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真っ二つに割れた石
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私が友達から聞いた話を紹介します。 とりあえず友達は A君(高校生)としておきます。 私の実家は田舎の方で、 田んぼが多い地域を想像していただければわかると思います。 A君の家の近くもそのような感じです。 私とA君が通っていた学校の授業が終わり、 A君が学校から帰るとき、 いつもと同じ道で帰るのはつまらないと思ったようで、 少し違う道を歩いてみたそうです。 いつもとは違う景色を見ながら歩いている時、 50センチくらいのお地蔵さんを見つけたそうです。 近寄ってよく見るとその隣には、 狐のような猫のような形をした、 なんとも言えない、 10センチくらいの石が立ててあったそうです。 A君はいたずら心が働き、 その石を倒したそうです。 それほど強い力で倒したわけではないのに、 その石が真っ二つに割れたそうです。 そしてA君はそのまま帰宅し、 石を倒したことなど気に止めず眠ろうとしたそうです。 電気を消し布団に入った直後、 金縛りにあったそうです。 ゆっくりと白い塊がA君の目の前に現れ、 A君の耳元で 「…戻せ…戻せ…戻せ」 という声がしていたそうです。 その状態が1分くらい続いた後、 白い塊がだんだん白い着物を着た女性の姿に変わったいったそうです。 その女性の顔は凄い形相だったようで、 A君がその女性の顔を見た瞬間、 さっきまで聞こえていた 『…戻せ』 という声は止まり、 その女性がゆっくりとA君に近づいて、 A君の顔から5cmぐらい手前まで近づいてきたそうです。 そして、ものすごい大きな声で 「戻せ!!!」 と言われたそうです。 A君はそこで気絶してしまったようで、 起きたときには女性の姿もなかったそうです。 学校へ登校したとき、 私に上記の体験談を話してきました。 私「それは、まずいよ。 マジで。その石、どうにかして元に戻さないと… とりあえず、接着剤でも使ってさぁ」 A君「いや、俺は、闘う!」 普通の人間ならば ここで石を戻そうとするはずなのですが、 A君はなんと闘うと言いはじめたのです。 私はその日、 休み時間中説得を続けたのですが、 私の説得もむなしく彼は 「闘う!」 の一点張りでした。 なぜ闘うのか聞いてみると、A君は 「気絶させられたのがむかついた」 と言い放ちました。 ある意味凄い人だとも思いましたが、 彼の異様とも思える意思は変えられそうになかったので、 私は普通に帰宅しました。 次の日、 私はA君を心配しながら登校したのですが、 A君は学校へ登校していました。 顔が明らかに青ざめ、目が腫れていて、 疲労困憊といった感じだったのをしっかりと覚えています。 「A、昨日どうだった?」 と尋ねました。 A君はゆっくりと話してくれました。 A君は昨日、木刀を用意し、 サバイバルナイフを腰に身につけ、 自分を奮い立たせるため、 夜12時くらいから酒を飲みはじめたそうです。 そして2時くらいになった時、 「…戻せ」 の音が聞こえ、 白い塊が出現したそうです。 部屋の電気がついているにも関わらず 訳のわからない超常現象が発生したため、 かなり怖かったそうです。 A君は恐怖を振り払うため、 とにかくその白い塊に向かって 木刀を振り回したそうです。 当たる寸前でその白い塊は消え、 消えたと思った瞬間、 背後に回っていたそうです。 振り回しても振り回しても当たりそうにない。 また 「…戻せ」 という声とともにひどい耳鳴りがして、 耳の奥がひどく痛かったそうです。 木刀を振り回している最中、 自分の部屋にあったステレオを殴ってしまったため、 外へ出て闘おうと考えたそうです。 裸足のまま玄関を出て、 とにかく走りつづけたそうです。 そして闘いやすそうな草むらに着いて、 300メートルくらい離れているA君の家の方へ向かって、 「かかってこい!」 と大きな声で怒鳴ったそうです。 (ちなみに、田舎の方であるため、 周りにはほとんど家もなく、 田んぼが広がっているだけです) すると、A君の家から白い塊がゆっくりと上空へ浮遊し、 30メートルくらいの上空でフワフワと浮いていたそうです。 あちこちをフラフラと漂った後、 まるで鷹が獲物を狩る瞬間のように、 急降下でA君のそばに近づいてきたそうです。 A君もさすがに怖くなったのか、 とにかく大きな声を叫びながら その白い塊を待ち構えたそうです。 急降下する白い塊が段々と近づくにつれ、 その白い塊が昨日の女性になっていたことに気が付いたそうです。 昨日と同じ凄い形相で、 A君へと近づいてきたそうです。 A君との距離が2メートルくらい手前まで近づいたとき、 木刀を渾身の力で振ったそうです。 やはり当たる寸前で女性は背後に回ったそうです。 そして耳元で、 「戻せ…さもないと…」 とささやいてきたそうです。 A君はあまりの恐怖に狂乱状態になり、 とにかく泣きながら木刀を振ったそうです。 振っている最中も 「戻せ…」 という大きな声がし、 頭痛が酷かったそうです。 A君も体力が尽きてきたそうで、 木刀を振るのはやめて、 その女性から距離を保つために走りました。 そして、ゆっくりと近づいてくる女性に向かって、 腰にあったサバイバルナイフを投げたつけたそうです。 その瞬間、 なんと前へと投げたはずのナイフが、 自分の方へと向かって飛んできたそうです。 それから記憶がないそうです。 A君は目がさめたとき 自分の部屋で寝ていたそうです。 A君の母親が言うには、 A君が草むらの上で眠っているのを近所の人が見つけ、 A君の家まで運んでくれたそうです。 私は酔って幻覚でも見たんだろう、 そんな風に考えながらA君の話を片付けようとしたのですが、 次の話を聞いて固まりました。 なんと彼の両手には、 あの時割った石が握られていたそうです。 近所の人が 「がっちりと握り締めていたものだから持ってきた」 と言ったそうです。 A君は疲れ果てていましたが、 とにかく石を元に戻さなければいけないと感じ、 できる限り慎重に接着剤でその石をくっつけたそうです。 そして、 お地蔵さんのところへその石を戻し、 手を合わせ、何度も何度も謝り、 高いおまんじゅうをお供え物として出しておき、 登校してきたそうです。 お地蔵さんやその周辺にあるものを粗末に扱うと、 とんでもない目にあうらしいので、 みなさん気をつけましょう。
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