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呪いの相手
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大学時代、俺にはAという親友がいた。 Aは超ハイスペックで成績はいいし、 外見・性格共にイケメンだった。 (顔はオダギリジョーっぽい感じ) 俺は冴えないブサメン・根暗だから、 何でこいつが仲良くしてくれるかほんとに謎だった。 (嬉しくはないが、塚地に似てるといわれる) それくらいイケメン野郎。 そんなAは彼女がいたり、 リア充グループに属していてもおかしくないのだが、 なぜかいつも俺と二人でいた。 いつか 「イケメンなんだから、 ぼっちよりリア充とつるめよ」 って冗談でいったら、 困った顔で 「(俺)といると安心するんだよ。 つーかお前、 俺がいればぼっちじゃないじゃん」 っていってたけど よくわからんかった。 Aとはオカルト的なサークルで出会った。 そのサークルは ダラサー(酒飲んで、ゲームするとか)と化していて 活動はあまりしてなかったので、 俺らはよく互いの家で 不思議現象について夜な夜な語り合っていた。 といっても、 一方的に零感である俺の超常現象知識や 心霊スポット突撃談を披露しているだけで、 Aは楽しげにうんうんと聞いている感じだったが。 そんなことを繰り返していたある日、 Aの家で衝撃的なものを見つけた。 その日、 Aが煙草を買いにコンビニに行っていて、 俺は留守番をしていたんだ。 コンビニまではけっこう距離があって、 Aの帰りを待ちくたびれていた俺は 一緒に行けばよかったなーと思いながら、 部屋を見渡した。 ほんと、こいつん家なんにもない。 TVないし、ソファーないし、 ゲームとか漫画もない。 あるのは机と 今俺が座ってる座布団とA用の座椅子、 持ち運び兼自宅用PC、 あとなんかこむずかしそうな本がつまった本棚だけ。 “喪男にはせんべい座布団で十分だってか。 つーか、ぜったいこいつ収納家具の中、 空っぽだろーな” とか思いながら、 ふとPCの横にあった机上のノートに手を伸ばしていた。 メモ帳に使っていたのか、 買い物メモとか家電の型番とか書いてあった。 ぱらぱらとめくったが、 最初の数ページ使ってあるだけであとは白紙・・・ と思ったら 真ん中のページらへんに たくさんの文字が記してあった。 なんだこれ、 とめくる手を止め読んでみると 「○○死ね死ね死ね死ね死ね早く死ね死ね死ね・・・・・・・ (そのあとによくわからん漢字の旧字体?のお経)」 みたいのがページいっぱい黒々と書かれている。 続く数ページもうずっとそんなん。 あの温厚なAがこんなこと、 とビビった以上に驚いたのは、 ○○がAの名前だったこと。 なんか見てはいけないものを見てしまった気がして、 ノートは速攻元に戻して Aが帰ってくるまで寝たふりをした。 帰ってきたAは 別段変わった様子はなかったが、 起こされて机上を見ると ノートはどこかにしまわれていた。 ただ 「ずっと寝てたん? PCとかかまってなかったの?」 と笑いながら聞かれたから、 「お前のおかず倉庫なんか見るか。 おまえんち、何もなくて暇だからずっと寝てたわ」 と片付けられたノートには触れずに答えといた。 Aはそれ聞いて、 煙草吸いながら笑ってた。 その後、 特にAに変わった様子はなかった。 いつもどおりだらだらと 自主サークル活動を二人の部屋でしたり、 飲んだり、飯食ったりって感じだった。 でも、 半年後の夏休みのはじめに Aは突然死んだ。 客観的には自殺じゃない。 心臓麻痺だったそうだ。 発見者は俺だった。 部屋に行くと約束してたのに、 連絡がつながらない、 チャイム押しても出ない。 しょうがないから、 もしものときにと お互いに作った合鍵でドアを開けた。 一足しかない靴はあるのに、 呼んでも返事はない。 なんにもない部屋に歩みを進めると、 Aは座椅子に座って、 呼吸をやめていた。 寝てるかと思うくらい自然だった。 死に気づいてからは、 呆然としながら、 泣きじゃくっていた。 大家や警察、救急車を呼んだのは しばらく経ってからだった気がする。 俺はほんとにすべて失った気分だった。 そこからはあまり記憶がない。 ただ、Aの家族からAのプライバシー (日記とかサイトのアカウントとか)に関わるものなどが 一切出てこないことについて何か知らないか、 聞かれたとき、 なんとなくAは自殺したんだと思った。 自分に呪いをかけてさ。 そういえば、 呪いとか怪しい宗教関係の話あいつ好きだったなー。 もうAの死から数年経つが、 あいつが俺以外に友達や彼女作んなかったり、 無駄に物を増やさなかった理由が最近わかった気がする。 あいつが死ぬ理由は見つかってないけどさ。 言い忘れてたけどもちろん、 ノートもなくなってたよ。 あの筆跡は誰のだったんだろ。
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