠢き、辛い道であったが、若者は山へどんどんと入っていった。すると、中腹辺りに差し掛かった頃、あるひらけた場所へ出た。そこは神の楽園を思わせるような、豊沃なところであった。川にはミルクと蜂蜜が流れて、美しいニンフが水浴びをしており、多くの牛達が放し飼いで戯れあい、そして木々では、小妖精達がお喋りに夢中になっている。若者が見とれていると、川辺にいたニンフが話し掛けてきた。「まぁ、ずいぶんと久しぶりなこと。新しいお客様ね」と微笑みかけられ、若者は急に悪い事をしたと思い、「すまない。私の立ち入れる場所ではなかったようだ。私はこの楽園に立ち入り、神の名を汚してしまった」と詫びた。しかしニンフは、「そんなことを心配する必要はありません。あなたは自分の意志でここへ来たのでしょう?麓の村人は怖れて入山しない。あなたは勇敢で立派な若者だわ」と、彼に優しく語りかけた。そして、「ずっとここへ居てよいのです。牛と蜂蜜はあなたのもの。小妖精はあなたに付き従う。勿論私は、あなたの全ての世話を見てあげる」と言って跪く。若者はいい気分になって、暫しの間ならということで住み着くことにした。すると最後に、「但し、ここでは神霊の名はおろか、特にク・フランの名はみだりに唱えてはなりません。彼らを侮辱することになります」と強く言われ、若者は了承した。住み着いて暫く経ち、若者が森を歩いていると、なんと鬱蒼と茂った木々の裏に、柘榴が大量に生っているのを見つけた。彼はここが冥界なのではと疑い、ニンフに「どうしても神霊に祈りを捧げたい」と申し出た。ニンフはどうしてもダメだと言うが、制止を払い若者は祈りを捧げた。すると視界にモヤがかかり、辺りがハッキリしてくると、若者のいる場所は、荒涼とした冥界のように寂しい場所だった。そして目の前にいたニンフの顔は崩れ、みるみる内に赤黒い悪魔の顔へと変わっていった。若者は驚き、一目散に下ったが道が全くわからない。そして後ろからは、悪魔が信じられない速さで襲い掛かってくる若者は、「雄々しきク・フランよ!あなたの山に悪魔が巣くっています!そして愚かな私は、それに追われています!あなたが噂通りの蛮勇であるなら、どうか私に力を貸してください!」若者がそう叫ぶやいなや、霊山の天で停滞しているはずの雷が一筋落ちてきたそれから数ヶ月後。あの若者の妻が一人きりで暮らしているところ、夜中に突然ドアを叩く音がした。誰かと思い尋ねると、あの若者だという。とっくに死んでしまったものと思っていたので妻は、大喜びでドアを開けた。若者は青白い顔をし、頬はこけていたのだが、明るい顔で妻を抱きしめた。「今まで済まなかった。寂しかったろう」と言い、腰袋から何かの実を取り出した。「私はク・フランの霊山へ行き、そこで大変美味しい果実を見つけた」といい、妻に食べろと言った。妻は「まぁ、赤黒くて変わった形をしているのね。でもあなたがそうおっしゃるのなら食べるわ」と言い、果実にかじりついた。すると「食べたな?」と若者は呟き、段々と彼の顔が崩れて、醜い悪魔の姿に変わってしまった。「あの男は我々の国へ自ら足を踏み入れ、冥界とも知らず私に精を注ぎつづけた。身の衰えにも気付かず、逃げたとて我から逃げおおせるものか。お前も冥界の果実である柘榴を口にした。夫婦仲良く冥界で暮らすがいい」それ以降、若者の妻の姿を村で見かけた者はいなく、妻の住んでいたところの木々には、赤黒く変形した奇妙な果実が生っていたという。
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