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テント泊
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15年程前、学生時代の夏の話。 友人とオレはバイク乗りだが、 テント泊というものをやったことがなかった。 テント泊慣れしたライダーから影響を受けたらしく、 友人が安い二人用のテントを買ったというので、 二人でテント泊ツーリングに出かけることにした。 テントを張るなら田舎だろうということで、 人家もまばらな田舎を目指して走った。 しかしテント泊慣れしていない人間にとって、 テントを張る場所を見つけるというのは結構難しい。 やれ人家の目につくだの、道路が近いだの、草が深いだの、 選り好みをしていると本当に見つからなかった。 さすがにこれ以上はまずいという程暗くなった頃、 小高い山の脇にそれらしい場所を見つけ、 あわててテントを張った。 二人とも慣れないので、 出来上がったテントはシワシワのヘナヘナだった。 夜は特に何事もなく過ぎていった。 コーヒーをわかし、ラーメンを作って食べ、 カエルと虫がうるせえなと言って過ごした。 トラブルといったら オレが大量に蚊に刺されたことぐらいだった。 早朝、友人のアラームで目を覚ますと、 血圧の高いオレがまず動き出した。 テントの中からも感じていたが、 テントの外へ出るともうずいぶん明るかった。 朝露に濡れた草が白く光って綺麗だった。 明るい中でテントを見てみると、 思っていたよりも中途半端な場所に張ってしまっていたようだった。 地元の人の邪魔にならない奥まった場所にと思っていたが、 そこそこ目立っていた。 これはあまりよろしくないなと思って、 寝ぼけ状態の友人をたたき起こして、 本腰入れて片付けに取りかかった。 ふくらはぎをかかとでこすりながら片付けしていると、 「文明の利器最強!」 と虫除けを持ってきていた友人が笑った。 うるせーわと返すと、 友人が突然何かに弾かれたように、 山側に視線を止めた。 眉間と口元を歪ませて、 林の中を食い入るように見つめだした。 ん、と思って自分も林の方を見てみた。 5~6mぐらい先だろうか。 目が合った。 こんもりと生い茂ったカズラの、 薄暗い合間に見える木の幹。 その脇から無機質な片目が覗いていた。 幹の向かって右側に見えたから、 左目だろう。 首の後ろをガツンと殴られたように衝撃を受けた。 純粋に驚いたのだ。 その後、まずい、地主かと思って焦った。 「えーと、すんません」 「あのー、えー、泊まってました。」 「僕ら東京から来てまして。バイクで」 「ここ開けてるからいいかなと思って。 すんませんでした。今片付けます」 しどろもどろで一人言い訳がましいお喋りを続けた。 沈黙が怖い。 責められるのではと負い目を感じていたからだ。 でも、左目の主は何も返事してこなかった。 んーと。 何の反応もなく、 こちらの空しいお喋りも途切れて、 数秒沈黙が流れて、感じた。 あっ。 これは危ない人かな。 関わっちゃいけない系の? 何をしてくるかわからない系の? 友人の同意を得ようと、 左目の主をなるべく刺激すまいと、 ゆっくりと友人の方に向き直ろうとした時、 いきなりザザザザザザザザザザッ!!って音が、 一直線に林の斜面を駆け上がっていった。 音ははるか先の林の中を、 まだザザザと駆け上がっていく。 カズラが生い茂ってめちゃくちゃに絡まりまくった斜面をだ。 左目は木の脇から消えていた。 音の発生位置からして、 左目の主が音の主としか思えなかった。 ぎょっとした。 友人も怯えた顔をしていた。 ザザザという音はもはや駆け上がるというか、 林の奥を駆け巡っているように聞こえる。 おいおいおい なにこれ? やばいか やばいやばい 片付けもういいよ テントはいいから! また買えばいいだろ! 手持ち出来る荷物だけリュックに詰め込み、 友人を追いたててバイクに飛び乗って走り出した。 20分程走ると、 古びた自販機が並んだ休憩所が見つかり、 前を走る友人がバイクを停めた。 とりあえず缶コーヒーを買って、 人心地ついてから友人に謝った。 「ごめん。あれお前のテントだった。 オレがどうこう言えることじゃなかった」 「いや良いよ。いや良かないか。 でもあの場離れて良かったとは思う」 「あれなんだったのかな。 頭おかしい人?」 「人だったかな…どーだったかな……」 「じゃあ動物……猿…?ってことで」 「猿かぁーーーー」 クソ猿ごときにテントもったいねーことしたなって、 友人が妙に強がった。 陽が完全に登ったころ、 二人してテントを取りに戻ることに決めた。 さすがにテントをその場に捨て置くのは気が引けたからだ。 テント近くまで来てバイクを停めると、 落ちていた枝でお互いふざけながら、 空元気を出してテントの回収に向かった。 お互い林の方は見なかった。 回収したテント一式を脇に抱えてバイクに全力ダッシュする間、 遠くザザザと音がした気もしたが、 自分たちの陽気な足音だと思って逃げ去った。 友人は東京に戻った後、 テントを捨てた。 特に理由は聞かなかったが、 ゲンの悪さを感じていたのだろう。 社会人になってひさびさに再会した友人と飲んだ時、 この時の話題になった。 「あん時はああ言ったけど、正直あれ何だったんだろうな」 と言うオレに、 「あれな。お前が振り向く前までな。 目だけですっげえ笑ってたんだよ。 ぐにゃぐにゃの、きったねえ、薄っ気味わりぃ目でよ」 あんなの動物の訳がねえよ、と友人が言った。
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