怖い話登録数18393話
恐怖感アップダークモード
(0件)
▼コンテンツには広告が含まれています
✕
顔が見えない集団
お気に入り
1534
33
2
0
中編4分
コピー
「顔が見えない集団」の朗読動画を探しています。YouTubeでこの話の朗読動画を見つけたらぜひ投稿していってください。
※YouTubeのURL必須
開始時間
00時間00分00秒
投稿する
俺は趣味らしい趣味は無く、 強いて言うなら色んな趣味を薄くかじっては半端で投げ出すまでが趣味だった。 その頃は登山っぽいものに手を出したい気分で、 関東の某山に何回か登っていた。 その山は1時間程度で頂上まで登れる山だけど、 バラエティーに富んだコースがいくつかあって、 手軽にそこそこ楽しめる。 (登山というより散歩にうぶ毛が生えたレベルだが) 俺はその山のコースは一通り制覇して、 山をちょっぴり知った感に満足していた。 そんな時、 登山に興味があるという職場の先輩がいたので、 「あの山いいっすよ!」 と誘って、週末2人で繰り出した。 山の麓に着くと、 先輩の希望で一番登山らしいコースを選んで登り始めた。 「登山の時はすれ違う人と挨拶するもんですよ!」 という俺のにわか知識に従って、 俺たち2人は下山者と挨拶を交わしながら登っていった。 集団には気を使って声をかけなかったが、 個人には挨拶すればだいたい9割ぐらい挨拶を返してくれたと思う。 季節は冬。 登り始めたのが14時を過ぎていたので、 辺りはもう夕方かのような雰囲気が立ち込めていた。 「昼過ぎると日陰はもう寒いですね」 と、後ろを歩く先輩に声をかけたタイミングで、 ちょうど下ってきた一団があった。 背格好でいうと 中年の男女5~6人ぐらいだったか。 きちんと数えていないので分からない。 地味なつば付きの帽子に チェックシャツやチノパンといった、 よくある軽装の一団だった。 挨拶のタイミングを逸してしまったので、 黙ってやり過ごそうとした時、 違和感に気付いた。 どの人も顔が見えない。 顔が暗いとかのっぺらぼうとかではない。 視界の中心に顔を捉えても分からなかった。 まるで太陽を直視した後のような、 光っているとも白いとも虹色とも言えない感じが、 その一団の全ての人の顔の位置にあった。 『太陽でも見たっけな?』 といぶかしみながら一団をやりすごしたが、 その直後に会う下山者たちの顔はごく普通だった。 気にはなったが、 山の中腹にあるベンチスペースにたどり着いたころにはその事もほとんど忘れていて、 おやつのガルボを取りだそうとしている時に先輩が言った。 「お前さ、目おかしくなったりしてない?」 「目ですか?俺は特に何もないですけど。」 「俺がおかしいのかなぁ。 もしかして脳梗塞の前兆とかかなぁ。」 太陽でも見たっけなぁ、 と先輩が言った時に、 顔が見えない一団の事を俺も思い出した。 「俺もです!あの時顔見えなかったっすよね! 何なんすかね!見てんのに見えない?みたいな!」 「何なんだろな!怖えーな!わかんねーわ!」 とひとしきり騒いだあと、 気を取り直して一気に山頂まで登りきった。 山頂でしばらく過ごした後、 下山を開始したのは15時半ごろだった。 登りと同じコースを下るのも芸がないということで、 別のルートを下ることにした。 夕方に差し掛かり、 日も傾いて気温が下がってきている。 歩き慣れていない先輩を気遣いながらも、 早め早めを心がけながら山道を下っていった。 薄暗く湿った川沿いの岩場を折れたところで 「うっ」 と変な声が出た。 10m程先に、 見覚えのあるチェックシャツの一団が目に入ったからだ。 山を登って来ている。 あの時の集団だ、と直感的に感じた。 後ろで先輩がうろたえた気配がした。 『なんか気味悪いっすね。 このままスルーします』 という無言のメッセージを、 背中から先輩に向けて発しながら、 振り向かずに一団に近づいていく。 足元の左下に見える川に視線を集中しながら一団とすれ違った。 最後の1人を俺がやりすごした後、 後ろから 「こんにちはぁ」 と間の抜けた挨拶が聞こえた。 おばさんの声だった。 位置関係的に、 先輩が最後の1人に挨拶をされたようだった。 先輩は黙ったまま バタバタと焦るように俺を追い越して歩いていった。 「こんにちはぁ」 と、再び後ろからおばさんの声が聞こえた。 俺は 『挨拶されたのに失礼ですよね。 僕ら失礼ですよね。 だけどお宅ら気味悪いんですんません!すんません!』 と思いながら、 一団の方は振り返らずに無言で先輩を追いかけてしまった。 先輩に追い付いた時、 「さっきの集団気味悪かったですね。 つい挨拶スルーしちゃいましたよ。ねえ」 と声をかけると、 いきなり先輩に胸ぐらを捕まれ、 鼻がくっつくかと思うぐらい顔を寄せられて睨まれた。 動揺する俺に、 「だめだ。何だよあれ。 こんな目の前で。こんな、こんな目の前でもさぁ~」 顔が見えなかったよ、おかしいだろ、 と涙目で先輩が言った。
怖い話を読んでいると霊が寄ってくる?不安な方はこちらがおすすめ
2人が登録しています
感想や考察があればぜひコメントで教えてください ↓コメントする
この話は怖かったですか?
怖かった33
次はこちらの話なんていかがですか
続きを読む
※既読の話はオレンジ色の下線が灰色に変わります
漫画売れ筋
メダリスト(13) (アフタヌーンコミックス)
転生したらスライムだった件(29) (シリウスコミックス)
新ルパン三世 : 2 (アクションコミックス)
凪のお暇 12 (A.L.C. DX)
新ルパン三世 : 1 (アクションコミックス)
僕の心のヤバイやつ 12 (少年チャンピオン・コミックス)
前の話:【洒落怖】友人の姉
次の話:【洒落怖】ヤンデレ彼女
怖い話 No.20977
【洒落怖】病院内の公衆電話
1345
15
短編2分
怖い話 No.2334
【洒落怖】壁一枚隔てて
1268
34
怖い話 No.17094
【洒落怖】小金持ちだった祖母
1788
45
1
怖い話 No.14716
【洒落怖】おばけなんてないさ
1975
43
3
長編18分
怖い話 No.9926
【洒落怖】亡くなったおばさん
1071
38
怖い話 No.17322
【洒落怖】よく人とぶつかっていた
1890
28
怖い話 No.637
【洒落怖】トイレの忘れ物
1583
37
怖い話 No.9470
【洒落怖】人の弱みを漬け込む悪徳商法と同じ
1496
40
長編7分
怖い話 No.657
【洒落怖】姉の部屋に携帯を忘れたことに気付いた
1639
25
中編3分
怖い話 No.7931
【洒落怖】次の神様
1429
39
心霊サイト運営者
全国心霊マップ
ghostmap
プロフィール
Twitter
新着洒落怖
留守番電話
舞台学科による演劇
分譲現場
謎の会話
たけのこ掘り
かんのけ坂
4階のベランダから落ちた友人
林間学校で登山
自転車に乗っている夢
雄別炭鉱
運動会?
坪の内
新着コメント
お父さんはお母さんを人間扱いしてくれないの!
手を引っ張るモノ
裏S区?
(´・ω・`)
邪視
真夜中の花嫁
もうお一人様乗れる余裕が御座いますが、いかが致しますか?
長い髪の毛
腕章の少年