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白い日傘
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僕は内装工事関係の仕事をしているのですが、 その会社の社長(と言っても若い)と僕と同僚の計4人で 仕事が暇になると、よくスキーに行ってました。 僕達の会社は名古屋の郊外にありまして、 国道19号を北上するとスキー場まですぐだったので ほんとに良く通っていました。 いつも12時(夜中)ぐらいに出発して スキー場には3~4時ごろには到着して、 一眠りしてから滑っていました。 その日もいつもと同じように 12時頃会社に集合して国道19号を 北に向かって車を走らせていました。 中津川、土岐を過ぎるあたりから道路も狭くなり、 行き交う車もトラックや 同じスキーヤーの車ばかりになっていきました。 車は社長が運転していて 僕は助手席に座っていました。 そして後部座席に同僚のKとYが。 車中は和気藹々と楽しい時間が過ぎていましたが、 あるときふと社長が 「裏道でも探そうか」 と言い出しました。 僕は結構そうゆう事が好きだったので (裏道探しとか、ミステリースポットにいったり) 大賛成でした。 そして車は19号を 1本奥に入った山道に進んでいきました。 今考えたら何故社長はあんな事を言ったのか 不思議でなりません。 いつもどおりの道を進んでいたならば あんな目にはあわなくてすんだのに 裏道に入ってしばらく走っていると、 もう一つ奥に入る道が出てきました。 誰も文句なく 全会一致で奥の道に入ることに決まりました。 それから5分ほど走ったと思いましたが、 そこは何の変哲もない普通の田舎道でした。 道路は舗装してありましたが、 両脇はずっと田んぼだらけで、 ポツンポツンと薄暗い街頭が立っているだけの普通の道でした。 みんな「こんなもんだろ」という感じで じゃあそろそろ戻ろうかと話をしていたその時です。 街頭の下に白いワンピースを着て 日傘を差した女の人が立っていたのです。 「何でこんな時間に」 と思い、 僕は思わず車の時計に目をやりました。 時計は2時過ぎを表示していました。 車は大体50~60キロぐらいで走っていたと思います。 暗いところでしたし、 夜中で少し眠たくなっていたので 目の錯覚か何かだろうと思うことにしました。 戻る道をさがしつつ、 5分程そのまま走っていました。 するとまた街頭の下に 白いワンピースを着て日傘を差した女の人が立っていたのです。 その女性の髪は黒いショートボブで、 青白い顔をこちらをに向けていました。 街頭の下だったせいか 暗闇に浮かぶように感じられました。 恐ろしくなった僕は 運転している社長の方を見ました。 社長も僕の方を見ていました。 「見た?」 「ええ」 「実はさっきも見たんだけど…」 「えっ僕もです」 「ヤバイよね」 「こわいっすね,マジで」 後を振りかえると 2人も顔をしかめていました。 そこで僕達は来た道をひき返すかどうするか迷いましたが もう少し走ってみようということになりました。 車のスピードは自然と速くなっていきました。 すると1分も経たないうちに またワンピースの女が街頭の下に立っていました。 もう怖くて声も出ませんでした。 社長はハンドルにしがみつくように運転していました。 今度は街頭と街頭の間に、 そして次の街頭の下に…… 気がつくと同じワンピースの女が 無数に道路脇に連なるように立っていたのです。 そしてこちらを見ながら「ニヤッ」と笑いながら…。 もう恐ろしくなった僕は 頭を抱えて助手席に深く沈みこもうとしたときです。 僕の足と足の間に 黒髪の女の顔があったのです。 女は僕をみてこうつぶやいたのです。 「みーつけた」 僕は余りの恐怖で気持ち悪くなってしまい 意識が遠のきかけたとき 「グワシャ~ン」 という音と同じに記憶を失いました。 僕達の車は、街頭にぶつかり そのまま田んぼに落ちていました。 幸い四駆だったので、 そこから出ることは出来ましたが、 その日はスキーもやめて戻ってきました。 会社に戻り板やウェアを下ろしていると Kが「ウワッ」と声をあげたのです。 そこには荷物の上に 白い日傘が1本置いてあったのでした。 当然僕達はそんな日傘を持っているはずもありませんし、 社長の持ち物でもありませんでした。 改めて僕は背筋に悪寒が走るのを感じました。 その後その傘は社長が近くの寺に事情を説明して 処分してもらったそうです。 あれ以来僕は霊の存在を信じることになりました。
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